準々決勝最後の試合は、激しいプレスと固い守りでホスト国カナダを破ったイングランドが2対1で勝利しました。

最初にチャンスをつくったのはカナダでした。前半8分、自陣ペナルティエリア内でソフィー・シュミットが、カレン・カーニーからボールを奪うとドリブルを開始。右サイドの前方にいたクリスティーヌ・シンクレアに預けます。カナダのキャプテンは相手2人を股抜きで突破すると、逆サイドでフリーだったメリッサ・タンクレディにラストパスを送ります。大胆なサイドチェンジを受けたタンクレディは、迷わず右足を振り抜きました。

しかし11分、イングランドが早くも均衡を破ります。カナダのCBローレン・セッセルマンが、デシレ・スコットのバックパスをコントロールしきれず、プレッシャーをかけてきたジョディー・テイラーにボールを奪われてしまいます。テイラーはカバーに回った左SBのアリサ・チャップマンをかわしてシュートを決めました。体を投げ出したカデイシャ・ブキャナンもおよびません。国際映像は喜ぶテイラーと膝に手をついて落ち込むセッセルマンを交互に映し出しました。

これで手を緩めることなく、イングランドは直後の14分に加点します。ファラ・ウィリアムズが遠い位置からのFKをゴールに向かって蹴り、ルーシー・ブロンズがファーサイドでアリサ・チャップマンをものともせず頭を合わせます。ボールはクロスバーを直撃して、ゴールラインの内側に落ちました。前日のアメリカの得点と同様に、ゴールから離れたところでのセットプレーでも油断できないパワーを見せつけました。

28分にも、追加点の時よりは近い位置からのウィリアムズのFKをケイティ・チャップマンが頭で合わせ、バーを直撃するシーンがありました。セットプレーの制空権は完全にイングランドが制圧していました。

2点のビハインドを背負ったカナダは、シュミットとシンクレア中心に攻撃を仕掛けていきます。その攻撃が実ったのが42分でした。クリアボールを拾ったカナダが、相手陣内でパス回しをして、最後にシンクレアのパスを受け取ったアシュリー・ローレンスがターンしてジェイド・ムーアをかわし、シュートを放ちます。これをカレン・バーズリーが捕球しきれず、シンクレアが押し込んで1点差に詰め寄りました。

後半も両者が攻め合う展開が続きました。まずイングランドは10分、シュミットからボール奪取したカーニーが持ち込んでラストパスを送ると、テイラーがシュートを打ちました。しかしエリン・マクラウドがセーブして3点目を阻止します。

対するカナダは17分にペナルティエリア手前でステフ・ホートンからシンクレアがボールを取ると、そのボールがタンクレディに渡ります。ここではシュートを打つタイミングが遅れ、クリアされます。

主導権を握りきれない中でなんとか同点に追い付こうとジョン・ハードマン監督は手を打ち、ダイアナ・マセソン、アドリアーナ・レオン、ケイリン・カイルを送り込みました。

そして38分、相手エリア内でローレンスがボールを拾うと、一旦、外のレオンに預けます。するとレオンは左足でストレート系のクロスを上げ、シュミットがダイレクトで合わせました。ところがボールはゴールを大きく外れてしまいました。絶好のチャンスを逃した格好です。

その後も互いにシュートを打ち合うも、スコアは動かず、2対1で終わりました。イングランドは後半の早い時間帯にGKのバーズリーがアクシデントで交代するシーンがありましたが、それでもゴールを許しませんでした。わずか3分間に得点を重ねた一気呵成の攻撃と、簡単にパスを通さず、ミスを見逃さず、そして何より労を惜しまないプレスでカナダを退けました。