22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2025年04月

クラブの歴史の中で、ずっと越えられなかった壁を突破しました。一昨シーズン、天皇杯の激闘を制して開けた道を突き進み、前進の大会ではこれまで三度阻まれていた準々決勝を勝ち上がります。

長谷部茂利監督のもと、今季はミドルサードで構えて入るゲームが多かった川崎ですが、このゲームはハイプレスを織り交ぜてスタートします。エリソンやマルシーニョが果敢に出ていって、相手にプレッシャーをかけました。

その積極性が実り、開始早々に先制します。山本悠樹のミドルパスを家長昭博が右足で折り返し、エリソンがこちらも右足でフィニッシュ。幸先のいい先制弾です。

ところが、すぐさまアル・サッドに追い付かれます。山口瑠伊の蹴ったロングボールを回収され、そのまま攻められてしまい、最後はアクラム・アフィフのお膳立てをパウロ・オタヴィオに狭い角度から決められました。

試合を振り出しに戻したアル・サッドはリズムをつかんで、川崎ゴールへと襲いかかってきます。ボックス手前からでも躊躇なく、思い切りのいいシュートを打ってきますが、幸い際どい一撃はありませんでした。

前半守って耐える形に慣れている川崎は、我慢を重ねてチャンスをうかがっていました。21分、山本の左足から放たれたミドルパスに抜け出したマルシーニョが、相手より一瞬早くボールに触れてゴールに蹴り込みます。

このままのスコアで折り返しての後半は、アル・サッドがシステムを変え、長いボールをしきりに使い始めます。川崎が押し込まれた中で、相手にボックスに人数をかけられる場面が増えます。

71分、三浦颯太がジオヴァニに奪われ、出されたパスを2人がスルー。クラウジーニョが豪快に蹴り込んで再び同点にされました。

川崎はエリソンに代わって山田新が入るも、シュートまでやり切るケースが少なく、得点を奪えないセカンドハーフになりました。

試合が動いたのは98分、瀬川祐輔が追い回して取ったボールを山田、脇坂泰斗とつないでフィニッシュ。キャプテンは足をつらせてゴールセレブレーションもできないほどでしたが、貴重な得点が生まれました。

一歩前に出たことでチーム全体に活力が戻ります。その中で奮闘が目立ったのは、負傷から復帰した橘田健人。途中出場で中盤を駆け回り、アル・サッドの攻撃の芽を摘み続けます。

時間を進めつつも機を見て攻めた川崎は、山田と橘田がゴールを狙うも決まりません。

追いかけるアル・サッドはボールを保持しつつ、バイタルから加速する攻撃を仕掛けますが、強引な攻めはあまり見せてきませんでした。

川崎は最後まで集中を切らさず、今度は逃げ切りに成功。90分で勝ち切れなかったのは、最近のゲームを踏襲したような形ですが、120分を戦って勝ちました。

東地区唯一の生き残りとなった川崎。次は、UEFAチャンピオンズリーグで歴代最多得点のクリスティアーノ・ロナウドを擁するアル・ナスルとの準決勝です。


きっちり勝って、決戦の地・サウジアラビアに向かいたかったゲームでしたが、連戦による疲労の蓄積がうかがえる川崎は、ゴールを奪えずに0-0のままタイムアップを迎えました。

ホームチームは3分にマルシーニョのアウトのクロスに山田新が飛び込むも枠をとらえきれません。キックオフ直後はヴェルディに押されながらも、早々にチャンスをつくれたことでいい入りができたように思えました。

しかし前半はこれと、ボックスに入った佐々木旭の落としを、脇坂泰斗が狙って林尚輝に当たった場面しかシュートはありませんでした。

フィニッシュが増えなかった要因の一つとして、ヴェルディの引かない守備が挙げられます。果敢に寄せるアウェイチームを打開できずに時間が進みました。

ヴェルディも最後の局面で迫力を欠き、山口瑠伊が慌てることはほとんどありません。それよりも高井幸大が足を痛めて座り込んだ時に、最悪の事態を恐れてスタンドが静かになりました。

