ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が就任して初めての試合です。スタメンには永井謙佑、山口蛍、権田修一らロンドン五輪ベスト4メンバーが6人名を連ね、海外組を揃えたフルサイドで臨みながら、世代交代を感じさせるフレッシュな陣容でチュニジアを迎え撃ちました。

前半は目の前の選手を確実につぶしに行こうとする守備の意識の高さが見られ、その当たりの強さにチュニジアが手こずっているようでした。

絶好機は21分、清武弘嗣のCKを川又堅碁が相手DFに囲まれながらヘディングしたシーンでした。ボールは惜しくもバーを叩き、先制点とはなりません。

その後も25分、28分に藤春廣輝が、32分には長谷部誠のクロスから清武がシュートを放つなど、チュニジアゴールを襲う場面はありましたが、ふかしたり、ミートしなかったりでチャンスを生かせませんでした。

試合が動いたのは、後半15分に香川真司と本田圭佑、27分に宇佐美貴史、岡崎慎司が入ってからでした。特に、しばしば試合の流れに関係なくアップで映された香川と本田のコンビネーションが光っていました。33分の先制点は長谷部の縦パスを受けた香川がドリブルで持ち込み、左サイドを走る本田に預け、本田が体勢を崩しながらクロスを上げると、最後は岡崎が頭で叩き込みました。

さらに38分、追加点が本田によってもたらされます。中盤でボールを奪うと吉田麻也が縦に入れ、本田、宇佐美、岡崎と繋ぎ、左サイドに流れてきた香川へボールが渡り、香川が入れたクロスはモエズ・ベン・シェリフィアに触られますが、こぼれ球に反応した本田がゴールを決めました。

39分になると、今野泰幸、内田篤人が投入され、気づけばスタメンの半分以上が見慣れた顔ぶれになっていました。ただ、誰もが先発安泰ではないという環境をハリルホジッチ監督がつくりだしていたのは、チームにとってプラスに働きそうです。

そんな中で44分、代表デビュー戦の宇佐美に絶好のチャンスが訪れます。今野が中盤で競り勝ったボールを岡崎が受け、すぐさま香川に預けます。香川は一旦ためて、前方にスルーパスを供給。反応した宇佐美が右足でGKの取れないコースを狙ったのです。しかし残念ながらボールはポストを直撃。こぼれ球はベン・シェリフィアが押さえました。

試合はこのまま終わり、2対0の完封勝利を収めました。相手がどうであれピンチになるような危ない場面はほとんどなく、アジアカップで心が折れた日本にとっては幸先いいスタートとなりました。