22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2025年03月

チャンスに慌てた山田新のファウルスローや、家長昭博の珍しい激昂など、本筋とは外れたところでのトピックの多い多摩川クラシコでしたが、0-3での快勝という結果に終わりました。

リーグ戦7連戦の初戦、長谷部茂利監督は3列目に大島僚太と山本悠樹を並べる形でゲームをスタートさせます。

といっても立ち上がりから積極的に出ていくのではなく、前半は東京の保持が長く、川崎は我慢のプレーが続きました。

ゴール前では俵積田晃太のシュートを山口瑠伊が顔で防ぐ好プレーを披露し、東京にゴールを許しません。

その中で川崎は大島の絶妙なパスを起点に攻め、セットプレーでは高井幸大に合わせる形をつくるも、こちらも得点には至りません。

ハーフタイム明け、川崎は前線からのハイプレスでスタート。メンバーを変えずに戦い方を変えていきます。

攻めの姿勢が実ったのが55分。家長と佐々木旭で右サイドを攻め、脇坂泰斗がボックスでパスを受けます。キャプテンはシュートを狙おうとしてボールが流れてしまうも、それを山田が押し込んで先制しました。

73分と83分にはいずれも途中出場の伊藤達哉とエリソンが決めます。伊藤はファーストタッチでのゴールで、エリソンは野澤大志ブランドンと1対1になっていた脇坂からの優しさを込めたラストパスを、確実にゴールに入れました。

守備面では高井の安定感が光りました。短期間でさらに成長を遂げた感のある20歳は、最後まで緊張を保ってプレーを続けていました。

東京に1点も許さずにアウェイで完勝した川崎。幸先のいい中断期間明けとなり、序盤とはいえ暫定4位に浮上しました。






前の試合から中3日でのゲームとなりましたが、大島僚太が外れただけで川崎のスタメンはほぼ同じでした。

開始20分はひたむきでがむしゃらな岡山に押されて、川崎はペースをつかめません。加藤聖のコーナーキックを起点に田上大地に打たれたヘッドは、山口瑠伊がかろうじて弾き出します。

苦しい状況で、唯一前線で優位に立てていたマルシーニョを使った速い攻めを繰り出すも、効果的なフィニッシュには至りません。

前半半ばになり、落ち着きを取り戻すと、空いている場所にボールを届けられるようになります。ただ、スベンド・ブローダーセンを脅かすシュートは打てずに時間が経過しました。

後半、右サイドバックの佐々木旭が前で攻撃に絡む場面が増え、ハーフタイムでの修正が見られます。相手ゴールに迫ろうとする意欲を感じさせます。

対する岡山は、ルカオが丸山祐市と三浦颯太を剥がす強さを見せて、盛り返してきました。ただ、最後の精度を欠いており、枠外シュートの数が増えるばかりで川崎としては救われます。

62分には長谷部茂利監督によって流れを変えるための3枚代えが行われ、家長昭博、大関友翔、山田新がピッチに入りました。

的確な交代が行われ、家長のキープ力を活かしながら前進し、岡山ゴールにも近付きますが、依然として絶好機をつくれません。

その後、宮城天、瀬川祐輔も新たに加わるものの、終盤になるにつれて川崎サイドに焦りの色が濃くなります。急いで攻めようとしてはミスにつながるプレーが多い状態でした。

残り時間が少なくなると、三浦が持ち前のスタミナを活かし、後方から果敢な上がりを見せます。それでも効果的なお膳立てにはなりません。

互いに決め手を欠いた試合は、スコアレスで終了しました。川崎は中位にとどまったまま、中断期間を迎えます。


橘田健人はおそらく、車屋紳太郎が下がっていくと考えたのでしょう。しかし車屋がボールを受けに下がらなかったため、いとも簡単にラファエル・エリアスに奪われ、ほぼ無人のゴールめがけて奥川雅也にシュートを決められました。これが、この試合唯一のゴールとなりました。

ミッドウィーク開催の前節は、ほとんどスタメンをいじらなかった長谷部茂利監督でしたが、サウジアラビア行きをかけた上海申花との連戦を控え、今節は先発メンバーを大幅に入れ替えます。

開始15分は京都の激しいプレッシャーを受け、後方からのロングボールすら蹴れません。自陣から出られない時間が続き、変化をつけたリスタートも許しますが、失点せずに乗り切ります。

相手のスピード、強度に慣れると、ホームチームは素早く、テンポよくボールを動かして打開を図るようになりました。緩いロングボールは使わないで、グラウンダーのミドルパスを多用します。

流れができたことで、山内日向汰のボックス外からの無回転シュートにもつながりますが、惜しくも枠を外れます。

こうして京都のチャンスを減らすほど押し返せた川崎。それでも得点は奪えないまま前半を終えます。

するとハーフタイムでエネルギーを回復させた京都に49分に先制点を献上する形となり、彼らにさらなる力を授けてしまいました。

ただ、直後の川﨑颯太が抜け出してのループは、シュートコースを消すべく出ていったチョン・ソンリョンのビッグセーブで凌ぎます。今季、公式戦初出場のベテランのおかげで、ひとまず傷口を広げずに済みました。

長谷部監督は60分を迎える前に3人同時交代を行います。2列目を総入れ替えし、ボールコントロールに長けた家長昭博と脇坂泰斗、そしてスピード豊かなマルシーニョが入りました。

この中ではマルシーニョのプレーに勢いがあり、たびたび相手を翻弄しました。佐々木旭の絶妙なクロスに入り込んでのヘッドは、残念ながら太田岳志に阻まれます。これが川崎にとっては今節最大の決定機でした。

以降もボールを保持しながら攻めていくものの、肝心のフィニッシュが枠を外れたり、枠に飛んでも力が弱かったりして得点に結び付きません。

最終的には橘田を下げて山田新を投入し、2トップにしましたが、事態は好転しませんでした。しかも京都はパトリック・ウィリアムを入れて、5バックに変更。きっちり逃げられてしまいました。

終盤、エリソンが負傷しながらのプレーを余儀なくされ、今後に向けての不安も残ります。

開幕からの公式戦の無敗はこれでストップ。次週はリーグ戦がなく、AFCチャンピオンズリーグエリートのファイナルステージ進出に専念することとなります。




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