勝てば文句なしで自力でのチャンピオンシップ進出が可能なFC東京でしたが、モチベーションの低くない鳥栖の水沼宏太を中心とした攻撃と寄せの激しい守備に苦しめられました。

それでもどうにかこじあけようと攻め、前半9分、左サイドの深い位置でボールを受けた東慶悟がキム・ミンヒョクを切り返しでかわすとグラウンダーで中央にパスを出します。それを受けた前田遼一のシュートはクロスバーを越えていきます。

前田は河野広貴とともに前線からの守備でも貢献し、ファーストディフェンダーとしての役割もこなしていました。

23分、今度は高橋秀人が右サイドに散らし、上がってきた徳永悠平がクロスを上げます。ボールはファーサイドまで流れ、それを受けた河野がシュートを放つも、吉田豊に阻まれました。

なかなか先制できずにいた29分、鳥栖がカウンターを仕掛けます。中盤からの縦一本のパスで最終ラインを破られると、水沼がドリブルで突き進みます。太田宏介が追いかけ、味方が戻るだけの時間を稼ぐのに成功しましたが、最終的に早坂良太にシュートを打たれてしまいました。

その後、マッシモ・フィッカデンティ監督が4-3-1-2から4-2-3-1にシステム変更するも、なかなか効果が表れないまま前半を終えました。

後半は鳥栖のブロックの外でボールを回しながらチャンスをうかがい、サイドに散らして徳永、太田を生かし、攻撃を仕掛けていきました。ベンチからは中島翔哉、林容平が送り込まれ、さらなる活性化を促します。

しかし、林彰洋を脅かすほどの決定機をつくれぬまま時間は経過。チャンスと呼べるような機会が訪れたのは、後半27分になってからでした。

高橋の浮き球のパスが東に通り、東はトラップしてやわらかいクロスを送ります。ここに林が飛び込むもボールはゴールに向かって飛ばず、それを拾った前田も、エリア内にもかかわらず吉田を中心とした激しいディフェンスの前にシュートが打てません。これを凌いだ鳥栖は水沼と吉田がハイタッチを交わします。

終盤は東京のストロングポイントである太田からのクロスを多用しますが、流れの中からのクロスはことごとく跳ね返されてしまいます。一方、セットプレーでは森重真人の頭に合うものの、ゴールには至りません。

逆に39分、水沼の背後を狙ったパスに抜け出した鎌田大地が右足を振り抜くと、ボールがゴールポストを叩きました。両チームを通じて、この試合最大の決定機でした。

4分あったアディショナルタイムの最後は中島のパスが乱れ、クリアされたところでタイムアップ。スコアレスドローで終わりました。この結果により、モンテディオ山形を4対0で下したガンバ大阪に年間勝ち点で並ばれ、得失点の差で4位に転落。あと1点が遠く、最後の最後で頂を目指した戦いに挑む権利を失ってしまいました。

また、試合後のセレモニーではフィッカデンティ監督が、就任してからの「この2年」という言葉を多用。話の内容からは、別れの挨拶のように聞こえました。天皇杯は残っていますが、FC東京にとっては一つの時代が終わろうとしているようです。