立ち上がりは湘南が勢いよく攻めていました。前半4分には広島のCKを阻止してカウンターを発動。ドリブルで持ち上がった遠藤航のパスはミハエル・ミキッチにカットされましたが、湘南らしい形を見せました。

しかし、佐藤寿人もディフェンスに貢献するなどして、積極的な湘南の攻撃を凌ぐと、広島は最終ラインを中心にじっくりとボールを回しだします。決して慌てることなく、ゲームを落ち着かせにかかります。次第に清水航平とミキッチの両サイドを使えるようになり、そこからのクロスでチャンスをつくろうとします。

24分、その形が先制点に繋がります。湘南ディフェンスの背後を狙った塩谷司のロングパスがミキッチに通ると、ミキッチは菊池大介を切り返してかわし、マイナスのクロスを入れます。そこに走り込んだドウグラスが合わせてゴールを奪いました。

さらに1分後、中盤で柴崎晃誠がボールを奪い、左サイドを追い越してきた清水に預けます。清水は冷静にぽっかり空いた中央のスペースにボールを転がします。そこへ入ってきた青山敏弘がフリーの状態で右足を振り抜き、加点に成功しました。

その後は緩急をつけた攻撃と安定した守備で広島が優位に立ち、42分には長らく待ち望まれていた佐藤寿人のゴールが生まれました。佐藤は中盤でのパス回しに絡むとそこから一気に前線に上がり、清水のクロスに頭を合わせます。マークについていたアンドレ・バイアの視界からうまく消えてのフィニッシュでした。

これでJ1通算得点トップタイとなり、広島の選手達は佐藤を胴上げして称えました。歓喜のセレモニーが長引き、副審らしき人物の「ダメだよ、次は。頼むよ」と注意する声がマイクに拾われていました。

後半は互いにシュートを打ち合う展開になりますが、3点リードしているにもかかわらず守備にもぬかりのない広島はゴールを許しません。後半16分に佐藤が下がり、浅野拓磨が投入されると、浅野のスピードを生かそうとした攻めに切り替えます。

そして27分、清水が藤田征也を振り切ってクロスを上げ、そこにドウグラスが三竿雄斗より前に飛び込んで4対0とします。44分にも柏好文のパスを受けてシュートを決め、ハットトリックを達成しました。この場面では浅野が湘南DFを引き付けてできたスペースに走り込んでいました。

湘南も大差をつけられはしましたが、選手交代で配置を変えるなどして、最後まであきらめずに攻めていました。38分、39分と立て続けに途中出場の藤田祥史がヘディングシュートを放つシーンもありました。しかし、林卓人が好セーブを見せて完封。最後まで隙を見せなかった広島が完勝で2ndステージ優勝と年間勝ち点1位の座を獲得しました。