22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2023年07月

2週連続で首位チームとの戦いとなりましたが、今回は2点のリードを追い付かれて引き分けに終わりました。

前半は神戸の守備から攻撃への切り替えの速さがしばしば見られたものの、川崎のペースで試合を進められました。特に中盤からの球出しがスムーズかつ効果的で、神戸の守備網を巧みにくぐり抜けます。

また両サイドバックが内側にポジションをとるタイミングもよく、ボールの循環が円滑になりました。

23分には高い位置からのプレッシャーが功を奏して相手のミスを誘発させ、最後は脇坂泰斗がゴールに蹴り込みます。ボックスにかける人数の多さが得点につながりました。

さらに30分、脇坂のコーナーキックをファーサイドでジョアン・シミッチが折り返し、宮代大聖が大迫勇也との競り合いに怯まず飛んで加点します。申し分ない展開です。

しかしこのまま終わる神戸ではありませんでした。前半はゴール付近でのイメージの共有がうまくいっていませんでしたが、後半になると攻守ともにスピーディーになり、精度を上げて川崎に襲いかかってきました。

流れが大きく変わったのは、家長昭博のハンドをとられたPK献上の場面です。VARによるチェックによる決定でホームチームへの後押しも大きくなり、大迫が決めたことでムードが変わります。

その勢いを跳ね返す前に汰木康也のコーナーキックから再び大迫に決められ、スコアは2-2になりました。

大南拓磨が入って3バックに変え、ウイングバックが幅をとって前に出られるようになり、一時的にペースを握り返しますが、車屋紳太郎のアクシデントと思しき交代によりトーンダウン。

ハーフタイムで脳震盪の疑いにより登里享平も退いており、最終ラインのメンバーが大きく変わってしまいまいた。

そのことがチームに少なからぬ動揺を与える形となったか、システム変更で生まれたはずの優位がなくなります。11対11の数的同数にもかかわらず数的不利になったかのようになり、大迫、そして途中出場の飯野七聖が絡んだ攻撃で数度ゴールに迫られました。

川崎は最後に遠野大弥とともにレアンドロ・ダミアンを投入。復帰を果たした背番号9は、強引にシュートを狙うより、味方との連携を大事にするプレーに終始しますが、再びリードをすることはできませんでした。

残り時間がわずかになると、神戸は無理をして攻めなくなります。彼らにとっては勝ち点1でも悪くないという判断でしょう。

逆に川崎にとっては上位浮上のためには大事なゲームでしたが、勝ち点1を得るにとどまったと言わざるを得ません。


残り試合数と勝ち点差を考えると、首位のF・マリノス相手のこの試合、優勝するためには絶対に落とせない一戦でした。それだけに大きな、価値ある一勝となりました。

前節、先発に返り咲いたチョン・ソンリョン、そして大島僚太がベンチにもおらず、戦力的には依然厳しい川崎。4-3-3のシステムで4-2-3-1のF・マリノスの中盤とマッチアップする形をつくります。

川崎は序盤から先制点を狙って積極的に出ていきました。守備ではビルドアップに強いこだわりを持つF・マリノスに対して高い位置からプレッシャーをかけ、攻撃ではオフサイドにかかるのを恐れず、時間をかけないで相手のハイラインの裏を素早く突くことをメインにします。

家長昭博はいつものようにはポジションを動かず、右サイドのライン際で構える時間を長くしました。そこから数回ゴールに近付きますが、決定的なチャンスには至りません。

逆に前半はF・マリノスに押し込まれる場面が多く、前線の選手も下がらなければならなくなります。それでもヤン・マテウスやエウベルに粘り強く対応して、アンデルソン・ロペスに仕事をさせず、スコアレスのままハーフタイムを迎えました。

後半に入ると家長がポジションを変える頻度が高くなりました。これにより高速だった試合のペースを徐々に変えていきます。

戦い方を修正してリズムをつかむと、チャンスも増えてきます。ただ、家長が永戸勝也を持ち前の強さとうまさで振り切り、瀬古樹につなげてのフィニッシュは枠をとらえられません。

鬼木達監督は60分に橘田健人と遠野大弥を送り込み、機動力をアップさせ、さらに67分、瀬川祐輔をトップの位置に立たせます。

すると瀬川と遠野が絡んでPKを獲得。試合を動かす絶好のチャンスが訪れました。しかし家長のキックはコースが甘く、一森純に止められてしまいます。

以降も山根視来の大きなサイドチェンジを受けた遠野の力強いシュートが一森にセーブされ、ゴールに迫る回数は増えても得点を奪うことができません。

残り10分を切ると、大南拓磨と佐々木旭を入れて3-5-2に変更。家長を瀬川とともに前線に配します。このまま終わらせるための3バックではなく、点を取るためのシステムチェンジです。

アディショナルタイム、コーナーキックの流れで遠野が中盤を横断するドリブルを開始。パスを受けた瀬川は、冷静にF・マリノス守備陣の隙間を縫って前方へつなげます。それを大南が一森の脇の下を通すパスで中央に折り返し、最後は車屋紳太郎が体ごとゴールに押し込みました。

