前半のINACは最終ラインでボールを回すことこそできていたものの、そこから先の攻めがうまく組み立てられませんでした。スピードは上がらず、らしくないパスミスを連発し、なかなか前線にボールが収まらないのです。当然、攻撃には迫力がありません。

反対にジェフはDFラインを高く設定し、ロングボールを織り交ぜながらINACゴールに勢いよく攻め込みました。前半19分には左サイドの増矢理花が中央に絞っていてできたスペースを突いて、カウンターを仕掛けます。最後は保坂のどかがクロスを上げ、菅澤優衣香が悠々と頭で合わせました。ボールは惜しくも枠を外れてしまいます。

さらに42分、山根恵里奈のパンチングのこぼれを拾った瀬戸口梢が前方へパスを送り、菅澤に渡ります。INACが前掛かりになっていたため、対応するのは甲斐潤子ただ一人。菅澤はドリブルしながら間合いを取って、田中明日菜が援護で近寄る前にシュートを放ちました。ところがシュートに力がなく、海堀あゆみが正面でがっちりキャッチします。

流れの悪いINACは、ハーフタイム明けに近賀ゆかりを下げて鮫島彩を投入。左SBの中島依美を右に移して、攻撃の活性化を図ります。また前半あまりかけていなかったプレスも、後半序盤は積極的にかけていきました。

それでもリズムはジェフの方がよく、後半6分には鮫島のコントロールミスを逃さず保坂がシュートを打ち、9分には瀬戸口の際どいFKもありました。

王座奪還を狙うINACが目覚めたのは残り20分を切ってからでした。まずは29分、ルーズボールを拾った澤穂希が増矢にボールを預けると、増矢は相手最終ラインの背後を狙ったスルーパスを供給します。すると絶妙な抜け出しを見せたチャン・スルギが山根と1対1になりました。ここは冷静に対処した山根が止めます。先制する絶好のチャンスを逃したチャン・スルギは、両膝をつき、両手で顔を覆いました。

36分、今度は伊藤美紀の前方への浮き球のパスに中島が中央に走り込んで反応するも、体を投げ出した山根に防がれます。その後のチャン・スルギのシュートも山根は落ち着いてセーブしました。

最後は41分、投入されたばかりの高瀬愛実がやや角度のないところからスライディングシュートを打ちますが、またしても山根に右足でセーブされました。ただこの場面は、マイナスのクロスを入れて、中央でパスを待っていた増矢を選択する方法もあったかもしれません。もちろん得点を求められているFWとしては、判断は間違っていないのですが。

結局、再三の決定機を山根に阻まれて生かせなかったINACは、勝ち点1を積み上げるにとどまりました。レギュラーシリーズ首位の座を守るには決して悪くない結果です。ただ、これから突入するエキサイティングシリーズを考えると、得点を奪えず勝ち切れなかったというのはもどかしさが残ります。