立ち上がりは鳥栖が両サイドの吉田豊、白星東を使いつつ、縦に速い攻撃を仕掛けていきました。ガンバはそれをしばらく耐える形で試合は進んでいきます。

流れが変わったのは前半19分に米倉恒貴がCKを獲得したあたりからでした。24分には宇佐美貴史のパスを受けた遠藤保仁が倉田秋とのワンツーを決めてシュートまでいく場面も生まれました。

ガンバが攻め込むことによって、鳥栖のディフェンスラインが下がりだした26分、倉田がハーフウェイラインからロングパスを送ると、宇佐美が右足トラップから早いタイミングで左足を合わせて先制します。

ゴールを決めたことで宇佐美のプレーにキレが戻ってくると、今度は最前線のパトリックにボールが収まるようになりました。29分、38分とポストプレーを成功させ、それぞれ宇佐美、倉田がシュートを放ちました。

後半に入ると鳥栖が再び前に出てくるようになりますが、1点をリードしているガンバはカウンターで応戦します。後半3分、6分、12分と三度にわたり仕掛けるも、シュートには至りませんでした。

すると17分、白星東のサイドチェンジに対し、吉田がダイレクトで折り返します。それを東口順昭がキャッチし損ね、後方に抜けたボールを早坂良太が押し込んで、鳥栖が同点に追い付きました。再三あったカウンターのチャンスを生かせず失点を喫するという嫌な流れになりました。

勢いの出てきた鳥栖は、水沼宏太を中心にして両サイドから押し込むようになりました。31分には途中出場の鎌田大地のシュートが惜しくもサイドネットを揺らしました。

そんな中、思わぬ形で試合が中断します。ガンバサイドのゴールネットがクロスバーから外れてしまったのです。スタッフによる応急処置には時間を要し、テープが10箇所以上巻かれる事態になりました。

再開して3分後、得点を奪ったのはガンバでした。右サイドで倉田がスピードを一気に上げてドリブルを仕掛け前方へパス。これを長沢駿がやさしく落とし、最後は宇佐美が左足を振り抜きました。

さらにその1分後、菊地直哉が長沢への対応を誤り、バックパスを緩く出したところを狙われ、ガンバのリードは2点に広がります。

一発勝負で後がない鳥栖の森下仁志監督は、小林久晃、藤田直之を同時投入するも奏功せず、点差を詰めることはできませんでした。

中断時間を含めて56分続いた後半はこのまま終わり、一度は追い付かれたガンバが準決勝に駒を進めました。何より大きかったのは、2得点を挙げたエース宇佐美の復活です。この勢いでサンフレッチェ広島とのリベンジマッチに臨むこととなります。