その後、瀬川が無人のゴールを狙ったロングシュートは決まらなかったものの、劇的なゴールで勝利を手繰り寄せた川崎。首位チームを完封しての勝ち点3獲得です。

この試合では上福元直人の安定した働きも見逃せません。2試合続けて失点に絡んで先発を外されたことを受け、飛び出した際の対応を含め、ボールを確実に扱うプレーに終始しました。

次はヴィッセル神戸とのアウェイゲームが待っています。中1日多いアドバンテージも生かしつつ、一気に浮上したいところです。


チャナティップ・ソングラシンに加え、小塚和季までもがチームを去った中、川崎は3試合ぶりの勝利を収めます。

1トップにはリーグ戦では4月1日の北海道コンサドーレ札幌戦以来のスタメンとなる山田新が入りました。

最後方にはGKという交代の少ないポジションゆえにピッチに立つことすらできなかったチョン・ソンリョンが、4月15日の名古屋グランパス戦以来のリーグ戦出場を果たします。

序盤は横浜FCが積極的に出てきて、小川慶治朗に抜け出されますが、チョン・ソンリョンが飛び出して阻みました。

10分を経過したところで、家長昭博がポジションを変え始めます。それによりボールの循環がスムーズとなり、山根視来の惜しいクロスからコーナーキックを獲得。そのショートコーナーから最後は登里享平のクロスに山田が飛び込んで先制しました。

前節は取れなかった得点が早々に取れたことで、川崎の選手達は動きが軽快になります。パスの緩急も絶妙で、横浜FCの守備陣を押し込みました。

追加点が欲しいところで、この日は左MFをスタートポジションにしていた宮代大聖がボックス内で倒されPKを得ると、自らキッカーを務めて真ん中に蹴り込みました。

前半の終盤に登里の戻しのパスが合わず、山下諒也に奪われますが、シュートが枠を外れて救われます。

川崎は後半も攻勢を強めてさらなるゴールを狙うも、高い位置で奪った後の家長の右足のループシュートはやや甘く、スベンド・ブローダーセンに難なくキャッチされます。

横浜FCが62分に3枚替えを行い、前線が活性化すると、川崎はその勢いにのまれました。守備が安定感を欠き、自陣で堪える時間が続きます。

やむなく鬼木達監督は大南拓磨を入れて3バックに変更。まだ10分近く残っている中で後方の人数を増やす形に変えました。

逃げ切りを狙った変更だったはずですが、これで落ち着きを取り戻して戦えるようになり、89分に瀬川祐輔が豪快なシュートで仕上げの3点目を取りました。アシストは入ったばかりの橘田健人でした。

このまま試合を終わらせて、川崎は完封勝利。90分の中で不安定な時間があるなど改善点は依然として残されているものの、これから続く上位陣との対戦に弾みをつける勝利となりました。





シュート数は名古屋の9本に対し19本を記録しました。しかし結果は、ミッチェル・ランゲラックの再三の好守もあって2-0の完封負けです。

序盤はミドルシュートが目立ったとはいえ、シュートで終える攻撃を見せていた川崎。逆にキャスパー・ユンカーに抜け出されたピンチでは上福元直人が凌いで失点を免れます。

30分頃までは中盤で相手を焦らすようなボールキープをして、名古屋ゴールに迫らんとしていました。24分には脇坂泰斗がボックスに踏み込んでの決定機を迎えるも、名古屋の守護神に阻まれます。

その後は名古屋の攻撃に鋭さが出て、ユンカーがボックスでコンタクトを受ける場面もありました。幸いPKにはならずに済んだものの、41分に先制点を献上してしまいます。

左サイドに流れたマテウス・カストロのクロスを上福元は一旦押さえたのですが、ボールをこぼしたため、それを冷静に見ていたユンカーに押し込まれました。前節に続き、上福元が失点に絡む形となりました。

後半は仕切り直して猛攻からスタート。積極的に崩しながら、ペナルティボックスに入る人数を増やしてゴールの可能性を高めます。それでも中央を攻略しての遠野大弥のシュートはランゲラックに止められました。

追い付ければ流れを引き寄せることもできますが、状況は変わらないまま時間が過ぎていきます。山田新を入れ、4-4-2に変えても大きな変化が生まれません。

そして64分、名古屋のセットプレーの流れで和泉竜司に宮代大聖が振り切られ、永井謙佑とのワンツーを決められた後に追加点を奪われました。

鬼木達監督は70分に3枚同時交代を決行。主に最終ラインをいじり、両サイドバックを下げて、佐々木旭と大南拓磨を右のサイドバックとセンターバックに配します。これで車屋紳太郎が左サイドバックに出ることになります。

この並びは後に大南が右サイドバック、佐々木がやり慣れた左サイドバックに変わり、特に大南は果敢にオーバーラップを仕掛けました。

ただ、梃入れも実らず、タイムアップの時を迎えました。名古屋にはシーズンダブルを食らいました。

今の川崎は細かな崩しは変わらず見事ですが、最後の迫力を欠いています。強引さ、怖さがなく、得点の香りがシュートの数ほど漂ってきません。負傷者の復帰もさることながら、夏の補強に期待しなければならないほど、上位浮上には厳しい状態です。


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