22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2025年05月

ミッドウィークは浦和レッズ相手にラストプレーで失点を喫した2-2でしたが、今回は反対に逆転されながら追い付いての2-2でした。

エリソンがその浦和レッズ戦でファン・ウェルメスケルケン・際と交錯して負傷したため、この日は小林悠が最前線に起用されます。

ギラギラした感情を隠そうとしないベテランストライカーは、開始からひたむきにゴールを狙いました。

家長昭博のパスにダイレクトで合わせたり、ドリブルで長距離を運んだ佐々木旭のパスを左足で狙ったりしますが、ゴールには結び付きません。

川崎の先制点はコーナーキックからでした。山本悠樹のキックを佐々木が頭で合わせ、ファーに流れたボールをマルシーニョが仕留めます。

ただ、連戦最初の鹿島アントラーズ戦同様、先制後に攻め入る流れをつくりながら、追加点を奪えないうちに相手に主導権を明け渡してしまいました。

前半終了間際の満田誠のシュートはポストを叩きはしたものの、それをきっかけとしたガンバの勢いはハーフタイムを挟んでも途切れません。

53分には山本が自陣で満田につぶされた後、ガンバボールになり、最後は河原創が宇佐美貴史にボックスでかわされてフィニッシュを許します。

アタッキングサードでの宇佐美の輝きが増すと、今度は60分に鋭いラストパスで山下諒也のゴールをお膳立てしました。

長谷部茂利監督は逆転される前に3人同時交代を行うも、アウェイチームの勢いを止められません。

それでもさらなる交代で河原に代えて大関友翔を入れ、脇坂泰斗を3列目に下げて攻めの姿勢を強めます。

この頃からマルシーニョに代わって入っていた伊藤達哉が、サイドを軽やかに突破する場面が増え始めます。

伊藤のプレーにはキレがあり、79分には大関の股抜きパスを受けてシュートを放ちました。ボールは中谷進之介に当たり、ゴールへと吸い込まれます。

勝ち点3につながる3点目を目指した川崎は、9分のアディショナルタイムを有効に使おうとします。とはいえ最後の最後のクオリティが足らず、ラストプレーとなった遠目からの脇坂のフリーキックも、瀬川祐輔のファウルによってチャンスが潰えてしまいました。

5連戦は2勝2分1敗に終わり、ホームでの4連戦に限れば負けなしだったものの、一気に順位を上げるまでには至りませんでした。

また、多種多様なスルーパスを連発するなど、随所でクオリティの高さを見せていた山本が、90分に負傷交代したことも気がかりです。

主力2人の離脱は攻撃力のダウンにつながりかねないだけに、長引かないことを祈るほかありまけん。


4日前の横浜FC戦の前半のように、ボール保持で圧倒した試合ではありません。それでも終盤に発揮される得点力で見事に勝利を収めました。

前半はハーフタイム付近になるまで絶好機がつくれず、山本悠樹の右からのコーナーキックに山田新が合わせたのが最初の大きなチャンスでした。ここは福井光輝に阻まれます。

その後も67分にエリソンと代わるまで、山田はセレッソゴールに迫ります。しかし、残念ながら得点には至りません。

川崎はそれ以外では、後半立ち上がりに佐々木旭のクロスに脇坂泰斗が頭で合わせる場面がありますが、ここも福井に防がれました。

一方、セレッソには川崎の右サイドを髙橋仁胡とルーカス・フェルナンデスに再三突かれるものの、決定機にはつながせません。安定感を取り戻した山口瑠伊の好判断もありました。

両者の選手交代が都度行われ、互いに攻め合いながらもスコアが動かないまま時間だけが経過していきます。

スコアレスの可能性も否定できなくなった85分、ついに均衡が破れます。途中出場の橘田健人がボールを奪ったのを起点にして、大関友翔のパスを瀬川祐輔がつなぎ、最後はエリソンが軽くボールに触れて、福井の股の間を抜きました。

