雨の中の戦いは、いい時間帯に得点を重ねた広島が名古屋に完勝しました。

序盤はミハエル・ミキッチが右サイドを制圧して、前半6分と9分にゴールを生みだしていきます。まずは本多勇喜のパスがミキッチへのプレゼントパスになり、ショートカウンターを発動。矢田旭をかわして上げたクロスはドウグラスが頭でコースを変えて先制しました。

さらにドウグラスのスルーパスに反応し、小川佳純とのフィジカル勝負に勝ったミキッチがフリーで抜け出し、オフサイドにならないグラウンダーのボールを供給。ボールの転がる先にいた佐藤寿人がプッシュしてあっさりと加点します。佐藤の手前には野津田岳人がいましたが、J1通算得点記録のかかったエースにフィニッシュを譲りました。

その後はゴールこそなかったものの、選手間の距離のバランスがよくない名古屋を相手に、中盤ではほぼフリーの青山敏弘がチームを巧みに操り、前線の選手が果敢にシュートを打っていきました。

名古屋の唯一のチャンスは28分、ミリヴォイェ・ノヴァコヴィッチが中央で広島DFを引き付け、後方から上がってきた小川がシュートを放ったシーンです。しかしシュートは林卓人の正面でした。

後半になると、シャドーを務める永井謙佑と川又堅碁が前掛かりになりすぎないようにポジションを修正するなど、バランスの改善を図り、FKのチャンスも得ましたが、得点を奪ったのはサンフレッチェでした。

7分、狙いが不透明な小川のパスを野津田が奪ってゴール前まで持ち込み、パスを受けた左サイドの柏好文がダイレクトでマイナスのボールを送ります。ボールは青山には合わなかったものの、猛然と走ってきたドウグラスが合わせてリードを3点に広げました。

26分には佐藤に代わって入った浅野拓磨がPKを決めて、4対0とします。この後半の2点が大きくものを言いました。グランパスに2点を奪われてしまったからです。

31分に田中マルクス闘莉王のPKを林が止めるも、直後のCKで牟田雄祐にゴールを許し、一時的に名古屋に躍動感が生まれてパスが回りだします。すると34分、前線にいた闘莉王の浮き球のパスの先にいた永井がヘディングで加点し、点差が2点に縮まりました。

しかし最後にゴールネットを揺らしてとどめを刺したのは広島でした。40分、森崎和幸からのサイドチェンジのボールを受けたミキッチが田中輝希を振り切ってクロスを上げると、ドウグラスは丁寧に頭で合わせ、スコアを5対2としました。

この日、浦和レッズが横浜F・マリノスに敗れたため、相手のミスを逃さずゴールに結び付け、勝ち点3を積み上げた広島は年間順位の首位に立ちました。