序盤、縦への意識の強いサッカーを志向したINACでしたが、CBの田中明日菜のところから三度ピンチを招いてしまい、全体の軸足をなかなか前へ向けられずにいました。

すると前半21分、この日先発に抜擢された杉田妃和の縦パスを高良亮子にカットされると、テンポよく前にボールを繋がれ、有町紗央里のスルーパスに井上綾香が抜け出します。井上がクロスを上げ、それを嘉数飛鳥が押し込んで仙台が先制します。

さらに43分には、井上のリターンを受けた嘉数がスルーパスを供給。CBの間を抜けた有町が豪快にシュートを決め、リードを2点に広げました。

前節同様流動的に攻めたINACは、肝心なパスのズレが目立ち、ほとんどいいところがなく、自分達で試合を難しくしていました。唯一、決定的と言える場面は32分、ペナルティエリア内のこぼれ球に反応した道上彩花のシュートくらいしかありませんでした。

何としてでも試合をひっくり返したいINACは、杉田と伊藤美紀を下げ、川澄奈穂美と近賀ゆかりを後半頭から投入します。これによりポジションの大幅な入れ替えが行われ、不安定だったCBの田中と三宅史織の立ち位置も変えました。

松田岳夫監督の積極策がメッセージとなって、チームは息を吹き返すのに成功します。まずは増矢理花がドリブルで仕掛けて倒されて得たFKを伊藤香菜子がポストに当て、その直後には中島依美のFKの流れから近賀がシュートを放ち、中野真奈美のブロックでCKを獲得します。

そして後半8分のこの伊藤香菜子のCKを、道上が頭で合わせて1点差に詰め寄ります。澤穂希がニアサイドに移動してDFを引き付けたことも奏功しました。

これで攻守ともに集中力が高まったかに見えたINACでしたが、20分に再び突き放されます。田中の前線へのパスが坂井優紀に難なく渡り、ダイレクトで嘉数に通ります。そしてオーバーラップしてきた坂井にボールが戻ると、坂井はファーサイドにクロスを上げました。そこにフリーでいた中野がダイレクトで合わせ、ゴールネットを豪快に揺さぶりました。

とどめは28分、中野のFKを千葉梢恵が頭で合わせてスコアを4対1とします。4分後に増矢が得点を奪いましたが、両者ともここで打ち止めとなりました。

終盤は、これまで前線の躍動感で圧倒し、守備でも惜しみなくハードワークしていた仙台の運動量が落ち、INACが立て続けにシュートを打つ場面もあったものの、武仲麗依を慌てさせるほどではありませんでした。

懸命の追撃が及ばなかったINACはレギュラーシリーズで負けていなかった新潟、仙台相手に連敗を喫し、王座奪還は厳しくなってしまいました。