22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2023年08月

前半は完全に劣勢でした。ほぼ川崎陣内で試合を進められ、脇坂泰斗が独力でポケットまで運ぶシーンはありましたが、シュートを1本も打つことなく2失点を喫しました。

先制されたのは今回もセットプレーからでした。福森晃斗のフリーキックを枚数の多い壁で防いだものの、こぼれ球をスパチョーク・サラチャートにダイレクトで合わされ決められます。

このまま0-1で折り返せばまだよかったのですが、35分に小気味よくパスをつながれると、スパチョークにポケットを取られ、最後は駒井善成にゴールを許しました。

苦しい流れでハーフタイムを迎えた川崎は、後半頭に選手を代えます。この日はミドルパスがうまく決まらなかったジョアン・シミッチに代えて瀬古樹、瀬川祐輔に代えてマルシーニョを送り込みました。

機動力を上げたホームチームは、マルシーニョを生かす攻めを見せます。それがVARの介入による岡村大八の退場につながりました。

人につく守備をする札幌が、数的不利となったことで川崎はビルドアップが容易になります。後方で手詰まりにならず、中盤まで苦労しないでボールを運べるようになりました。

こうなると川崎に主導権が移り、67分には逆に相手のビルドアップのミスをついて、マルシーニョがボールを奪い、脇坂が冷静に蹴り込みます。

さらに71分、佐々木旭がマルシーニョに預けてゴール前に走ると、山根視来の叩き付けた折り返しに合わせて同点に追い付きました。佐々木は登里享平不在で巡ったチャンスを生かしました。

そこまでは順調でしたが、以降は札幌のゴール前での体を張った守備に手を焼きます。アディショナルタイムが11分もありながら、喉から手が出るほど欲しい決勝点が奪えません。

不発に終わった小林悠を下げて宮代大聖を入れ、さらにはレアンドロ・ダミアンを入れて2トップに変え、サイドからのクロスボールを増やしても届かず、時間だけが過ぎていきました。

11人対10人になってからはほとんど決定機を与えなかった川崎。それでも勝ち切る経験から遠ざかっていたことが影響したのかもしれません。リーグ戦の連敗こそ3で止めたものの、2-2のままゲームは終わりました。

しっかり勝って、あと3連勝でタイトル獲得に至る天皇杯に向かいたいところでしたが、それはなりませんでした。


またしても1点に泣きました。それも2節前のガンバ大阪戦同様、点を取り合う中での試合終了間際の失点です。一瞬の隙をつかれて、満田誠に決められました。

それまで劣勢に立たされながらも、チョン・ソンリョンが何度もピンチを防いでいただけに、この負けは悔やまれます。

試合はホームチームのペースでした。ハイプレスでスタートした広島は、中野就斗、志知孝明の両ウイングバックが高い位置をとって攻めてきました。

対して川崎は瀬古樹がジョアン・シミッチの脇に立って、後方のパスコースを確保するなどして自陣からの打開を図ります。

ようやく攻撃に転じると、相手のウイングバックの裏、3バックの脇を意識して狙いました。コーナーキックからの失点後、同点に追い付いた場面もシミッチから左の瀬川祐輔へのパスが決め手でした。

しかし、後半は再び苦境に立たされます。広島に圧倒されて防戦一方となり、シミッチが最終ラインに吸収されることも少なくありません。

60分には後半頭から入ったマルコス・ジュニオールの繊細なボールタッチに翻弄され勝ち越し弾を許しました。ボックス内に入られたため、迂闊なファウルはできませんでした。

ただ、そのままの勢いを持続する広島に追加点を許さなかったことで、川崎にも光が射します。活性化のため3枚替えを行なった6分後、脇坂泰斗のヒールパスを山根視来が丁寧に合わせて2-2に追い付いたのです。

執念を見せたことで息を吹き返したアウェイチームは、セカンドボールを拾えるようになります。相手陣内で攻撃する時間も長くなり、ボックスに近付く場面も増えました。

とはいえ決定機と呼べるほどのチャンスはつくれず、脇坂が直接狙ったフリーキックも含め、大迫敬介を慌てさせるシーンはありません。それだけに完全に流れを取り戻したわけではないまま時間が過ぎました。

その中での90+7分の失点でした。アシストはマルコス・ジュニオールです。最後は迷いのない豪快な一撃に沈みました。

これで川崎は三連敗。接戦をものにできない苦しみが続きます。果たして、新たにバフェティンビ・ゴミスがチームに加わって、すべてが好転するのか。AFCチャンピオンズリーグ開幕による過密日程も始まるだけに難しい状況です。