高い位置でのボール奪取は、この試合だけでなく前の試合でもしばしば見られており、チームとして積極的な守備ができている印象です。

先制点の3分後、今度は佐々木のスローインを丸山祐市がラフに蹴ると、エリソンがボールを懸命に追いかけて頭に当てます。飛び出した福井より早く触り、ボールはゴールへと吸い込まれます。

勝利を決定づける追加点が生まれ、残りは守るのみとなった川崎。DFを削って前に人数をかけてきたセレッソ相手に、自陣での不用意なファウルもなくクリーンシートで締めくくりました。

連勝を飾って6位に浮上した川崎。次は今夏のクラブワールドカップに出場する浦和レッズを迎えての一戦です。


サウジアラビアでの悔しさを晴らしたいのであれば、まずは再び国内で上位に立たなければなりません。だからこそ大事な帰国後の初戦、アウェイとはいえ首位の鹿島を叩きたいゲームでした。

三浦颯太と脇坂泰斗が不在で、左サイドバックには佐々木旭、トップ下には成長著しい大関友翔が起用されます。

わずか7分でコーナーキックから佐々木が決めてリードし、その後も決定機をつくっていました。

相手コーナーキックからのカウンターを伊藤達哉とマルシーニョで行い、鹿島ゴールに迫りました。また、大関が高い位置で奪って、あとは決めるだけというシチュエーションもありました。

いずれも決めきれずに終わり、畳み掛けることができません。ここで容赦なく仕留める力があれば、非常に楽にゲームを進められたでしょう。

川崎が再三ビッグチャンスを逃すと、今度は鹿島の番です。レオ・セアラのシュートは山口瑠伊が難なく押さえたものの、そこから鹿島の流れができます。

マルシーニョの積極的なプレスバックも効いて、川崎は耐えていましたが、45+1分に右からのクロスを山口が弾き損ね、鈴木優磨にマイナスのパスを出されると、舩橋佑に決められてしまいました。

まだ同点ながらスタンドのアントラーズレッドが揺れ、川崎は悪い状態でハーフタイムを迎えます。

ただ、結果から言えば、気候も雰囲気も前の試合の比ではないはずながら、川崎は逆境を跳ね返せませんでした。

大関が後半早い段階で足をつらせて離脱。脇坂がいないため、山内日向汰が呼ばれます。

一方の鹿島もレオ・セアラが離脱して田川亨介が入ると、こちらは敵将となった鬼木達監督の采配が的中。抜け出して山口との1対1をつくり、冷静に沈めました。

逆転を許してからの11分間、川崎に選手交代はありませんでした。早く動いて流れを引き戻す必要があったはずですが、長谷部茂利監督による3枚代えが行われたのは76分のことでした。

それまではフィニッシュまで至らないシーンが続いていましたが、以降は代わって入った山田新にボールを集めていき、山田も期待に応えようとシュートを放ちます。しかし、クロスバーに嫌われるなどしてネットを揺らせません。

チームとしてはシュート数、コーナーキックの数ともに鹿島を上回りますが、勝ち点1さえ取れませんでした。

負けてしまったこのゲームで心配な点は、高井幸大のパフォーマンスです。守備面では大きな破綻は見られなかったものの、パス出しにミスが目立ちました。疲労なのか、激戦で燃え尽きたのかはわかりませんが、一旦休養を与える必要があるのかもしれません。

新たに始まった5連戦。すぐに次の試合が待っていますので、チームとしては這い上がるために立て直さなければなりません。


ボールを保持しているだけでブーイングを浴びる完全アウェイの環境で、前半の川崎は萎縮したかのようでした。勇敢に戦った準決勝とは別のチームに見えました。

その甘さを逃してくれるアル・アハリではありません。ロベルト・フィルミーノとのパス交換で、ガレーノが鮮やかなフィニッシュ。山口瑠伊が手を伸ばしても届かないコースでした。

さらに三浦颯太がフィルミーノとの激突で膝を痛めてピッチを出ていた間に、フィルミーノの右からのラストパスをフランク・ケシエに叩き込まれます。

持ち味を出せないまま失点を重ね、川崎は苦しい状況に追い込まれました。脇坂泰斗が蹴るはずのフリーキックをエリソンも同時に蹴りに行くという、焦り、苛立ちを感じさせる場面もありました。

