22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2024年05月

劇的勝利とはなりませんでした。それでも大量失点は避けられ、連敗をストップしました。チームをたびたび救ったのは、先発復帰したチョン・ソンリョンです。

開始当初は柏の速くてスムーズな攻撃に手を焼くものの、15分頃からホームチームが攻めの形をつくれるようになります。

まず3トップが絡んで柏ゴールに迫ると、次は脇坂泰斗がボックスに踏み込んでシュート。後者は松本健太に止められはしますが、いい流れができてきます。

そして30分、家長昭博が出したパスをバフェティンビ・ゴミスがつなぎ、脇坂と遠野大弥でやりとりし、リターンを受けた脇坂が体勢を崩しながらフィニッシュ。緩やかにネットに吸い込まれます。

さらに犬飼智也がジェジエウのクリアボールの処理を誤り、マルシーニョに届いて生まれた決定機がありますが、シュートは枠を外れました。この絶好のチャンスを活かせなかったことが、結果的に悔やまれます。

後半は柏が圧力を強め、川崎に襲い掛かります。川崎陣内で長い時間プレーが続き、チョン・ソンリョンが二度のピンチを防ぎました。

その後、柏の勢いに屈するかのように大南拓磨、遠野が警告を受けるファウルを犯し、相手にセットプレーを与えます。

マテウス・サヴィオのリスタートで混戦になったところ、最後は木下康介に押し込まれて、59分に同点に追い付かれました。ちょうどベンチでは瀬古樹と山田新を投入する準備をしていたところでした。

失点後にそのまま2人が入り、さらに山内日向汰、ファン・ウェルメスケルケン・際も加わり、5人目として脇坂を下げてエリソンを入れ、勝ち越しを狙います。

エリソン投入後は山田が右サイドハーフに、家長がトップ下につく4-2-3-1に変更。山内が時折、逆サイドに顔を出す場面もありました。

アディショナルタイムにフリーキックを得ると、瀬古のキックにジェジエウが合わせて決勝点が生まれたかに思われました。ところがVARチェックでオフサイドの判定となり、ゴールは認められません。

ジェジエウが飛び込んだ際、松本と接触し、松本は脳震盪の疑いでピッチを去ります。この時の処置で追加時間が長くなったものの、スコアは動かずに終わりました。

川崎の倍以上となる13本のシュートを柏に打たれながら、チョン・ソンリョンだけでなく、ディフェンス陣や橘田健人の決死の守りで1失点にとどめました。それでも2点目が遠く、勝ち点3にはつながりませんでした。


大敗の直後の試合だけに、いかに立て直せるかが問われる一戦でした。先制するまでには復調の兆しが見られたものの、小さなミスが積み重なってリズムを崩し、3失点を喫しました。

前節、失点に少なからず絡んでしまった選手の多くがベンチスタートとなります。一方、ミッドウィークはメンバー外のバフェティンビ・ゴミスがスタメンで出場しました。

最初こそガンバの的確な寄せに苦しみ、ビルドアップも危うかった川崎ですが、15分過ぎに立ち位置の改善と球離れのスピードアップができるようになり、リズムをつかみます。

この頃から家長昭博が右サイドにとどまらず、いつものようにピッチ上を幅広く動きます。

マルシーニョが倒されて得たフリーキックをきっかけに、ゴミスとマルシーニョが枠内シュートを放ちます。いずれも一森純に阻まれますが、川崎の攻撃は一層加速しました。

ガンバを押し込んでの26分、ボックス内で遠野大弥のヒールパスを受けた家長が、さらにヒールパスを出すと見せかけて前方に浮き球を供給。右サイドバックの瀬川祐輔が合わせて試合を動かします。瀬川は起用に応えました。

喜びもつかの間、2分後には遠い位置からの宇佐美貴史のフリーキックを中谷進之介が合わせ、同点にされました。ガンバはこの試合、最初のシュートで得点しました。

川崎が圧倒しておきながらリードを保てず、ハーフタイムまでは一進一退の攻防が続きます。ボールキープに長けたゴミスを拠り所にしつつ攻めますが、勝ち越しゴールは奪えません。

途中、守備時にジェジエウの腕が当たった瀬川が、脳震盪の疑いでファン・ウェルメスケルケン・際と交代しました。

後半は川崎が先に動きます。ややガンバに主導権を譲りつつあるところで瀬古樹を入れた後、マルシーニョが足をつらせたのを契機にエリソンと山田新を投入。前線に迫力を加えます。

