最初にチャンスをつくったのは、山形でした。この日先発起用された中島翔哉がロメロ・フランクを倒して得たFKで、宮阪政樹がすばらしい弾道のボールを蹴ったのです。残念ながらゴールポストに嫌われ、先制のチャンスを逸しました。

その後はブロックを敷いたタイトな守備で、東京を手こずらせます。東京のチャンスは、選手の配置を変えて4-3-3にした直後でした。

前半22分、ルーズになったボールを米本拓司がダイレクトで前田遼一に繋ぐと、最終ラインの背後に抜け出た中島翔哉に向けてスルーパスが出ます。中島はGKの山岸範宏とほぼ1対1の状態になり、冷静に浮かせたシュートを放ちました。ところがボールは枠を外れていきました。

26分には太田宏介のクロスに高橋秀人が、29分には3トップで崩して中島がシュートを打ち、いいリズムが東京に生まれていきます。

しかし、ここからホームチームに試練が訪れます。30分、中盤でのボールの奪い合いの中で梶山陽平が當間建文と接触して左足を痛め、5分あったアディショナルタイムで太田も離脱。マッシモ・フィッカデンティ監督は、前半だけで2枚のカードを切らざるを得ませんでした。

そんな中でも前半50分には、自陣からのカウンターで前田からボールを受けた石川直宏がヒールでゴールを狙います。ここは宇佐美宏和に阻まれてしまいました。

後半に入っても東京の攻勢は続き、2分には石川のCKをフリーになった前田が頭を合わせ、4分には羽生直剛がシュートを打ちましたが、これらは山岸に止められてしまいます。

さらに勢いを増そうと、フィッカデンティ監督は12分、中島に代えてフランシスコ・サンダサを投入します。すると早速、14分に石川のクロスにサンダサがボレーで合わせるシーンが生まれました。

その後は山形の人数をかけたカウンターを警戒しつつ、システムを4-4-2に戻して対応していた東京でしたが、さらなるアクシデントに見舞われます。

23分、石川竜也のFKの際、パンチングに出た権田修一と高橋がまともにぶつかってしまい、高橋は鼻から出血するなど危うい状態に陥りました。すでに交代枠を使い切っていた中での事故です。それでも4分後に高橋はピッチに戻り、プレーを続けました。

依然としてスコアは動いていなかったものの、消耗は激しく、苦しい状況に追い込まれていた東京でしたが、サンダサが積極的に絡んでチャンスをつくりました。

35分にはサンダサの当たり負けしない力強い突破から、右サイドの徳永悠平へと渡り、最後は逆サイドを走っていた石川がフリーで打てるチャンスが到来。しかしボールはクロスバーを越えていきました。

また7分あったアディショナルタイムでは、ペナルティエリアでボールを受けたサンダサが、振り向きざまにシュートを放ちました。

結局、これも山岸に難なくキャッチされ、試合はスコアレスドローに終わりました。ただ、勝ち切れなかったとはいえ、たくさんのアクシデントが訪れたにも関わらず、久しぶりに無失点に抑えることができましたので、決して悪くはない勝ち点1獲得となりました。