風下から風上に変わった後半、ロングボールを活かした攻撃を繰り出すも、ボールが流れてしまい、山田やマルシーニョには届きません。

立ち上がりに脇坂のフリーキックに家長昭博が頭で合わせたシーンは、マテウス・ヴィドットの正面にボールが飛んでしまいます。

長谷部茂利監督は、エリソン、伊藤達哉、大関友翔、神田奏真と前線のメンバーを次々と代えて攻撃の活性化を図ります。脇坂、家長には無理をさせません。

点を取りたい川崎は、左サイドからマルシーニョや三浦颯太のクロスがボックスに入りはするものの、味方にはつながらず流れていきます。

ラストプレーはコーナーキックの流れで、大関の浮き球を丸山祐市が頭で薄く当ててゴールを狙うも得点には至りません。

この結果、リーグの暫定順位は6位で日本を一旦離れますが、負けなかったことをプラスに考えて、1週間後の準々決勝に備えたいところです。


7連戦の6試合目、ここまで粘り強く戦ってきた川崎も、強度の高い神戸に苦しめられて、遂に黒星を喫しました。

前半は特に川崎の左サイドでの攻防で劣勢に立たされます。酒井高徳、エリキの強さに三浦颯太、マルシーニョは持ち味を発揮できません。

試合は10分も経たないうちに、酒井とエリキで見せたカウンターによる決定機をきっかけに動き出し、神戸が主導権を握り始めます。

川崎はエリソンがトラップでマテウス・トゥーレルを中盤で剥がして抜け出すも、戻った山川哲史に完璧に止められました。

一方、30分には佐々木旭のバックパスが中途半端になったところをエリキに狙われ、佐々木大樹に際どいシュートを打たれます。

その直後、今度はサイドに流れてボックス角から狙った佐々木大樹の一撃が丸山祐市に当たり、ゴールに吸い込まれました。ピンチを凌いだ後だけに悔やまれる失点です。

加えて45分にはコーナーキックからマテウス・トゥーレルに頭で決められ、傷口が広がります。

苦しい点差で折り返しかけますが、マルシーニョが偶然とも思えるヒールキックで抜け出し、追走してきた酒井を振り切って1点差としました。後半に希望をつなぐゴールです。

ハーフタイム明け、ピッチを上げて攻めに出ていく川崎。前からのプレスの激しさも増していったものの、ボックスの中での決定的なシュートチャンスには至りません。

残り約30分のところで、家長昭博、山田新を入れ、15分を切ると今度はファン・ウェルメスケルケン・際、大関友翔、小林悠を一気に投入。ベンチからも点を取りに行くというメッセージを発します。

それでも神戸の屈強なディフェンスに手を焼き、得点の匂いが漂ってきません。また、攻め急いだのか、パスのズレも随所に見られ、安定した攻撃を繰り出し続けることができずにいました。

アディショナルタイムには高井幸大が前線に顔を出す機会を増やし、サイドからのクロスを多用するも、やはりシュートにはつながりません。

2失点が重くのしかかり、最後は時間を使われて、チャンピオンチームに敗れてしまいました。

ただ、その中で高井は出色の出来でした。192cmの身長を活かした空中戦だけでなく、地上戦でもほとんど負けません。それだけに若き主力の頑張りに応えられれば申し分ないゲームでした。


またも追い付いての引き分けでしたが、今回に関しては前半優勢だったこと、相手が終盤1人少なくなったことを考えると、勝ち点2を取り損ねたと言わざるを得ません。

序盤は地上戦が繰り広げられ、10分が経過すると川崎は後方から一気に前を狙うボールを増やします。それをエリソンが収めて、脇坂泰斗、マルシーニョが絡んで攻撃の形をつくりました。

またプレスバックも効果的で、中盤でボールを奪う機会が多く、清水には自由を与えません。それだけに得点を取りたい時間帯でした。

三浦颯太の完璧なフリーキックに合わせた丸山祐市のヘッドも、エリソンの右足も枠を外れ、次に枠をとらえたエリソンのシュートも沖悠哉に止められます。

流れが変わったのは、前半最後のプレーでした。スローインからのリスタートで、北川航也が収めたボールを乾貴士が引き取ってシュート。山口瑠伊が阻止したものの、清水は確実に手応えをつかみました。

後半に入っても清水の勢いは止まりません。当初は高井幸大や佐々木旭が体を張って守りますが、カピシャーバを入れて圧力をかけてきたホームチームは、ついにPKを獲得します。