しかし、相手のカウンターを佐々木旭がブロックしたものの、直後の宇佐美のコーナーキックで福岡将太をフリーにして逆転を許してしまいました。

追い掛ける立場になった鬼木達監督は、残るフィールドプレーヤー2人、高井幸大とゼ・ヒカルドを入れ、家長を左ウイングに固定するなどポジションの大幅修正を施します。

手を入れた中でゼ・ヒカルドから脇坂泰斗へのパスを出足のいいダワンにカットされると、そのままショートカウンターを食らい、最後は倉田秋に決められました。ダワンも倉田も途中出場の選手です。

焦る川崎は、効果的な攻めができにくくなり、つないで打ったゼ・ヒカルドのミドルは一森に難なくキャッチされました。

残り少なくなると高井を前に上げ、パワープレー気味に攻めるも、ガンバゴールを脅かすには至りません。

痛恨の連敗で、暫定首位のFC町田ゼルビアとの勝ち点差は16に開きました。次はホームに戻って、昨季の天皇杯決勝を戦った柏レイソルとの対戦です。


前節、北海道コンサドーレ札幌に快勝しただけに、非常に大事にしたい一戦でした。しかし、高井幸大のプロ初ゴールで先制しながら、終わってみれば5-2での大敗です。

連戦を考慮してか、ホームでハットトリックを達成したバフェティンビ・ゴミスはベンチ外。脇坂泰斗、ジェジエウはベンチスタートとなり、スタメンが一部入れ替わりました。

立ち上がりから川崎は鳥栖のハイラインの背後を執拗に狙います。序盤は特にマルシーニョを前方に走らせました。

13分には指揮官の先発起用に応え、瀬古樹の高精度のコーナーキックに高井が頭で合わせます。これまた待望の初ゴールです。

アウェイチームがリードしていた時間は、わずか13分で終わりを告げます。26分と37分に横山歩夢が連続得点。いずれも川崎の左サイドからパスを入れられ、ファーにいた横山にフィニッシュを許しました。

さらに44分、マルセロ・ヒアンに抜け出され、3-1となりますが、直後に山田が深い位置でつぶされても立ち上がり、家長昭博のゴールに結び付けます。

逆襲に出たい後半、高井の対応ミスでコーナーキックを与えると、混戦の中で原田亘に決められました。山田がクリアしきれずに詰められた格好です。

1点差であれ、2点差であれ、いずれにしても得点を取らないと始まらない状況で、鬼木達監督は60分を迎える前に交代を行います。ジェジエウと脇坂を送り込み、大南拓磨を右サイドバックに変えました。

対して鳥栖はすぐさま3バックにシステムを変更。早い段階で守備を厚くします。

川崎は圧倒的に攻め、ポケットまでは行けるものの、ボックスの中の人口密度が高く、効果的なシュートを放てません。出場停止明けのエリソンを入れて、山田と2トップを形成しても、事態は変わりません。

そうこうしているうちに、橘田健人が自陣でつぶされ、5失点目を喫します。残りは15分しかありません。懸命に攻撃を仕掛けはしますが、ゴールは遠くなるばかりです。

この日はチーム全体に信じられないようなミスが続発、失点を重ねた一方で、後半に関しては1点も奪えずに敗れました。

点差も開いており、先行きへの不安しか残らない結果ですが、4日後にはすぐ次の試合が待っています。


30分から45+3分までの18分。背番号にちなんだわけではないでしょうが、バフェティンビ・ゴミスが川崎での初ゴールからハットトリックを達成するまでに要した時間です。この3点が大きくものを言って、川崎が完勝しました。

チョン・ソンリョンが負傷からベンチに戻り、カタール帰りの高井幸大もベンチ入り。さらにジェジエウがスタメンに名を連ねられるようになり、佐々木旭は左サイドバックに。後方の陣容が再び整い始めます。

それでも札幌のマンマークに対してビルドアップに苦しみ、前半はゴミス目掛けてのロングキックを多用しました。ゴミスのフィジカルが強く、一定の成果を上げられるため、決して悪い戦い方ではありません。

札幌は攻撃時に前線の5人が川崎の最終ラインの間に立ち、全部のレーンを埋めます。そして大きなサイドチェンジを使いながら攻めてきました。

上福元直人が高い位置をとるのを見て、ジェジエウのミスパスを取った浅野雄也がロングシュートを狙ったり、コーナーキックからチャンスをつくったりして川崎ゴールを脅かします。