天皇杯、ガンバ大阪戦とベストと思しき11人を起用してきました。今節は山村和也をセンターバックの一角に、トップに山田新、左ウイングに瀬川祐輔を配して臨みます。

川崎は勝ちたい思いがプレーに現れていました。力強くダイナミックな神戸の攻撃に怯むことなく、前に矢印を向けて戦います。互いにシュートこそ少ないものの、拮抗したまま試合は推移しました。

しかし、脇坂泰斗のシュートをブロックされ、そのままカウンターに移行した神戸をクリーンに止められず、大南拓磨が後方からジェアン・パトリッキに触れて倒してしまいます。

当初はPKのジャッジで大南にはイエローカードが提示されるも、VARによってボックス手前のフリーキックに変更され、大南へのカードは赤色に変わります。しかもフリーキックを大迫勇也に決められ、結果的に最悪の展開になりました。

やむなく橘田健人を下げ、高井幸大を入れて4-2-3で戦うことを選択。ただ、数的不利に苦しんで、前半の間は押し下げられる時間が長くなります。

加えて二度も後方に下げたボールを取られ、危うい場面をつくってしまいました。幸いここでは失点せずにハーフタイムを迎えます。

後半は再び前への意識を強め、勇気を持って攻めます。あの手この手でポケットまでは侵入できても、ボックス中央を固めた神戸ディフェンスを攻略できません。

山田は本多勇喜につかれてもタフにロングボールを懐に収め、脇坂はいつもの鮮やかなトラップのみならず、中盤で山口蛍ら3人を抜いて凄味を発揮するなど、それぞれが持ち味を存分に出してはいました。しかし得点には結び付かないのです。

脇坂は、神戸の先制につながるきっかけを与えた責任を少なからず感じていたのかもしれません。それが普段以上のパフォーマンスを引き出したとも考えられます。

川崎に決定的なチャンスはほとんどなく、唯一の好機は、こぼれ球を拾った登里享平のクロスを脇坂がダイレクトで合わせたシーンでした。しかしフリーだった脇坂のシュートは枠を外れます。力が入り過ぎたかもしれません。

81分に鬼木達監督は3枚替えを決行し、3バックに変えます。といってもDFは後ろで構えるばかりではなく、そのうち一人は中盤に上がるという変則的な形でした。

最後まで勝ち点を取るべく選手は全力を尽くしました。マルシーニョは左に張るばかりではなく、中でも果敢にプレーしました。終盤のピンチはチョン・ソンリョンの好セーブにより回避。希望をつなぎました。それでも1点が遠く、ホームで連敗となりました。

首位の神戸との差は15に開き、残り試合が11しかないことを考えると、現実的には厳しい差がついてしまいました。






2点のビハインドを追い付く流れは見事でした。それだけに後半アディショナルタイムで失った勝ち点は、チームにとって大きなダメージになり得ます。

約1ヵ月ぶりのホームゲームで、川崎は脇坂泰斗とマルシーニョ、そしてミッドウィークの天皇杯では出場のなかったレアンドロ・ダミアンがスタメンに名を連ねます。

序盤はフレッシュなマルシーニョのスピードを生かした攻め、レアンドロ・ダミアンの中央で構えてくれる安定感といったところが存分に見られました。

その中で先制できれば、試合の流れは変わったかもしれませんが、先に得点したのはアウェイチームでした。イッサム・ジェバリとファン・アラーノの絡みを経て、最後は石毛秀樹がフィニッシュ。ニアポストを叩いてゴールに吸い込まれました。

27分にボックスに飛び出した脇坂の巧みなプレーで同点に追い付くも、直後にジョアン・シミッチの石毛へのファウルで献上したPK、さらにはピッチコンディションが悪い中で高井幸大のバックパスの転がりが弱く、ファン・アラーノに奪われて失ったゴールで1-3となります。

鬼木達監督は後半頭にマルシーニョに代えて瀬川祐輔を投入。マルシーニョがまだ100%のコンディションではないのかもしれませんが、とにもかくにも前線のキャラクターを変えてきました。

その後も交代カードを切り、主導権を握って71分と75分にリスタートの流れから瀬川がゴールを決めました。75分の同点弾は、何度もシュートが阻まれた後の得点です。波状攻撃が実りました。

等々力陸上競技場のムードは高まり、逆転勝利への期待が膨らみます。それだけに90+6分にガンバにコーナーキックからダワンの勝ち越し点を許したのは悔やまれます。

残された時間が限られた中、高井も前線に上がってコーナーキックを獲得すると、チョン・ソンリョンもゴール前に上がります。それでも再び同点に追い付くことはできずにタイムアップを迎えました。

リーグ戦が再開しての初戦だっただけに勝ち点の欲しいゲームでしたが、あと一歩のところで落としてしまいました。




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