22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2023年09月

中3日で蔚山現代との一戦が控えているためか、川崎はそれをにらんだような人選になりました。最終ラインの台所事情が苦しい中、大南拓磨が不在で、ゲームのペースをコントロールできる家長昭博もいません。

試合はピッチの幅を広く使いながら、ライン間に人数をかけて崩す新潟に主導権を握られます。6分の決定機を皮切りに、クリスマスツリー型で守る川崎を翻弄しました。

それでも中盤でボールを奪い、遠野大弥が一気に前線に出すと、小林悠には通らなかったもののコーナーキックを獲得。その流れでジョアン・シミッチが先制点を奪います。

苦しめられながらリードすることができた川崎でしたが、そこから三戸舜介が牙を剥きます。

30分、対峙する脇坂泰斗との間合いを少しだけ取ると、右足を振り抜き、強烈な弾道のロングシュートがポストを叩きました。このこぼれ球にすばやく反応した鈴木孝司に同点とされてしまいます。

一時は試合を引っ繰り返す新井直人のゴールも、ボックスに入った三戸のコンパクトな振りから放たれた一撃が、チョン・ソンリョンを襲ってコーナーキックとなったことで生まれました。

川崎は40分頃から4-4-2にシステムを変え、さらに選手交代をしながら立ち位置を変更していきました。66分の二枚替えで、今度は湘南ベルマーレ戦と同じ3-5-2へと変化します。

中盤から前の人数を増やし、ボックス内では山田新の体の強さが生きてPKを得ます。これを山田が自ら決めて同点に追い付きました。

しかし遠野が足をつって瀬古樹に交代した直後、太田修介がボックスの手前から放ったシュートがネットに突き刺さり、再び新潟がリードしました。

痛恨のシーズンダブルを回避すべく、川崎は攻めに出ますが、左ウイングバックに変わった田邉秀斗が得たフリーキックも同点弾には結び付かず、タイムアップとなりました。

この敗戦により、リーグ優勝の可能性は完全になくなりました。昨シーズンは辛うじて最終節まで望みをつないでいただけに、今回は早い段階での終戦です。



FC東京戦、ジョホール・ダルル・タクジム戦と意外にも同じスタメンで勝ち切った川崎。この日は対湘南ということで、メンバーも一部入れ替えて3-5-2を選択しました。

ここで期待に応えたのが先発起用のレアンドロ・ダミアンでした。山根視来が蹴り返したボールを中盤で体を張ってキープ。そこから瀬古樹、脇坂泰斗を経由して、山田新のコースを狙った先制点につながりました。

さらにレアンドロ・ダミアンからのパスに走り込み、シュートを打とうとした瀬川祐輔が小野瀬康介のファウルを受けてPKを獲得。キッカーを背番号9が務めます。

一度は馬渡洋樹に完璧に止められたものの、蹴る前にゴールラインから馬渡の足が出ていたためやり直しになり、動きにくくなったところを逃さず決めました。待ちに待った今シーズン初ゴールです。

前半の終盤は自陣でのミスが立て続けに起き、ピンチになりかけるも大事には至らず、2点リードのまま試合を折り返します。

後半はマレーシア帰りの川崎の運動量が落ちると想定したであろう湘南が、選手を交代しながらギアを上げてきます。やがて杉岡大暉のサイドからのフリーキックがチョン・ソンリョンを襲いました。

リズムが悪い中、アウェイチームにアクシデントが発生します。車屋紳太郎がサイドでのコンタクトの際、左膝を負傷。ベンチに山村和也が不在だったこともあり、ピッチに立つ3センターバックのうち、中央の大南拓磨だけが本職のプレーヤーという事態に陥りました。

後方の屈強さが落ちたことも少なからず影響し、特にラスト10分は自陣で耐える時間が長くなりました。それでも代わって入ったバフェティンビ・ゴミスとマルシーニョが前線で仕事をして、湘南ゴールに迫ります。

ゴミスのシュートがきっかけで得たコーナーキックで、家長昭博のシュートがポストを叩く決定機も生まれました。

その後の我慢の時間を全員で乗り切って、川崎は0-2で勝利を収めます。20分で退いた佐々木旭も含め、再び最終ラインの負傷者が増えているのが気がかりですが、公式戦3連勝を飾りました。