一方の川崎は、脇坂泰斗、家長昭博が絡む場面がはじめは少なく、前半半ばあたりから彼らにもボールを触って効果的に動かせるようになりました。

その流れでゴールに迫り、待望の瞬間が訪れます。ゴミスが遠野大弥のパスを受け、家泉怜依を背負いつつターンしてフィニッシュ。ゴール左隅に突き刺さりました。

ゴミスは喜びを爆発させ、その後、鬼木達監督のもとへ向かいます。ベンチメンバーからも祝福を受け、スタジアムはいいムードに包まれました。

得点を取れたことでゴミスの動きはよくなり、43分に追加点を奪います。ハットトリックにリーチがかかると、マルシーニョがボックスの中で菅野孝憲にファウルを受けました。

キッカーはゴミス。冷静に真ん中に蹴って3-0とします。エリソンの出場停止でスタメンに立った元フランス代表がこの日は爆発しました。

優位に立った川崎は、後半も持ち味を出しながらボールを動かします。ただ、シュートに至るプレーが少なく、4点目は奪えません。

ゴミスは61分で山田新と交代。ミッドウィークに試合があることを考慮してか、家長、マルシーニョも75分で下がります。ジェジエウも早めに休ませたいところでしたが、大南拓磨が脳震盪の疑いで高井と代わりました。

札幌にはシュートを打たれる機会が多いものの、ほとんどが枠外に飛んだため、後半、上福元が慌てた場面は数えるほどしかありません。

最終的に後半はスコアが動かないまま終わり、クリーンシートで勝利を収めました。ホームで確実に勝って、アウェイでの連戦に臨みます。


最前線の山田新が馬力を見せ、75分に先制点を決めましたが、その10分後に追い付かれてドローに終わりました。

前節から中2日のこの日、川崎がスタメンを一部入れ替えただけにとどめた一方で、福岡は大胆なターンオーバーを実行。アウェイチームはフレッシュな面々に襲い掛かられます。

事実、20分あたりまでは福岡の距離を詰める果敢な守備に苦しみ、前線に効果的なボールを届けられません。

それでも徐々に球離れを早くし、ピッチを広く使い出して流れを引き寄せていきます。

ようやく31分にチーム最初のシュートを遠野大弥が放ち、その後、脇坂泰斗の鋭いフリーキックから際どいチャンスになりかけるなど、攻めの形ができるようになりました。

後半頭からは、この日ベンチスタートだった家長昭博が入り、警告を受けて次節出場停止のエリソンが下がります。

55分に瀬古樹とゼ・ヒカルドが送り込まれ、4-2-3-1にシステムを変更。後半はあらためて仕切り直してきた福岡の守備に手こずりましたが、この交代から川崎の攻撃が加速していきました。

ただ、橘田健人のパスを受けた脇坂のポケットからのクロスを山田が流し、遠野が打ったシュートは枠を外れます。

対する福岡は少しずつ主力へと切り替え、70分には得点源であるシャハブ・ザヘディが、ウェリントンとの交代でピッチに登場しました。

ザヘディが出てきたことでホームチームのムードが変わり始めた中、相手のミスを逃さなかったのが山田でした。ボールを奪った後は単独で突き進み、松岡大起を振り切り、最後は冷静に切り返してニア上に蹴り込みました。

すぐにジェジエウも入って逃げ切りたい川崎でしたが、右サイドバックに移った佐々木旭が食らいつくも岩崎悠人にクロスを上げられ、上福元直人が触るも、弾いた先にいた紺野和也に決められます。85分のことでした。

浮上のために連勝を狙う川崎はバフェティンビ・ゴミスを投入。早速、家長のクロスにフリーで合わせますが、永石拓海に防がれました。またしても加入後初ゴールはお預けです。

アディショナルタイムはセカンドボールを多く拾って波状攻撃を仕掛けます。それでもボックスの中での最後の迫力が足りず、勝ち越しゴールを奪えません。

逆に福岡にカウンターを食らい、大南拓磨がザヘディに剥がされ、シュートを許すも上福元が触って難を逃れる場面がありました。

最後は瀬古のクロスを永石にキャッチされてタイムアップ。勝ち点1を分け合う結果となりました。

一時期の無得点が続く事態は回避して、得点を継続して取れるようになったものの、勝ち切るだけの力がまだまだ足りません。


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