INACは近賀ゆかり、中島依美の両SBを攻撃時には中盤の中央に上げる変則的なシステムで挑み、序盤から新潟ゴールに襲い掛かりました。ワイドの位置には前線の川澄奈穂美と増矢理花しかいない前掛かりかつ攻撃的な布陣で、主導権を握ることに成功すれば、引き下がることなく相手を圧倒できる形でした。しかし新潟の労を惜しまないディフェンスを前になかなかシュートまで至らず、パスミスで相手にボールをプレゼントするシーンが目立ちました。

それでも前半33分、増矢が前線でキープしたボールを伊藤美紀に預けると、最終ラインからボランチの位置まで幅広くケアしていた背番号22がクロスを上げます。ボールの軌道上にいた高瀬愛実が身をかがめ、後方から来ていた近賀が頭で合わせました。ここはINACの流動的なやり方が奏功した場面でしたが、福村香奈絵が阻止します。

試合が動いたのは前半41分でした。高瀬から伊藤美紀へのバックパスがずれたところを上尾野辺めぐみに奪われると、上尾野辺は揃っていないINACの最終ラインの背後にパスを出しました。そこへ抜け出た山崎円美が、ペナルティエリアを飛び出してきた海堀あゆみをかわし、体勢を崩しながらフィニッシュを決めます。

さらにハーフタイム明けの後半6分、今度は左SBの渡辺彩香がINACの両CBの裏を突いたロングパスを供給。走り込んだ山崎が、シュートコースを消しに来た海堀の頭上を越えるループシュートを放ち、ボールは転々としながらゴールネットに吸い込まれました。全体として前への意識が強すぎるがゆえに想定されたリスクが、現実化したような失点です。

追い込まれたINACは、南山千明、杉田妃和をピッチに送り込み、中盤の活性化を図ろうとします。ただ、整然とした新潟ディフェンスを思うように崩せず、主導権を握るまでには至りません。またセットプレーのチャンスでは変化をつけてみるものの、それがことごとく失敗に終わるという有様でした。

結局、攻撃への強い意欲を持って臨んだはずでしたが、オフサイドをとられたり、クロスが流れるなどして、後半のINACはシュートを1本も打てませんでした。焦っているようには見られませんでしたが、印象に残るような決定機一歩手前のようなシーンはなく、さすがにこれではどうしようもありません。

幸い首位の日テレ・ベレーザが敗れたため、3位に転落こそしたものの勝ち点差は3のままとなりました。とはいえ次の試合に希望を見出せる部分は残念ながらほとんどありませんでした。