42,604人を集めた多摩川クラシコは、FC東京の逆転勝ちで幕を閉じました。

変則的なシステムからオーソドックスな4-4-2に戻した川崎は序盤、パスの出しどころが見つからずに迷ったりためらったりする光景が目立っていました。

それでも前半21分、中村憲剛のFKをファーサイドにいた大久保嘉人が頭で合わせてゴールを決めました。同じようにFKをファーサイドに蹴って合わせるパターンをその後二度繰り返していたので、この先制点の形は狙い通りだったと思われます。

J1通算得点で三浦知良を超えた大久保は、チームメイトと喜びのカズダンスを披露。近くに陣取っていた大勢の東京サポーターから強烈なブーイングを浴びながらのパフォーマンスでした。

これで勢いづいた川崎はボール回しに躊躇がなくなり、持ち味を出し始めていきます。前半終了時には東京の選手の足が止まり、川崎がペースを握ったまま前半を終えました。

当然、このまま終わるはずはなく、発破をかけられたと思しき東京は後半、前線から激しいプレッシャーをかけていきます。また、マッシモ・フィッカデンティ監督は、後半頭から東慶悟を同5分には前田遼一を投入し、攻撃の姿勢を強くします。

そんな中での19分、車屋紳太郎が武藤嘉紀の突破をファウルで止めてしまい、2枚目のイエローをもらって退場になってしまいました。風間八宏監督は応急処置として、トップの船山貴之を下げて角田誠を入れざるを得なくなりました。

さらに26分、西部洋平がほとんど動けないほどのFKが、太田宏介の左足から放たれて同点に追い付かれます。数的不利の川崎にとっては重い1点でした。

スタジアムのボルテージが上がり、東京のイケイケムードは一層高まります。守り固めに慣れていない川崎は、それを抑えきることができず、主導権を握り返せません。徐々に足取りも重くなっていきました。

そして42分、太田のFKをフリーの武藤がヘッドで押し込み、東京が勝ち越しを決めました。たまらずエウシーニョを下げ、最前線に杉本健勇を入れて4分のアディショナルタイムで同点に追い付こうとしましたが、特にパワープレーをするわけでもなく、数的不利と4-3-2というアンバランスな選手配置のせいからか、ボールの回りもよくなかったため奏功しません。

結果、川崎は前節の柏戦に続いて、2試合連続逆転負けという屈辱を味わうことになりました。GWをはさんだ連戦の中で、非常に痛い敗戦です。