22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2024年09月

勝因は整理された守備でした。ハイプレスとミドルブロックを巧みに使い分けることで、ミドルパスを絡めた新潟の組み立てを制限しました。実際、高い位置で奪えたシーンが数多くありました。

先制点となるPKを獲得したのは、中盤での河原創のボール奪取からでした。また4点目の山田新のゴールは、エリソンのトーマス・デンに対する激しいチャージがそのきっかけです。

1点目から2点目までの4分という間隔の短さも、川崎に勢いをもたらしました。先制した流れで攻め立て、マルシーニョと河原が立て続けにシュートを放ち、それらは小島亨介に阻まれましたが、攻めの姿勢を貫いて、脇坂泰斗のフィニッシュにつなげました。

脇坂は家長昭博ほどフリーには動かないものの、得点に絡んだ時のように、右サイドにいるよりは隣のハーフスペースや中央にポジションを取る姿が目立ちます。

一方、この日の中盤では、ユーティリティな橘田健人が不在でしたが、4-4-2の中央に立つ河原が広範囲に気の利いたプレーを見せて、盛んにボールを刈り取ります。

先発起用となったエリソンはPKを決めたことで、プレーに落ち着きが見られ、オープンプレーでの強烈なフィニッシュに加え、2アシストを記録しました。

チームとしても個々としてもすばらしいパフォーマンスで今季初の5ゴールを挙げました。それだけに5人の交代枠を使い切った直後、太田修介に1点返されたのは、残り時間を考えてももったいない失点でした。

それまでは相手コーナーキック時の体を張った守備も光り、さらにはチョン・ソンリョンが谷口海斗の決定機を前後半で一度ずつ凌いだ場面もありました。

失点後は集中力を取り戻し、ゴールに向かう姿勢を再び見せました。三浦颯太のクロスに遠野大弥が合わせたシーンは、小島に阻まれます。

ルヴァンカップ準決勝の前哨戦でもある新潟戦を、5-1の快勝で終えられました。これから難しく大事な試合が続く中で、チームに大きな自信を与える一勝になったはずです。

公式戦2連勝で迎えたアウェイゲームは、相手の術中にはまって完封負けを喫しました。

立ち上がり3分に家長昭博の枠内シュートが放たれ、しばらくは川崎のペースで攻撃ができました。ここで1点を奪えずにいると、主導権が名古屋に移ります。

オフサイド判定で取り消された永井謙佑のゴールを皮切りに、今度は名古屋のターンに変わります。守備においては前からマンツーマン気味につくため、川崎はビルドアップに苦労しました。

飲水タイムをはさむと、川崎はビルドアップ時にボールを受けられるように中盤の動きを修正。しかし、打開策を見出しつつある中で、名古屋に先制されます。

副審の上げた旗が視野に入ったか、橘田健人が間合いを詰めずにいると、永井がボックス外で右足を振りました。ボールはチョン・ソンリョンの頭上を越えてネットに刺さりました。

流れの悪いところに前半アディショナルタイムには大島僚太が負傷交代を余儀なくされ、ファン・ウェルメスケルケン・際が送り込まれます。

1点ビハインドの後半、家長を軸に再び攻め立てた川崎。果敢にボックスの外からミドルを打ちますが、枠をとらえきれません。

そこで鬼木達監督は選手を代えます。脇坂泰斗とエリソンを入れ、4-4-2に変更。トップの数を増やして、中央の厚い名古屋を攻略しようとしました。

ところが、直後の67分、徳元悠平のスローインを高井幸大がかぶって弾き返せずにいると、流れたボールを永井がダイレクトで折り返し、それを受けた和泉竜司に冷静に決められました。

変化を加えた直後だっただけに、川崎にとってはダメージの大きな失点となりました。

その後は両サイドからのクロスを多用しつつ、ターゲットの増えた前線に合わせる形を増やしますが、ミッチェル・ランゲラックの安定した守りもあり、得点には結び付きません。

瀬川祐輔と小林悠を入れ、さらなる活性化を図っていた中で、今度はファン・ウェルメスケルケンが立て続けの警告により退場となりました。

2回目のファウルは、持ち場を離れて追ってのファウルでした。2節前、北海道コンサドーレ札幌戦で同じような形から最終的に失点を許したため、確実につぶしたかったのでしょう。それが仇となりました。

数的不利になった川崎ですが、得点を奪いに行く姿勢を見せ続けます。トータルで名古屋を上回る15本のシュートを放つも、一度もネットを揺らせませんでした。

健闘虚しく破れた川崎は、暫定ながら15位に転落。消化試合数が同じ18位のジュビロ磐田との勝ち点差はわずかに5です。




リーグ戦は結果の出ない試合が続いていました。今節も勝ち点2を落としかねない展開になったものの、最後まで粘り強く戦って、勝利をもぎ取りました。

夏に加入したセサル・アイダルと河原創がスタメンに名を連ねて始まったこの試合、川崎は前節同様に序盤から仕掛けていきます。

相手を押し込んだ状態で波状攻撃を繰り出し、ゴールの可能性を高めます。11分、この日は左サイドバックを任された橘田健人が足を振ると、原田亘に当たって軌道の変わったボールがゴールに吸い込まれました。

