スコアだけ見れば、バイエルンが意地の逆転勝利となりましたが、1stレグでついた3点の差は大きく、終盤になるにつれ凡戦と化していきました。

先制はバイエルンでした。前半7分、シャビ・アロンソのCKをフリーのメディ・ベナティアが合わせて、ゴール左隅に押し込んでバルサとの得点差を2に縮めます。

8分後、悪夢が現実に起きます。相手のロングボールをジョルディ・アルバが拾うと、そのままアンドレス・イニエスタに渡します。イニエスタは浮き球でネイマールにパスを送ると、ブラジルの至宝がドリブルを開始。バイエルンDFを十分に引き付けてリオネル・メッシにボールを預け、自身は最終ラインを気にしつつ前線に移動します。

ゆっくりボールを受けたメッシは、猛然と走るルイス・スアレスに絶妙のタイミングでスルーパス。スアレスはベナティアとマヌエル・ノイアーの興味を自分に向けさせてネイマールへ。ネイマールはただ足を合わせるだけでネットを揺らしました。1週間前にバイエルンが取れなかった貴重な貴重なアウェイゴールを奪ったのです。

さらに29分、痛恨の一撃が加わります。今度はハビエル・マスチェラーノのロングフィードをメッシが頭で落とすと、その先にはスアレスがいました。またもバイエルンDFを連れて走ると、ネイマールに託します。ネイマールはトラップから鮮やかにゴールを陥れました。

それでもあきらめないのがドイツ王者です。40分にはチアゴ・アルカンタラのシュートがイニエスタに当たってこぼれたボールに対し、ロベルト・レバンドフスキが右足を振り抜きました。ここはマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンが長い腕で一度はセーブしながらゴールラインに転がったボールをかきだします。

前半を1対2で終えると、バルサのルイス・エンリケ監督は堅実な采配をしていきます。好調だったルイス・スアレスを下げて、後半開始からペドロ・ロドリゲスを投入。メッシを右サイドから中央に移動させて、守備のバランスを整えます。

26分にはジェレミー・マチューを送り出し、マスチェラーノを中盤に上げてディフェンスを強化します。最後は29分にイニエスタに代えてシャビを投入。試合を締めにかかりました。

こうした采配が繰り広げられる間にバイエルンは、ミドルシュートを浴びせながら、レバンドフスキとミュラーがゴールを決めて、2ndレグのみのスコアはひっくり返したのですが、依然トータルスコアは3対5。焼け石に水といった空気はどうにも解消できません。

最後まで攻撃の姿勢は貫きましたが、バルサに逃げ切りを許し、バイエルンは準決勝で姿を消すこととなりました。ただ、ワールドカップ直後のシーズンで負傷者も多い中、強烈なインパクトを残しつつ、ここまで戦ってきたことは強く印象に残りました。