22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2023年11月

ホーム最終戦となったこの日は、全員が最良の結果を目指して戦い、完封勝ちを収めました。

立ち上がりは鹿島ペースで進み、佐野海舟の巧みな突破もあったとはいえ、中盤で規制をかけられない場面が目立ち、川崎陣内でのプレーが続きました。

当然、前線の3人にボールが渡る回数も少なくなります。この段階で失点していれば、苦しいゲームになったでしょう。

しかし現実は前半の半ばから主導権を握り返します。徐々に鹿島ゴールに迫れたことで、本来の姿を取り戻しました。

34分、登里享平がスペースを狙って出したボールにマルシーニョが追い付き、ポケットからマイナスのラストパスを繰り出すと、レアンドロ・ダミアンがやや窮屈な状態ながらもそれに合わせて先制します。

1点取れたことで余裕が生まれ、ハーフタイムまでは落ち着いたプレーに終始しました。

後半は追加点を奪うべく、再びギアを上げます。瀬古樹の前線への関わりを生かして、2回連続で鹿島を脅かしました。

そこでは2点目を取れなかったものの、63分に左サイドに流れたボールに対してマルシーニョがあきらめずに走ったことでチャンスが生まれます。

マルシーニョは須貝英大がコントロールしきれなかったボールを奪い、最後はレアンドロ・ダミアンが冷静にゴールに蹴り込みました。

さらに優位に立った川崎ですが、交代はマルシーニョに代えて宮代大聖が入ったくらいで、残りの4枚のカードは87分まで切られませんでした。

4枚替えをする前に、レアンドロ・ダミアンが早川友基に倒されてPKを獲得。ハットトリックのかかった背番号9が蹴るかとも思われましたが、天皇杯準決勝での失敗以降、代わりにキッカーを任されている脇坂泰斗が担当します。確実に左に決めて3-0としました。

あとはクリーンシートで終わらせるだけでした。遠野大弥がディエゴ・ピトゥカのシュートコースを消そうと懸命のスライディングを見せるなど、全員の意識は統一されていました。

得点源である鈴木優磨にボックスの中で決定的な仕事をほとんどさせぬまま、試合をクローズします。最近は点を取れても打ち合いになることが多かっただけに、見事な締めくくりでした。










ホームとはいえ火曜日にBGパトゥム・ユナイテッドとの厳しいゲームを戦った川崎。この日はその時とはメンバーを一部入れ替えて臨み、勝ち点1を得るにとどまりました。

前半はJ1初担当という高崎航地主審のレフェリングにナーバスにさせられる機会も多く、また京都の執拗なプレッシャーには苦しめられました。前進が難しく、中盤から前線へと効果的にボールを動かすことができません。

福田心之助に先制を許しながら、19分にチョン・ソンリョンのロングキックを起点に、アピアタウィア久のミスを逃さなかった宮代大聖のゴールで追い付きました。しかし、ハーフタイム前に2失点します。

いずれもジェジエウの原大智に対する守備がやや甘くなり、豊川雄太に得点を許した格好です。コーナーキックを起点に小林悠のゴールで再び1点差としますが、ジェジエウはハーフタイムで山村和也と交代します。

山村と同時にジョアン・シミッチに代わって瀬古樹が投入され、中盤3枚の動きが柔軟になり、ボールの循環が改善されていきます。特に右ウイングの位置から中央に入る小林に集める形を増やして、京都ゴールに迫りました。

それでも得点には結び付かず、鬼木達監督はマルシーニョ、山田新、家長昭博を順々に送り出します。家長はトップ下の位置に入り、4-2-3-1に形を変えました。

その間、63分に井上黎生人を入れた京都は、守備時に5-4-1となるシステムに変更。川崎にとっては危険な場面が減ったものの、より一層攻めにくくなりました。

それゆえにマルシーニョが福田のファウルを受けて得たPKを、脇坂泰斗が沈めて追い付くのが精一杯でした。逆転を目指して、丁寧につなぐのをやめて放り込みを増やすも、最後まで4点目が奪えません。

これでリーグ戦は残留争いをしているチーム相手に2試合続けてのドローとなりました。追い付いて終えたとはいえ、現状の川崎の順位を反映したような、物足りなさの残るゲームでした。


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