勝ち点9のリードを持ちながらアウェイの地で守り倒す気満々のユベントスと、前線の運動量が少なくて、パスの出しどころが見つからず、シュートらしいシュートをまるで打てないローマ。前半はユーベのシンプルかつ切れ味鋭いカウンターがなければ、セリエA頂上決戦にしては寂しい45分になっていました。

試合が熱くなってきたのは、後半17分に右SBのヴァシリス・トロシディスが2枚目のイエローカードを受けて退場してから。ここで得たFKをカルロス・テべスが鮮やかに決め、ユーベが先制したのです。

空いてしまった右SBにアレッサンドロ・フロレンツィを入れて応急処置をした後、ルディ・ガルシア監督はフアン・マヌエル・イトゥルベ、ラジャ・ナインゴランといった攻撃的なカードを切っていきます。10人になったといえど、負けるわけにはいかないゲームです。ようやくローマのエンジンがかかりだしました。

イトゥルベ投入直後には、27分のFKでコスタス・マノラスが打点の高いヘッドでジャンルイジ・ブッフォンを脅かすなど、数的不利を感じさせないセットプレーに活路を見出します。

そして後半33分、フロレンツィの右サイドからのFKをセイドゥ・ケイタが頭で合わせると、それがクラウディオ・マルキージオの足に当たりユーベゴールのネットを揺らします。

ようやく同点に追い付くと、ローマがさらにギアを上げ、勇気をもって攻勢に出ます。前半からこういう試合になっていれば……と思わせるほどの展開の劇的な変化です。

ただ、ローマはブッフォンが慌てるような決定機をつくりきれません。健闘むなしく、スコアは動かないままタイムアップを迎えました。王者の壁は厚く、勝ち点差を6に縮めることは叶いませんでした。