川崎は序盤、広島にじっくりビルドアップをさせないようにと高い位置からプレスをかけてスタートしました。加えて攻守の切り替えも速く、ファウルにはなるものの大島僚太は体を張って広島の攻撃をつぶします。

中盤と最終ラインの間に人が入るように努め、優勢に試合を進める中で、アウェイチームにビッグチャンスが訪れました。まずは前半21分、中野嘉大からボールを受けた大久保嘉人がふわりとしたクロスを上げ、小林悠が頭で合わせます。ここは林卓人が阻止しました。

35分には大島がタイミングを計って出したスルーパスに大久保が走り抜けてシュートを打つも、林にセーブされ、さらに小林がこぼれ球を狙いましたが、体を投げ出した青山敏弘にブロックされました。

チャンスを生かしきれずにいると、後半5分に失点を喫します。清水航平がエウシーニョに倒されて得たFKの流れで、キッカーだった柴崎晃誠がこぼれ球に反応し、ペナルティエリアの外から鋭いシュートを決めました。

上位争いに生き残るため、是が非でも勝ち点3の欲しい川崎が積極的にシュートを打って攻めるのに対し、森保一監督はスピードのある浅野拓磨を佐藤寿人に代えて送り込み、前掛かりになりがちな相手にカウンターを仕掛ける態勢を整えます。

急ぎたい川崎はバイタルエリアでボールが繋がらず、攻め疲れもあってか次第に運動量が低下。そんな中、中盤でフリーになった大久保がアウトにかけたミドルシュートを決めて同点に追い付きます。残り10分を切った状況での貴重な一撃でした。

今度は広島も前に重心を置くようになり、互いに攻め合う流れになります。

すると48分、浅野が谷口彰悟をかわしてカウンターの形になり、猛然と左サイドを走ってゴールに向かいます。それに対して中村憲剛が懸命に下がってプレーを遅らせるのに成功。クロスを封じるところまではうまくいきましたが、二度目に阻止したボールを大島がクリアしたところ、それが投入されたばかりの山岸智の前にこぼれてしまいました。前が空いていたため、山岸はダイレクトで左足を合わせると、ボールはゴールネットを揺らしました。

残り時間はほとんどなく、やや不運な失点によって川崎は敗れてしまいました。年間順位で上位を狙うにはあとがなかったチームにとっては、悔やまれる一敗となりました。