フィギュアスケートのNHK杯と同日開催だったのがそもそもよくなかったのか。いや、もしTBSテレビに地上波放映権があったとして、ナイトゲームになったのか――。ふとそんなことを考えてしまった14時3分、チャンピオンシップ準決勝が始まりました。

前半攻勢に出たのは浦和でした。ディフェンスも積極的で、セットプレーも数多く獲得しました。前半14分には柏木陽介のCKを東口順昭がパンチングで逃れたものの、こぼれ球を梅崎司がボレー。叩きつけられたボールを阿部勇樹が頭で合わせ、わずかにボール2つ分外れるというチャンスがありました。

ただ、カウンターがなかなかはまらなかったガンバは、チャンスの数では上回っていました。19分、阿部浩之のシュートがポストをかすり、39分には宇佐美貴史のスルーパスに遠藤保仁が反応。後者は西川周作が判断いい飛び出しで阻止しました。

すると後半2分、那須大亮から森脇良太へのパスを大森晃太郎がカット。中央でフリーの今野泰幸に預けると、今野はやや体勢を崩しながらフィニッシュ。槙野智章の必死のスライディングも及ばず、ガンバが先制しました。

ここから浦和が猛攻を仕掛け、宇賀神友弥や森脇がサイドからクロスをしきりに上げます。それらを凌ぐ間にアウェイチームには心理的な余裕が生まれたように感じられました。

しかし27分、宇佐美貴史に代わって倉田秋が投入された直後のCKで浦和が同点に追い付きます。柏木のCKに森脇が頭で合わせるとクロスバーをヒット。こぼれたボールにズラタン・リュビヤンキッチが頭で合わせてゴールネットを揺らしました。ただ、これを阻止しようとした東口を李忠成が妨害したようにも見え、東口も抗議をしていたようでしたが、ファウルにはなりませんでした。

アディショナルタイムには、浦和が二度のビッグチャンスを迎えるも、東口の好セーブによってガンバは乗り切ることができました。49分の武藤のシュートには、遠藤も守備に返って援護しました。

延長に突入すると、前半のうちに関根が足をつってしまいます。結果論になりますが、後半30分に切った最後のカードが宇賀神でなければ……という流れになりました。

延長後半にはさらに森脇も足をつります。残り10分になった段階で、この機を逃さずガンバが攻めます。延長開始とともに投入された井手口陽介がサイドチェンジのパスを出すと、右サイドにいた遠藤に渡り、遠藤がダイレクトでパスを出すと、米倉恒貴が抜け出してシュートを放ちます。2対1の局面で放った一撃は西川の正面でした。

延長後半12分、丹羽大輝がズラタンのプレスに慌てたのか、バックパスをミスしてあわやオウンゴールという場面になりました。幸いボールはポストに当たって難を逃れます。

一瞬焦ったであろう東口は、しかし冷静に前方のオ・ジェソクにすばやくボールを預けます。そしてそのボールを受けた遠藤が再びダイレクトでパトリックにパスを出しました。パトリックは米倉に渡すと、米倉はやわらかいボールをファーサイドに上げます。そこに上がってきた藤春廣輝がボレーシュートを決めました。大ピンチから1分後のできごとでした。

最後は遠藤がFKで間合いを取って時間を稼ぐと見せかけてパトリックにパスを出すと、ブラジル人ストライカーはそれを押し込み、決勝進出を決定づけました。

大事な一戦で勝利を手繰り寄せ、120分を戦い抜けたのは、準決勝まで進んだAFCチャンピオンズリーグを含め、やはりタフなシーズンを戦ってきたことが生きたのでしょう。試合の中では一時的な失速も見られたものの、選手達の運動量は終盤に来ても落ちませんでした。

次戦は中3日でのサンフレッチェ広島との頂上決戦。年間勝ち点差11をひっくり返すチャンスが巡ってきました。