攻めながら点が取れずに敗れた北海道コンサドーレ札幌戦とは違い、早くに先制することができました。

ただ、そこからさらに鳥栖を追い込む攻撃はできず、久保藤次郎と楢原慶輝の両ウイングバックを生かして攻める相手にしばしば苦しめられます。

富樫敬真のヘッドがクロスバーを叩き、西矢健人のミドルはチョン・ソンリョンを襲いました。一方、その間にファン・ウェルメスケルケン・際のクロスをエリソンが落とし、脇坂泰斗が合わせた得点はオフサイドの判定で取り消されましたが、ハーフタイムは無失点で迎えられました。

エリソンに代えて山田新を入れた川崎は、山田の馬力あるプレーで前進しますが、次の1点を取ったのはアウェイチームでした。

中途半端なクリアの連続でボックスからボールを出せずにいると、結果的に久保に押し込まれてしまいました。

直後のキックオフ、勢いを持って鳥栖陣内に進んだのは、大島僚太でした。この状況を打開しようとする強い意思を感じます。

その大島が、勝ち越し点につなげるプレーを見せました。入ったばかりの三浦颯太が倒されて得たフリーキックを、背番号10はすばやく始めます。

それを感じて動いた脇坂と家長昭博の落ち着いた判断により、再びリードを奪いました。

以降は交代を進め、立ち位置を変えて試合をまとめに入りますが、アディショナルタイムになる直前に三浦のハンドをとられてPKを献上。清武弘嗣に決められます。

引き分け濃厚の気配が漂う中でも、川崎はギアを上げて攻めました。橘田が三浦にボールを預け、マルシーニョに渡るとラストパスを供給。山田は合わせられなかったものの、キム・テヒョンに当たったボールは山田のもとに飛んできます。川崎のトップスコアラーは懸命に合わせてみせました。

90+10分の劇的ゴールです。三度追い付かれるわけにはいかないと、残り時間は攻撃の姿勢を見せつつ、小林悠の強烈なシュートで得たコーナーキックではボールをキープしました。

リーグ戦では多摩川クラシコ以来となる勝利です。暫定順位は11位に浮上。価値ある1勝です。






残留が、現実的な目標に変わりつつあります。降格圏にいる札幌に敗れ、苦境に立たされる格好となりました。

ファーストチョイスが固まってきた川崎は、珍しく立ち上がりから優位にゲームを進めます。相手の最終ラインの背後を狙いつつ、得意の細かいボール回しで打開を図りました。

奪われた後の即時奪回もできており、橘田健人や脇坂泰斗がボールを取ってすぐさま攻撃に転じました。

前半のうちに得点を奪えていれば、違う結果になったかもしれません。しかし、最初の45分に菅野孝憲を脅かすほどの決定機はつくれませんでした。

ゴール数を2桁に乗せている山田新も、この日は岡村大八に封じられ、持ち味の強さを発揮できずにいました。

札幌にあまりシュートを打たせないほど押し込んでいただけに、無得点でのハーフタイム突入は予期せぬ結果と言えます。

後半は札幌がシュートの意識を強め、スパチョーク・サラチャート、鈴木武蔵がチョン・ソンリョンを襲います。

川崎も大島僚太の展開からファン・ウェルメスケルケン・際がつなぎ、家長昭博のフィニッシュまで行きますが、菅野に阻まれました。

均衡が破れたのは71分でした。途中出場の中村桐耶がドリブルで逆サイドに進むのを、ファン・ウェルメスケルケンが持ち場を離れて追い掛けます。

ここで止められれば問題ないのですが、ボールはつながり、最後は空いていた川崎の右サイドに走った青木亮太にゴールを許してしまいました。

1点ビハインドの川崎は、79分に山田を残したまま小林悠とエリソンを投入。全員の矢印を前に向けさせる交代をします。

そこで意識が前に行き過ぎたか、直後にあっさりと追加点を許しました。青木のクロスは高井幸大の届かない軌道で、その向こうの鈴木の頭にピタリと合い、チョン・ソンリョンも反応できません。

苦しくなったアウェイチームは、以降の攻撃が空回りしてしまい、効果的なフィニッシュに結び付けられず、時間だけが経過しました。

結局、シュート数では圧倒しながら、1点も返せないで試合は終了。札幌相手に恒例の打ち合いに持ち込むことはできず、勝ち点1さえ取れませんでした。




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