22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2023年06月

川崎はプレッシャーの厳しい敵地で、途中出場の小塚和季の一発退場により1人少なくなっても心折れることなく、最後まで勝ち点3獲得を目指して戦いました。

開始早々にすばやいスローインから大久保智明のシュートが上福元直人を襲い、そこからしばらくは縦に速い浦和のペースで進みました。

それでも17分に宮代大聖と絡みつつ遠野大弥がシュートを放ったのをきっかけに、川崎が主導権を握り始めます。

この試合はチーム全体に球際の激しさ、局面での強さが目立ちました。特に大島僚太のプレー強度の高さがいつも以上に光ります。

ただ、中盤までは崩せても、最後のところのクオリティが決して高くはなく、アレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテンを擁する浦和の守備陣を翻弄するには至りません。

遠い位置からのフリーキックで脇坂泰斗が直接狙ってクロスバーを叩いた場面を除くと、アウェイチームに際どいチャンスはなかった前半でした。

スコアレスで折り返した後半、西川周作のロングキックを上福元が飛び出して頭でクリア。それを交代出場の関根貴大に拾われ、距離はありましたが無人のゴールに蹴り込まれてしまいます。

残念な形での失点でしたが、川崎は怯みません。58分、浦和のビルドアップに前線から宮代、脇坂、さらにジョアン・シミッチが的確にプレッシャーをかけたことで結果的に西川のオウンゴールを誘発します。これで同点です。

鬼木達監督は左ウイングの遠野に代えて瀬川祐輔を投入。瀬川は自陣からのカウンターで、大島の絶妙なパスを受けて西川と1対1のビッグチャンスを迎えるも生かせません。90分を通してもっとも確実に仕留めたかったシーンでした。

10人になってからは残り時間が少ない中で3枚同時交代を行い、家長昭博をトップに据えた4-2-3で勝負をかけました。撤退することなく、数的不利を感じさせないプレーで浦和ゴールに迫ります。

アディショナルタイムには家長と瀬川の位置を変えましたが、逆転することはできず、ドローで勝ち点1を分け合いました。次節は上位の名古屋グランパスとのアウェイゲームです。


最初の15分は広島の強度の高さに圧倒されました。スローインと大迫敬介からのロングフィードで二度決定機をつくられただけでなく、川崎は自陣からほとんど出られませんでした。

また川村拓夢の前への飛び出しに象徴されるように、ピッチを広島の広さでダイナミックに使われる時間が長く、川崎はいつものコンパクトな陣形で戦えません。当然、シュートを打てずに時間が過ぎます。

スイッチが入ったのは、奇しくも小林悠がボールコントロールの際に無理をして負傷し、27分にレアンドロ・ダミアンが交代でピッチに入ってからでした。

以降はじっくりショートパスで保持しつつバランスを整え、機を見て崩して攻める形ができるようになります。

スコアレスで折り返した後半頭に広島が再び主導権を握るべくギアを上げたのを凌ぐと、56分に先制点を奪います。脇坂泰斗が中盤で起点となり、家長昭博がアウトサイドで絶妙なパスをレアンドロ・ダミアンに供給。佐々木翔が前に立つ状況で、脇坂は背番号9が落としたボールを巧みに操りゴールを決めました。

待望の得点に、バースデーゴールに脇坂は力強く吠えます。ゴールパフォーマンスにもいつも以上に力がこもっていました。

その後は広島がピッチの幅を生かして、左右のウイングバックを活用した攻撃を仕掛けますが、ホームチームはDF陣のみならず、大島僚太や代わって入った瀬川祐輔も自陣での体を張ったプレーでピンチを防ぎます。

最終的には山村和也を入れて5バックに変更。後半半ばに谷本涼主審の通信機器トラブルが発生し、アディショナルタイムは8分あったものの、相手コーナーキックの際には小塚和季の奮闘もあって、きっちりと逃げ切りに成功しました。

小林と大島の負傷の度合いが気になりますが、上位の広島を我慢強く叩き、2週間ぶりのリーグ戦で勝ち点3を手にして終えました。


奇策は用いなかったものの、産みの苦しみを味わいました。とりわけケビン・デ・ブライネが負傷退場した36分以降は、インテルが5-3-2で固めたこともありますが、アタッキングサードに思うようにボールが運べなくなりました。シティが保持していてもどちらかと言えば持たされているようで、相手にはさほど脅威を与えられていませんでした。

攻撃において決定的な仕事のできる背番号17が不在のピッチは、ボールを持てる選手は多いものの幅広く動いて受けて鋭く捌ける選手がおらず、インテルの陣形が簡単には崩れません。

それだけにまだ離脱者のいなかった27分の決定機、ロドリを起点にデ・ブライネとアーリン・ホーランのホットラインでシュートまで行ったシーンは、ゴールに結び付けたかったビッグチャンスでした。

最強の称号をかけた一発勝負ゆえに膠着状態が続く中、ベルナルド・シウバとマヌエル・アカンジの連携ミスでインテルに絶好のチャンスが訪れます。転がるボールを奪ったラウタロ・マルティネスがエデルソンと1対1になりますが、シティの守護神がピンチを防ぎました。

緊迫したゲームが動いたのは68分でした。アカンジがボールを持って前に進んで、インテル側を若干の混乱に陥れると、ベルナルド・シウバがポケットでそのパスを受けてクロスを入れます。ボールはフランチェスコ・アチェルビに当たってこぼれ、それをフリーのロドリが狙って沈めました。

1点を追うインテルはシモーネ・インザーギ監督が両ウイングバックを同時に代えるなど積極的な交代策を行い、ロメル・ルカクを前線のターゲットにして攻めます。

それでもエデルソンとルベン・ディアスを中心とし、センターバックタイプを4人並べたシティのディフェンスは安定感があり、再三のピンチを凌ぎました。また、フェデリコ・ディマルコの柔らかいヘッドはクロスバーに救われます。

シティサイドもホーランがつぶれた中、フィル・フォーデンが抜け出してシュートを放つ場面をつくるも、アンドレ・オナナを慌てさせるには至りません。

終盤はシティが追加点を奪えないままインテルの猛攻に耐える形となりますが、5分のアディショナルタイムも懸命の守備で乗り切り、悲願のチャンピオンズリーグ初優勝を成し遂げました。

これでジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティはプレミアリーグ、FAカップと合わせて三冠を達成。歴史に名を残す真のビッグクラブとなりました。


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