守らせたらヨーロッパトップクラスのユベントス。その牙城をドルトムントに最後まで崩させないまま、トータルスコア5対1で勝ち上がりを決めました。

前半3分、ドルトムント陣内のスローインからパスを繋ぎ、やや引き気味に構えていたカルロス・テべスにパトリス・エブラからボールが渡ると、すぐさま右足を振り抜きます。ほとんど回転をしないボールがゴールネットを突き刺しました。

これで優位に立ったユーベは、自陣で激しく、そして分厚く堅いディフェンスでドルトムントにシュートの機会すらつくらせません。実際、ドルトムントには37分のピエール・エメリク・オーバメヤンの力ない枠外シュートくらいしか、印象に残るチャンスはありませんでした。ジャンルイジ・ブッフォンが余裕で見送った場面です。

そのまま時が流れ、アディショナルタイムに後方でゆっくりボールを回していると、我慢しきれないホームのサポーターからブーイングを浴びる始末。ユベントスからすれば、申し分ない前半だったでしょう。

後半もディフェンス中心とはいえ、ペースはアウェイチームが握ります。攻撃でも5分にはテべスのドリブルから、11分にはロベルト・ぺレイラのドリブルから、いずれもアルバル・モラタに渡りシュートを放ちます。ともにロマン・ヴァイデンフェラーが体に当てて防ぎはしたものの、決して多くはない好機を生かして攻撃の鋭さを存分に見せつけます。

すると25分、クラウディオ・マルキージオがドルトムントの高いディフェンスラインの背後を狙ってパスを供給。抜け出したテべスがペナルティエリア内に入るとモラタに預け、モラタは難なくフィニッシュ。準々決勝進出に近づく大きな1点になりました。

34分にも左SBのソクラティス・パパスタロプーロスのトラップミスをステファン・リヒトシュタイナーが拾って、ぺレイラに渡し、ドリブルで突き進むと最後はフリーのテべスへ。その迷いなく振り切ったシュートが決まります。

結局、ドルトムントに打たれるシュートの数こそ増えたものの、絶好機をつくらせぬまま、ユベントスがベスト8入りを決めました。手堅く守って、決定力のある攻撃陣がしとめる。見事なまでの完勝でした。