勝って首位INAC神戸との勝ち点差1をキープしたいベレーザと、エキサイティングシリーズ進出のために勝ち点を積み上げたい浦和との激突は、スコアレスに終わったものの最後までテンポの落ちない白熱した90分となりました。

序盤から互いに球際の激しさを見せ、中盤での潰し合いが繰り広げられる中、先にペースを握ったのはどちらかと言えば浦和でした。ベレーザは細かくパスを繋いで打開を図ろうとはしていましたが、浦和守備陣を混乱させるような崩しはできていません。

思うような形がつくれずにいると、浦和にカウンターを食らって臼井理絵にシュートを打たれたり、加藤千佳にクロスを上げられたりしました。前半28分には中盤で岸川奈津希が上辻佑実からボールを奪い、パスを受けた加藤が阪口夢穂の股を抜くドリブルでエリア内に進入。マイナスのクロスを送ります。ここは清水梨紗と有吉佐織の両サイドバックが絞って、さらには原菜摘子も戻って懸命のディフェンスで阻止しました。

かろうじて難局を乗り越えたベレーザが、次第にギアを上げて攻勢に出ます。前半40分以降は主導権を握り返し、ビッグチャンスをつくりました。

43分、清水の右からのクロスを田中美南がスルー。阪口が池田咲紀子とほぼ1対1の状態になります。絶好機を逃すまいと阪口はシュートを放ちますが、池田が左足のつま先にボールを当てて防ぎました。

後半に入ってもベレーザの勢いは落ちません。ただ、浦和のようにミドルシュートを打つ場面はほとんどなく、ペナルティエリアに入っても繋ぐサッカーを継続。あくまでも完璧な崩しにこだわるがゆえか、決定的なシュートを打つところまでは行きませんでした。

しかし残り時間が少なくなってきたところで、田中がようやくFWとしての力を発揮します。まず41分、上辻が柴田華絵のクリアをカットすると、投入されたばかりの木龍七瀬に預けます。エリア内に入った木龍のパスを受けた田中がターンして体勢を少し崩しながら強烈なシュートを放ちました。ボールは池田の頭上を越え、惜しくもクロスバーを直撃します。

さらにアディショナルタイムに入った47分、有吉のクロスをファーサイドで待ち構えて頭で合わせるも枠をとらえられませんでした。このシーンは臼井が田中にきっちり体をつけていたため、自由を奪われていたことも影響しました。

これがこの試合を通じて最後のシュートとなり、タイムアップを迎えます。その瞬間、両チームの選手の多くがうなだれていました。どちらも負けはしなかったものの、望ましい結果ではなかったということです。そしてレギュラーシリーズ残り2試合という中で、INACとベレーザとの勝ち点差は再び3に広がってしまいました。