中断期間中は公式戦がなく、約2週間ぶりの実戦となった川崎。ついにバフェティンビ・ゴミスがチームの一員としてピッチに登場します。

前半は主にマルシーニョのスピードを生かす戦いを選択。チョン・ソンリョンの左サイドへのロングキックから一気に東京ゴールに迫る場面もありました。

対する東京は縦への意識が強く、手数をかけずに川崎ゴールに向かって攻めてきますが、最終ラインの背後はチョン・ソンリョンがケアしていました。

最初の45分はVARで川崎の得点が認められないシーンもあり、スコアが動きません。

後半、ゴミスのバックパスがタッチラインを割り、東京ボールになるも、川崎はそれを跳ね返して反撃します。脇坂泰斗が自陣で巧みに相手をかわし、マルシーニョへパスを送ると、森重真人との1対1を制してフィニッシュ。待望の先制点が生まれました。

直後にはファウルを受けたゴミスのクイックリスタートで、瀬古樹とマルシーニョがシュートを放ちますが、ヤクブ・スウォビィクに阻まれます。

新加入の元フランス代表は、62分にレアンドロ・ダミアンと交代。ボックス内での怖さはまだ見られませんでしたが、ポストプレーでファウルをもらってでもマイボールにする確率が高く、今後が楽しみです。

ビハインドになった東京が躊躇なく選手を入れ替えるのに対して、この日の鬼木達監督は積極的にはカードを切りません。ジョアン・シミッチの出番はなく、2人目以降の交代は残り10分になってからです。AFCチャンピオンズリーグでのターンオーバーを考えて、先発メンバーを引っ張ったのかもしれません。

試合を楽にする2点目は奪えなかったものの、足をつらせる選手が続出する中で確実に時計を進め、ウノゼロで川崎がホームでの多摩川クラシコを制しました。完封できた要因として、チョン・ソンリョンの二度のビッグセーブを忘れてはならないでしょう。

リーグ戦ではまった長いトンネルからはようやく抜け出せました。中位にとどまるこのコンペティションに関してはモチベーションの維持が難しいかもしれません。それでも一戦一戦、力を尽くして順位を少しでも上げていくしかありません。




水曜日の天皇杯に力を注ぎ、PK戦までもつれた後、中2日で迎えたアウェイでの一戦。鬼木達監督はメンバーの大幅入れ替えを決断しました。

家長昭博をベンチスタートとし、山根視来、車屋紳太郎はベンチ外。またGKはチョン・ソンリョンではなく、上福元直人が選ばれました。

最近の懸案事項となっていたセットプレーの守備対応も考慮し、背の高い選手を多く選び、チームは3-5-2で臨むこととなりました。

セレッソが形の違いに戸惑ったのか、前半は自陣でのミスが目立ちながらも川崎ペースで試合が進みます。ただ、橘田健人の叩き付けるようなボレーも、レアンドロ・ダミアンのシュートもヤン・ハンビンの正面でした。

最大の決定機は、脇坂泰斗、レアンドロ・ダミアン、瀬川祐輔が絡んだ攻めでしたが、脇坂のシュートはクロスバーを越えます。先制できる貴重なチャンスでした。

ここでピンチを凌いだセレッソは、川崎のやり方に慣れたのもあって息を吹き返し、コーナーキックから進藤亮佑が左足で合わせました。ここは上福元が懸命に阻止します。

徐々にホームチームに流れが傾く中、スコアレスでハーフタイムを迎えました。

後半、セレッソはジョルディ・クルークス、カピシャーバの両サイドを意識的に使って攻め込むようになりました。深い位置まで進めれば、大外を1人で担当する川崎のウイングバックが押し下げられ、反撃が難しく、苦しくなります。

こうして相手の変化を正面から受けて押し返せないままでいると、52分にクルークスのクロスが、レオ・セアラと競り合った高井幸大の頭に当たり、ゴールに吸い込まれました。

点を取り返さなければならないアウェイチームでしたが、エンドが変わってからはシュートで終わる形が減ります。そこでベンチは3枚替えを準備するものの、交代のタイミングを計っているうちに山村和也のハンドでPKを与えてしまいました。

結局、追加点を許した後に、用意していた3人に家長を加えた4枚替えを実施します。後手を踏んだ格好です。

4-3-3に変えて反撃を試みるも、疲労もあってか迫力を欠いており、マルシーニョが効果的な働きをする場面も見られません。

対するセレッソはマテイ・ヨニッチを入れ、3バックに変えた直後、今度は前線で動き回れる選手を投入。的確なメンバー交代によって、再びPKを獲得します。試合を決める3点目が入りました。

アディショナルタイムが10分あり、川崎は最後まで得点を取る姿勢は見せました。それでも前半のようにはチャンスがつくれないまま、無得点に終わりました。

シーズン11敗目を喫し、中断期間に入ります。








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