ガンバは悪くない入り方ができました。前半4分、宇佐美貴史が左サイドで浦和の選手達を引き付けて中央に送り、パトリックが右足を合わせると、西川周作がそれをブロック。ボールはクロスバーを直撃しました。

その後、米倉恒貴が負傷離脱で井手口陽介を投入せざるを得ないアクシデントに見舞われ、浦和がボールキープする時間が続くものの、そんな中で遠藤保仁は常に裏を狙って縦パスを供給していきます。

25分には遠藤のロングパスがペナルティエリアに進入していた宇佐美に渡り、一旦はゴール付近から離れましたが、そのパスを受けた藤春廣輝がクロス。パトリックが頭で合わせるチャンスが生まれました。

そして32分、阿部浩之が宇賀神友弥からボールを奪うと、すぐ近くにいた倉田秋が前方へ蹴り出します。その先にいたパトリックがドリブルで持ち上がると、並走してきた森脇良太を振り切り、先制点を奪いました。

これで勢いづくかに思われましたが、浦和は直後に同点に追い付きます。36分、梅崎司が右サイドからクロスを上げ、丹羽大輝の寄せに怯まなかった李忠成が飛び込むもボールはポストを叩きます。しかしそこに詰めていた興梠慎三が蹴り込み、クロスバーに当たってゴールに入りました。

浦和はさらにアディショナルタイムにピッチを広く使って二度のチャンスを迎えましたが、得点には至らず、1対1で折り返します。

すると後半8分、遠藤が誰もいなかったペナルティスポットを狙ってCKを蹴り、そこへファーサイドから回り込んできたパトリックが走り込んでダイレクトでシュート。浦和の虚を突いた勝ち越し点でした。

ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、12分に関根貴大、ズラタン・リュビヤンキッチ、24分には高木俊幸をピッチに送り込み、中央での見とれるような鮮やかな崩しよりもサイドでの仕掛けを優先させ、攻撃を活性化させようとします。

25分、高木が阿部浩之と今野泰幸につかれながらクロスを入れ、ズラタンが胸で落とし、最後は興梠がターンしてシュートを放ち、早速、形をつくります。

29分には浦和にビッグチャンスが到来します。高木が中央に入って浮き球のパスを入れ、李が頭で繋ぐと、丹羽とズラタンが競り合いボールがこぼれます。それを槙野智章が狙いますが、東口順昭がすばやく寄せてブロック。こぼれ球も東口がキャッチして押さえます。

以降も浦和は関根が果敢に仕掛け、森脇も積極的に攻撃に関与して攻勢を強めます。46分には高木が遠藤、阿部浩之を振り切って放ったシュートにズラタンがコースを変えるため飛び込む場面がありました。

シュートチャンスが少なくなったガンバでしたが、47分、ルーズボールを阿部浩之が拾い、長沢駿がサイドに展開。左サイドでフリーだった遠藤がゴールを狙います。しかしボールは枠を外れていきました。

50分、李が頭で出したボールを金正也がまさかのクリアミス。それを槙野が見逃さずシュートを打つも、またしても東口が防いでタイムアップを迎えました。

終盤、押し込まれて防戦一方になる時間帯がありながら、東口を中心に守り切り、ガンバは見事に天皇杯連覇を果たしました。タイトルに手が届きそうで届かなかった苦しいシーズンを、最後は笑顔で終えることができました。