ポゼッションでは劣勢だったチェルシーが、最後まで守り抜き勝ち点1を獲得しました。

オスカルを最前線に置いたチェルシーは、序盤こそ早目に前線からのアプローチを仕掛けましたが、気づけばいつものように細かいパスを回させないような守備ブロックを作る形になりました。オリビエ・ジルーにはCBのジョン・テリーとガリー・ケーヒルががっちりとついて仕事をさせません。

最初にビッグチャンスを作ったのはチェルシー。前半15分、この日ボランチに入り、守備時は主にメスト・エジルを見ていたセスク・ファブレガスが素早い動きでロングパスを送ると、オスカルが飛び出してきたダビド・オスピナをかわそうとループシュートを放ちます。しかしギリギリのところでエクトル・ベジェリンがヘッドでクリアして難を逃れました。

その後もロングパスを使うなどして、シンプルに縦に攻撃を仕掛けていきます。38分にはウィリアンがドリブルで持ち込み、右足アウトサイドでラミレスに絶妙なパスを送ります。ラミレスのシュートはコースを狙った力ないもので、オスピナが体を倒してキャッチしました。

34分にボールがケーヒルの腕に当たり、ハンドによるPKかという場面はありましたが、ほとんどの時間は中央をきっちり締めてアーセナルに崩させません。

ハーフタイム明けには前述の決定機にオスピナと衝突したオスカルに代え、ディディエ・ドログバが投入され、セスクが一列前にポジションを上げました。

それでもチェルシーは慎重に無理をしないボール回しをして時間を使います。前半に見せた果敢な攻撃は鳴りを潜めてしまいました。失点をしないことを最優先した戦い方にシフトしたと言えます。

そこでアーセナルが決定機を作れたかというと、そうでもなく、後半24分のFKのこぼれ球に反応したペア・メルテザッカーのシュートはフリーだったにもかかわらず枠を外れ、31分にオーバーラップしたローラン・コシールニーからのマイナスのクロスを受けたサンティ・カソルラのシュートも、ゴールの右側を通過していきました。

終盤の選手交代は対照的でアーセン・ベンゲル監督はセオ・ウォルコット、ダニー・ウェルベックを入れたのに対し、ジョゼ・モウリーニョ監督はセスクに代えてクル・ズマを、アディショナルタイムには守備にも奮闘していたウィリアンに代えてフアン・クアドラードを投入しました。

46分のナチョ・モンレアルのグラウンダーのクロスに反応したエジルとウェルベックのシュートが不発に終わり、結局スコアレスドローで試合は終了しました。直後、ジョン・テリーやセサル・アスピリクエタの顔には笑顔が見られました。彼らにとっては申し分ない結果だということがはっきりと表れていました。