ワールドカップ出場国同士の対戦は、なでしこジャパンが勝負強さを発揮して1対0で勝利を収めました。

とはいえ、日本はエンジンがかかるまでに時間がかかってしまいました。11分にアナリー・ロンゴが右サイドから走ってサラ・グレゴリアスとのワンツーを決め、そのシュートを山根恵里奈がキャッチして、ようやく目が覚めたのか、攻めのスイッチが入りました。

以降は日本のFKやCKが続き、前半23分に均衡を破ります。宮間あやのCKに澤穂希が中央で右足を合わせてゴールを奪ったのです。マークについていたケイティー・ダンカンを振り切っての一撃で、本大会までとっておきたいような鮮やかさでした。

先制した後は、鮫島彩、宮間のいる左サイドを中心に攻め込みます。そして29分、44分には大儀見優希がミドルシュートを放ち、ゴールを狙いました。

ところが後半になると、いきなりピンチが訪れます。3分、最終ラインの背後をつかれたボールに対し、熊谷紗希の反応が遅れてしまい、ハナ・ウィルキンソンをペナルティエリア内で倒したとしてPKの判定が下ったのです。

幸いウィルキンソンのPKはクロスバーを越えたため、難を逃れましたが、まだまだゴール前に迫られるピンチが続きます。

13分、遠い位置からのFKへの対応で山根も飛び出してゴール前が混戦になり、競り勝ったアビー・アーセグのヘッドの落下地点にいたアンバー・ハーンが頭を振って押し込みます。ここは岩清水梓の懸命のカバーによって救われました。

ピンチの後にはチャンスが訪れると言いますが、この試合ではなでしこに再び風が吹くことなく、絶好機をつくれないままタイムアップを迎えてしまいました。決して引かないニュージーランドが高い位置からボールを奪いに来ていたため、しばしばミスを犯すほど後方でのビルドアップに苦労し、持ち前のパスサッカーを展開できずにいました。

ただ、ワールドカップを想定した試合という意味では、緊張感が高く、ニュージーランドは申し分ない対戦相手でした。そして、順調な仕上がりとは断言できないものの、このギリギリの状況できっちり勝ち切る強さは、さすがディフェンディングチャンピオンと言わざるを得ません。