後半頭、そのエリソンを下げて山田新を投入。川崎は中盤を飛ばすボールを減らし、きっちりつなぐ姿勢を見せます。

相手が前半ほど詰めてこないのもあり、ボール保持の時間は長くなります。リズムを取り戻し、川崎らしいテンポでボールを動かせるようになりました。

65分、長谷部茂利監督は山本悠樹と家長昭博に代えて、準決勝で躍動した大関友翔、伊藤達哉を送り込みます。

2人は期待に応えたプレーを披露しました。大関はトップ下で攻撃のアクセントとなり、伊藤はドリブルで攻め入って積極的にシュートを放ちました。

しかし、ボックスの中で相手に脅威を与える機会は少なく、シュートが枠内に飛ばないためにエドゥアール・メンディを慌てさせるようなシーンをつくれませんでした。

最後はアル・アハリが時間を使う中で、高井幸大を前線に上げてパワープレーを行うも、得点には結び付きません。

結果がすべての厳しい世界だけに、ファイナリストの名前が後世まで語り継がれることはほとんどありません。

だからこそこの悔しさを乗り越えて、リーグ戦で結果を出して出場権を獲得し、再びアジアの頂点を目指すしかありません。


新たな扉をまた一つ開けました。猛者揃いのアル・ナスルを相手に90分で勝利を収め、川崎がファイナルへと駒を進めました。

連戦を考慮して、一部メンバーを入れ替えて臨んだ川崎。この大事な一戦の前線には神田奏真、トップ下には大関友翔が抜擢されます。

この日は全員の守備意識の高さが光りました。マルシーニョがプレスバックで何度もボールを奪い、山本悠樹も適切なポジションで相手の攻撃を防ぎ、高井幸大はクリスティアーノ・ロナウドとのバトルを繰り広げます。

開始早々にモハメド・シマカンのクリアを叩いた伊藤達哉のボレーで先制するも、サディオ・マネの強い振りからの一撃で追い付かれます。

それでも41分、伊藤が果敢な仕掛けで突っ込み、ベントが弾いたボールを大関がプッシュ。前半のうちに再びリードに成功します。

後半頭からは脇坂泰斗とエリソンが満を持して登場。大関と神田は前半だけで退きます。

アル・ナスルは準々決勝のアル・サッド同様に後半はロングボールを多用。川崎を押し下げて攻め入ろうとしました。

30度を超す暑さの中で前半かなり飛ばした川崎は、徐々に下げさせられてしまいますが、守備の網だけは崩さないように努めます。

我慢に我慢を重ね、70分を過ぎると相手の中盤の守備が緩くなります。それでもシュートまでやり切る場面が少なかったのですが、76分に川崎にとっては痛快なゴールが生まれます。

伊藤が自陣で奪ってハーフウェイラインまで運び、山本を経由してエリソンに到達。エリソンはコーナーフラッグ付近でキープすると見せかけて、エメリク・ラポルトの隙をつき、ゴール方向へターン。最後は走り込んできた家長昭博にパスを送り、背番号41は余裕を持ってフィニッシュ。その差を2点にします。

突き放されたアル・ナスルはラポルトも前線に上がって攻めに出てきて、アイマン・ヤヒヤのミドルで1点差とします。

さらに攻めるアル・ナスル。最後の最後にはロナウドが牙を剥きます。得意のフリーキックが続き、3回目のチャンスには壁の横を抜けるボールを蹴りました。ただ、そこは山口瑠伊が懸命の守備を披露します。

その後もロナウドがゴール前に出ていくも、途中出場の佐々木旭が決死のブロックで得点を許しません。

6分のアディショナルタイムを凌ぎ、ファイナルホイッスルが吹かれると、川崎の選手は喜びで倒れ込んだり、感情を爆発させたりします。

次はいよいよ決勝。今度もヨーロッパでの実績十分のプレーヤーが数多くいるアル・アハリと対戦します。戦いながら覚醒している川崎の選手達が、栄光をつかむことができるか。運命の大勝負です。


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