22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2024年11月

3ヵ月前と比較すると、両チームのキックオフ時にピッチに立つ選手、両ベンチ入りメンバー、浦和の指揮官、そして審判団に一部変更がなされ、ピッチコンディションと気候が改善された環境で、45分限定の熱い戦いが繰り広げられました。

互いにいつも以上に強度高く圧力をかけ合う中で、すでに1点ビハインドの川崎はまず同点に追い付くことを最優先に考えます。

ゆえに時間をかけずに前線にボールを送る機会も多くなり、必然的にじっくりつないで様子を見ることは少なくなります。

その勢いの中で、大島僚太が倒されて浦和のボックス付近で得たフリーキックを起点にして、試合を振り出しに戻しました。

三浦颯太の最初のプレースキックからは得点にならなかったものの、セカンドボールを活かして再び三浦まで戻り、上げたクロスを小林悠が合わせます。

背番号11は、マリウス・ホイブラーテンの前で頭を合わせ、西川周作の頭上を通るコースに飛ばしてネットを揺らしたのです。

前半出ていた脇坂泰斗が再開までの間に負傷して出られないがために、小林は起用されて鬼木達監督の期待に応えた形です。

大島が再開して11分で河原創と代わり、その河原のクロスにまたしても小林がすばやく合わせた場面は、惜しくもゴールを外れます。

ホームの浦和も当然ながら防戦一方にはならず、8月に行われた前半の段階で得点を挙げていた渡邊凌磨を中心に、川崎ゴールへと攻め込んできました。

川崎にとって最大のピンチは、サミュエル・グスタフソンのワンタッチの展開から渡邊が運び、松尾佑介がシュートを放ったシーンです。チョン・ソンリョンの手も届かないボールは、ポストを叩いて外れます。

短い時間ながら交代枠を使いつつ、最後まで試合を優位に進めた川崎でしたが、浦和の守備は固く、肝心の逆転弾は奪えません。ラストプレーとなったコーナーキックも活かし切れず、勝ち点1を獲得するにとどまりました。

とはいえ、直近の京都サンガF.C.戦は追い付かれてのドローだっただけに、劣勢から再開した45分で追い付けたのは収穫になったはずです。


どちらも勝てば残留というゲームで、互いに攻め合いながらも1-1の引き分けに終わりました。

4日前の上海海港戦と同様、前線にはエリソンと瀬川祐輔を立たせてスタートした川崎。ただ、京都の当たりの激しい守備によって、じっくりボールを保持する余裕がなく、一気に相手DFの背後めがけてパスを出します。

それが奏功せず、マルシーニョがセンターサークル付近で軽やかに相手をかわした際に京都ゴールに近づくことができました。

互いにシュートを記録できないままでしたが、京都はマルコ・トゥーリオのヘッドを皮切りにシュートが続きます。

一方の川崎は、同じ頃から保持する時間ができるようになり、自分達のペースをつかみ始めました。やがて遠野大弥が強烈なシュートを果敢に打ってゴールを狙います。

スコアが動かずに前半が終わると、鬼木達監督は後半頭に3枚代えを行いました。山本悠樹、遠野、エリソンに代え、大島僚太、家長昭博、山田新がピッチに入ります。

それでも後半立ち上がりに攻勢に出たのはホームチームでした。平戸太貴の精度の高いプレースキックがチョン・ソンリョンを襲います。

流れが悪い中、三浦颯太のカットしたボールを大島が活かしました。やさしい浮き球を前線に送ると、山田が収め、体勢を崩しかけながらも突き進んでフィニッシュ。交代が当たって、先制に成功しました。

その後も大島を起点に変化をつけたコーナーキックからマルシーニョが惜しいヘッドを放ちますが、試合を決定づける2点目が奪えません。

するとボックス内でマルコ・トゥーリオの蹴ったボールが橘田健人の腕に当たり、オンフィールドレビューの結果、ハンドによるPKの判定が下ります。

マルコ・トゥーリオのキックはチョン・ソンリョンが止めたものの、蹴る前に守護神が動いたためやり直しになり、変わって蹴ったラファエル・エリアスに同点弾を許してしまいました。

勝ち越したい両チームはファイナルホイッスルが鳴るまで走り続けます。しかし、両GKの好セーブがスコアを動かしません。

結局、この試合だけでは残留は決まらず、他会場の結果を受けて両者の残留が確定しました。







90+2分、山本悠樹のフリーキックによる得点が精一杯でした。後半は果敢に攻めた川崎でしたが、開始して30分になる前に喫した3点が大きくのしかかりました。

最初の2失点はいずれも鹿島のスローインからでした。先制は古巣対決となる知念慶が、柴崎岳の美しいクロスに合わせて元FWの本領を発揮した形です。

3失点目は、脇坂泰斗が負傷して、ピッチ上に10人しかいない間に許しました。ルーズボールに反応した三竿健斗のコントロールショットが、チョン・ソンリョンの手の及ばないコースに飛んだのです。

前半のうちに1点でも返せれば、自分達に流れを引き戻せたかもしれませんが、ファイナルサードへの侵入は少なく、形ができません。

最初の45分では三浦颯太の強烈ミドルがファーポストをヒットしたくらいしか、惜しい場面はありませんでした。

山本が右サイドを走る橘田健人に出し、その折り返しを山田新が合わせきれなかったシーンは、シュートにカウントされないプレーでした。

ハーフタイムで立て直した川崎は、メンバーを代えずとも攻撃の形をつくりだします。

マルシーニョと三浦が絡みながら、ようやく早川友基を倒すほどの攻めを披露するものの、チーム得点王である山田のシュートが決まりません。

得点の匂いは漂いますが、漂うだけで時間が経過。70分に鬼木達監督は3枚代えを行い、中盤センターを山本、そしてここで投入した大島僚太に任せます。右サイドバックも瀬川祐輔に担当させ、是が非でもゴールを挙げようとします。

対する鹿島は、手を焼いていたマルシーニョへの対応のため、津久井佳祐を実質、右ウイングバックとして送り込みます。

すると今度は川崎が遠野大弥を左サイドに投入。キャラクターを変えて打開を図ります。

それでも時間は刻一刻と過ぎ、エリソンが受けたファウルでフリーキックを獲得。ようやく冒頭の通り山本が沈めました。川崎としてはセットプレーで直接決めたのは久しぶりで、その点では喜ばしいゴールです。

ただ、それ以上の得点は生まれず、鹿島にシーズンダブルを献上。川崎のホームでは鹿島相手に9年ぶりのリーグ戦での敗戦になります。

後半の意識、集中を持って挑んでいれば、結果は変わったかもしれません。両チームのシュート数は互角、コーナーキックの数では川崎が上回っています。つくづく序盤の油断とも言っていいプレーが悔やまれるゲームでした。




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