6月のカナダワールドカップメンバーを7人揃えた「ほぼなでしこジャパン」のINACが新潟に勝ち、連勝を6に伸ばして、首位をがっちりキープしました。
序盤はどちらもなかなか主導権を握れずにいましたが、徐々に新潟の密集した守備がはまり、INACを苦しめます。
前半16分、鮫島彩から田中明日菜へのパスミスをかっさらった上尾野辺めぐみが左足を振り抜き、豪快かつ美しいゴールを決めて均衡を破ります。海堀あゆみも反応しましたが、届きませんでした。
INACは25分に伊藤香菜子からボールを受けた増矢理花がドリブルからシュート、36分には川澄奈穂美が右サイドからペナルティエリアに侵入しシュートを放つなどしましたが、いずれも一谷朋子の正面でした。
こうしてシュート数こそ新潟を上回るも、気温が高いせいか全体的に動きが重い前半でした。
それでも立て直せるのがINACの強さで、後半15分には大野忍のパスを受けた京川舞が、新潟DFを切り裂くダイアゴナルのパスを送ると、フリーで抜け出した近賀ゆかりが強烈なシュートを決めます。思わずガッツポーズの出た同点弾は、自らの誕生日を祝うような一発でした。
直後に上尾野辺のFKを北原佳奈がニアサイドで合わせ、海堀がかろうじてセーブし、ボールがポストに当たるというヒヤリとする場面がありましたが、これを凌ぐとINACはすばやい守備で新潟を封じるようになります。
攻撃はカウンターが効くようになり、22分にはシュートブロックでこぼれたボールを伊藤香菜子が拾い、自陣深い位置からドリブルをスタート。川澄が伊藤からボールを受け、ドリブルで運んだ後、スルーパスを通します。それを受けた増矢が冷静に流し込みました。増矢はオフサイドポジションにいたようにも見えましたが、アシスタントレフェリーのフラッグは上がりませんでした。
その後も手を緩めないINACは、25分に近賀とのワンツーから北原を抜いての川澄のシュート、31分の澤穂希のミドルシュートなどで新潟を圧倒します。
結局、スコアは動かず、2対1でINACが勝利を収めました。
先制されても動じない強さ、落ち着き、プレーの安定感は見ていて安心できる反面、年齢を重ねたINACのなでしこメンバーにはスピーディーさがやや欠けている印象を受けます。後半43分までピッチを縦横無尽に走り抜いた増矢のようなフレッシュでアクセントをつけられる若いアタッカーが、なでしこには不足しているように思えてなりません。