22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2024年12月

3点取って勝つという鬼木フロンターレのスタイルを、最後に選手達が実際に試合で見せて、一つの時代の終わりを締め括りました。

いずれのゴールも、決めた選手が鬼木達監督のもとまで走って抱き付きました。ベンチ前で生まれた歓喜の輪には涙を誘われます。

川崎は、チームキャプテンの脇坂泰斗がいないこともありますが、シーズン後半に機能していた4-4-2でスタート。大逆転での得点王を目指す山田新と、ゲームキャプテンを務める小林悠が最前線に立ちます。

この試合、非常に効果的な働きをしたのは、ミッドウィークにも得点に関与した山本悠樹でした。

8分の先制の場面では、山本がパスカットとパス出しを同時に行って山田に渡し、小林のシュートは村上昌謙に弾かれたものの、それが家長昭博のゴールにつながりました。

山本はその後もポジション取りが絶妙で、ボール回収の回数が多く、奪ってからのパスも冴えており、攻守両面で躍動しました。

2点目も山本の何気ないシュートを村上がこぼし、それに小林が詰めて加点します。

以降は福岡に右サイドを使われ、シャドーの紺野和也、金森健志に再三掻き回されました。それでも無失点で前半を終えます。

後半開始早々には家長のクロスを逆サイドのマルシーニョがダイレクトで合わせ、早い段階で勝利を確実なものとします。

しかしその3分後、この日は右サイドバックを担当した佐々木旭のさらに外にボールを入れられ、松岡大起の得点を許します。

同様の形を以降もつくられており、福岡がはっきりとした狙いを持っていたことがわかります。

またプレスの開始位置も高くなっており、川崎はロングボールを蹴らされて、相手に回収されるパターンが増えました。

その中で打開を図ったのが山田でした。単独でのカウンターで田代雅也を振り切り、村上を襲った後は、クロスバーをヒットする惜しいシュートを放ち、少しずつゴールに近付いていきます。

ただ、残念ながらシーズン20点目を奪うことなく、アディショナルタイムにリーグ戦デビューとなる神田奏真と交代します。

川崎は最後まで集中した守備を見せ、3-1でタイムアップ。13勝目を挙げて、2シーズン連続で8位でのフィニッシュとなりました。

今シーズンも台所事情が厳しく、特に最終ラインに負傷者が多く、苦労しました。そうした中で佐々木、高井幸大が大きく飛躍。高井はオリンピックを経て、日本代表に招集されるまでに成長しました。

また貴重な戦力の海外移籍も引き続きある中、争いの激しいFWのバトルを制して、山田は着実にゴールを重ねていきました。

今後、首脳陣、選手の人事がどう変わるか、見守るほかないですが、川崎は新たな体制で来シーズンを迎えます。


センターバックの谷口栄斗に先にハットトリックを達成されましたが、ゲームキャプテンを務めた山田新が残り数分のところでハットトリックを成し遂げ、川崎は勝利を挙げました。

今シーズンを象徴するかのような苦しい試合でした。90分を通して、リードしては追い付かれる展開が続きます。

序盤はヴェルディがロングボールを多用し、川崎のビルドアップの際には高めの位置からプレスをかけてきました。

その中で川崎陣内のボックス付近で二度、フリーキックを与えはしたものの、決定機にはさせずに凌ぎます。

相手のミスに乗じた形で山田新が得たPKを、16分に自ら沈めて先制。6分後には橘田健人がボックスで粘った後、ファン・ウェルメスケルケン・際がクロスを入れ、山田新が下がりながら頭で合わせて0-2としました。

ただ、これでセーフティリードとならないのが、リーグ戦での川崎。ヴェルディが最終ラインを4枚に変えた後に、見木友哉に得点を許します。

ホームチームの勢いは止まりません。ハーフタイムに追い付かれはしませんでしたが、後半開始早々に谷口に決められました。

その前には遠野大弥のグラウンダーのクロスに山田新が飛び込むも触れない場面があっただけに、チャンスを活かせなかった悔しさが生まれます。

これ以上、相手に押し込まれないよう、鬼木達監督は後方の手当てをします。すでに警告を受けていた佐々木旭を下げてジェジエウを、さらに山本悠樹に代えて河原創を投入しました。

安定感が増したことで、早速、勝ち越し点が生まれます。三浦颯太のスローインを受けた山田新がボックスで耐えてキープし、マイナスのラストパスを供給。ファン・ウェルメスケルケンが美しくまっすぐなシュートを叩き込みました。

65分には山田新のシュートのこぼれをマルシーニョが体を倒しながら合わせ、リードを広げます。

2-4になり、今度こそセーフティリードかに思われましたが、リスタートから谷口に2発食らわされました。谷口に奪われた計3点のうち、山田新のクリアが不十分なケースが2回ありました。

互いにゴールを目指してぶつかり合う中での90+4分、チョン・ソンリョンのロングキックを途中出場のエリソンが触り、転々とするボールに走った山田新が力強さを見せながらフィニッシュ。勝ち点3を手繰り寄せるゴールを決めました。

残り2分のアディショナルタイムを確実に進めて、リーグ戦では久々の勝利となりました。次はAFCチャンピオンズリーグエリートの山東泰山戦を挟んで、ホームでのリーグ最終戦です。






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