自陣深い位置での中途半端なプレーが仇となり、河原創が北川を倒してしまいます。北川が自ら決めて、清水が一歩前に出ました。

長谷部茂利監督はすかさず動き、家長昭博を下げて山田新を投入。2トップに変えます。

最前線の人数を増やしてゴール前で脅威を与えたことで、先制を許してからわずか6分後に同点にしました。山田とエリソンが構える中、三浦のラストパスはボックスまで上がったフリーの山本悠樹に届いてゴールにつながります。

清水がDFを3枚に変えたり、川崎がエリソンに代えて伊藤達哉を入れ、再び4-2-3-1に戻したりしますが、スコアは動きません。

しかし、マルシーニョが北爪健吾に倒され、北爪が退場になると、川崎は小林悠を送り込んで2トップに戻します。マルシーニョはこの交代に納得がいかない様子でした。

数的優位となった川崎ですが、効果的な攻撃をすることができません。三浦のミドルはポストを叩き、丸山のミドルはコーナーキックにつながり、清水ゴールに迫りはするも、得点には至りません。

川崎は8分のアディショナルタイムを有効に使えず、勝ち点1を得るにとどまりました。連戦でもこの試合では深刻な負傷者を出さなかった点だけが、今後への安心材料になりました。







F・マリノスサポーターのボルテージが何度も上がり、声援が大きくなる場面が終盤にかけて増える中、川崎は辛くも同点に追い付いてドローに持ち込みました。

長谷部茂利監督は大胆なターンオーバーを行い、チョン・ソンリョンや小林悠がスタメンに名を連ね、脇坂泰斗や山田新はベンチスタート。山口瑠伊や三浦颯太、丸山祐市などはベンチにも入りません。

普段は我慢の多い前半の45分間ですが、この日はトップ下に入った瀬川祐輔が少ないタッチで中継役となり、宮城天に代わって急遽先発を務めたマルシーニョを活かした攻撃で相手を脅かします。

7分には早くも先手を取りました。決めたのは3列目を任された大関友翔です。ヤン・マテウスのパスミスを伊藤達哉がさらい、複数の選手が攻め入ってゴールを奪いました。

その後はF・マリノスの宮市亮とヤン・マテウスのいる右サイドを軸とした攻めを受ける時間が続き、ホームチームは統制のとれた3ラインで凌いでいたものの、相手コーナーキックの流れでヤン・マテウスに決められてしまいます。

直後、伊藤がボックスで倒され、VARの介入がなされるも、その前に小林がオフサイドポジションにいたと判定され、PKとはなりません。

ハーフタイム明け、長谷部監督は明確に勝ちに行く姿勢を見せます。河原創とマルシーニョを下げ、攻撃で違いをつくれる山本悠樹と脇坂泰斗を投入。瀬川が左MFに変わります。

川崎が前に出る機会が増えたため、F・マリノスはカウンター主体の攻めを繰り出してきました。2対3の数的不利になった場面は、高井幸大がクレバーな守備で阻止します。

一進一退の攻防が続く中、セサル・アイダルの左足が火を吹きました。セットプレーではなく、オープンプレーで持ち上がっての強烈なロングシュートです。これで再び一歩前に出ました。

ただ、久々の出場となったコロンビア人センターバックは足がつってしまい、交代を余儀なくされます。代わりに入ったのは土屋櫂大でした。残り2分とアディショナルタイムを若いセンターバックコンビで逃げ切るつもりでした。

しかし、この采配が裏目に出ます。途中出場の天野純、さらにヤン・マテウスに立て続けにゴールを許してしまい、試合をひっくり返されたのです。勝ち越したアウェイチームは喜びを爆発させます。

土屋が入る前に左サイドバックとして入った佐々木旭をセンターバックに移し、瀬川をサイドバックにする形もできたはずですが、指揮官はそうではない形で試合をクローズできると思ったのでしょう。

このままではあまりにも苦いデビューとなる18歳を救ったのは、高井でした。脇坂のコーナーキックを高い打点で合わせ、90+10分に同点弾を叩き込みました。

F・マリノスとは近いうちにサウジアラビアで一発勝負をする可能性がありますが、その相手に今回のメンバーで勝ち切れれば最高でした。それでも土壇場で勝ち点1をもぎ取ったことは大きいと言えるでしょう。




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