マカオ戦から中1日でのベトナム戦は、前線に久保裕也、南野拓実といった海外組を配し、さらに中島翔哉、矢島慎也らテクニックを持った選手を並べ、グループ首位通過をより確実にしようとする意図が感じられました。

前半はロングボール一辺倒のベトナム相手になかなかチャンスがつくれず、特に左サイドから山中亮輔がさかんにクロスを上げるものの、ボールが流れてしまうことが多くシュートには至りません。

最初の決定機は23分。大島僚太の縦パスを南野がスルー。パスを受けた中島が縦に仕掛けて左足でシュートを放ちました。ここはGKフィー・ミン・ロンにセーブされます。

このあたりから中盤でボールを奪えるようになり、31分には南野が高い位置でボールを奪ってシュートを打ちました。その後もさらにシュートチャンスをつくりだしますが、ゴールには至りません。

待望の先制点の瞬間は43分に訪れます。マイボールにしてから久保が南野に落とし、南野が右足アウトサイドで中島へパス。中島はペナルティエリアを右から左に横断し、南野が一瞬触ったボールを最後は自らフワリとしたシュートでゴールに決めました。いい時間帯での得点に手倉森誠監督も安堵の表情を浮かべていました。

そのままハーフタイムを迎えるかに思われた45分、ベトナムがFKのチャンスを得ると、ヴー・ヴァン・タインの正確なキックにフィン・タン・タイが合わせます。ここは櫛引政敏がセーブして難を逃れました。

後半になるとしばらくの間、日本はサイドからのクロスを封印します。それでもなかなかチャンスをつくれないまま、やや荒れた展開で時間が進んでいきました。

終盤はベトナムが攻勢に出て、日本が懸命のクリアで凌ぐ場面も目立ちました。それだけでなく、ぬかるんだピッチと暑さも影響してか、運動量もガクンと落ちてきます。

そこで最悪でも1対0で逃げ切りを図ろうと、40分あたりからは最終ラインでキープしたり、櫛引がFKをなかなか蹴らなかったりして時計の針を進めようとしました。

しかしタイムアップ直前の後半48分、植田直通のロングボールを途中投入の浅野拓磨が絶妙なトラップでキープすると、フリーでエリア内に入ってきた中島へパスを送ります。中島は体勢を整えて、ボールを受けた位置からそのままやわらかいシュートを決めました。

結果、苦しみながらも前半と後半、それぞれの終わり間際に中島が得点を挙げ、2対0で勝ち点3を上積みしました。三浦俊也監督率いるベトナムに、アジアで戦う難しさを痛感させられたような90分でした。