22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2023年04月

VAR判定の結果、1点を喫したものの、終始安定した試合運びで4週間ぶりの勝利を収めました。

鬼木達監督は前節の戦いぶりを評価してか、まったく同じ11人をスタメンに起用。それでも微調整はされており、浦和レッズ戦はジョアン・シミッチの脇に立つことが多かった瀬古樹が、今回は左インサイドハーフとして振る舞う4-3-3でスタートします。

この場合、今季のビルドアップ時は山根視来がシミッチの脇に立つケースが増えますが、前半はシミッチが比較的自由にボールをさばけていたため、山根はタッチライン際で幅をとる時間が長くなりました。

また、規制をかけ損ねた浦和戦の失点シーンの反省からか、守備での球際の激しさが目立ちます。立ち上がりは優位にゲームを進められてはいませんでしたが、徐々に主導権を握り出しました。

12分、山根のパスを脇坂泰斗がボックス内で受け、ポケットまで入るとラストパスを出します。中央に詰めた宮代大聖には合わなかったものの、逆のポケットに走り込んだ登里享平がきっちり合わせて先制しました。登里は6シーズンぶりのゴールに喜びを爆発させます。

その後はルキアンがしばしば川崎に脅威を与えるも、無失点で折り返しました。

後半は山岸祐也がシミッチにつくようになったため、川崎は山根がフォローに近付き、中央のパスコースを確保します。

福岡の対策にも怯まず、逆に待望の追加点を奪ってみせました。47分、登里のクロスが流れ、それを受けた家長昭博のパスを宮代がうまく合わせての得点です。

2点差になったことで福岡が前に強く出るようになり、川崎は自陣で構えてカウンターを発動する形にシフトします。

65分には遠野大弥のクロスを奈良竜樹が触ってオウンゴール。さらにリードを広げました。

安全圏に入っても指揮官はスタメンを引っ張り、残り10分近くなってから交代を始めます。

終盤、大南拓磨を入れて車屋紳太郎を左サイドに出すだけでなく、最終的には復帰した山村和也を送り込み、高井幸大、山村、大南による3バックを形成して福岡のパワープレーに対抗しました。

一方、前線では先発の宮代や途中出場の橘田健人が執拗に追い回して簡単にロングボールを上げさせまいとします。

鶴野怜樹のゴールが認められたためクリーンシートこそなりませんでしたが、1-3で勝ち点3を獲得。復調の兆しの見えた90分でした。


後半早々に先制ゴールを奪っただけでなく、その後も二度のチャンスをつくっただけに、川崎としては勝ち点3を取っておきたい試合でした。

AFCチャンピオンズリーグ決勝を控える浦和と対戦するにあたり、鬼木達監督は人選に変化を加えます。

大きなポイントとしては、チョン・ソンリョンに代えて上福元直人をリーグ戦で初めてスタメン起用し、ピッチに立ってキャプテンの重責を担っていた橘田健人をベンチスタートとしました。腕章は脇坂泰斗がその腕に巻きます。

12分に関根貴大のシュートが上福元を襲った後、浦和の攻撃に鋭さが増します。我慢強く応対して、攻撃の機会を伺いますが、相手ボックスの中に入れても肝心の中央、ゴールエリアの幅でプレーすることができません。

これはその場所にアレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーテンを擁する浦和の守備の固さゆえと言えます。

前半はスコアレスでハーフタイムを迎えました。

48分、スローインのボールを瀬古樹が受けて、家長昭博の走る右サイド前方に出します。家長がホイブラーテンにつかれながらも深い位置から右足でクロスを入れると、直接味方には届かなかったものの、脇坂が浮き球を押し込んで先制しました。

その後も序盤からの継続で前線から規制をかけ続けたことで、高い位置でのボール奪取に成功。遠野大弥のマイナスのクロスに合わせた脇坂のシュート、さらにはシミッチの強烈なミドルが浦和ゴールに襲い掛かりました。

一方、自陣の守備では高井幸大がボール処理のミスを犯した後、興梠慎三に対するプレーがVAR判定の対象になり、肝を冷やします。幸いボックス内でのファウルとは見なされず、PK献上とはなりません。

残り時間が少なくなる中、選手交代を進めてフレッシュな力を投入したものの、ずっとうまくいっていた規制がかからず、両センターバックが釣り出されて81分に失点します。途中出場のブライアン・リンセンに決められました。

決勝点を奪うためにも、ビルドアップの苦しさを解消する意味でも大南拓磨が送り込まれて、3-5-2にシステムを変えますが状況は改善しません。

逆に追い付いた浦和の勢いに飲まれ、防戦一方となります。アディショナルタイムのほとんどを自陣での守備に費やす羽目になりました。交代枠は全て使い切っていながら、運動量の低下も見られ、川崎は押し返すことができません。

またしてもリーグ戦ではホーム初勝利がお預けとなりました。追い付かれるまでは苦しんだとはいえ悪くない内容だっただけに、失望するほどではないにしても2ポイントを失ったことが悔やまれます。




冷たい雨の降る中でホーム初勝利を目指し、後半になってから奮起したものの、前半の不出来が尾を引いて敗れてしまいました。

この日はセンターバックの一角に高井幸大を、右ウイングには永長鷹虎を起用。家長昭博をトップに据えた4-3-3でスタートしました。

川崎はビルドアップによる丁寧な組み立ては控えめにすることで、ショートカウンターを食らっての不用意な失点を防ごうとします。

しかし9分、相手陣内で永長のパスを米本拓司に引っ掛けられると名古屋がカウンターを発動。一気に攻められキャスパー・ユンカーに先制されます。

取られたら取り返す勢いが欲しいところですが、前半の川崎はまたしてもボックスに踏み込む回数が少なく、5-2-3で構える名古屋守備陣を崩せません。

クロスを上げては簡単に跳ね返され、ミドルどころかシュート自体も少ないまま45分が経過します。

途中、宮代大聖がファウルを受けた後、右で苦労していた永長を左、家長を右に変え、右サイドでの山根視来、脇坂泰斗との連携に期待する動きもありましたが変わりません。

残り1分のアディショナルタイムで小塚和季がマテウス・カストロにファウルを犯すと、マテウス自らフリーキックを叩き込み、点差は2に広がります。せめて1点ビハインドでロッカールームに戻りたかった場面だっただけに痛恨の失点です。

後半も形勢が変わらない中、鬼木達監督が60分にもならないタイミングで大胆な4枚替えを行おうとします。それを知ってか、ピッチにいるプレーヤーが鋭い攻めで中央を攻略。宮代が決めて1点差としました。

追い付く可能性が出たため、4人同時交代はひとまず取り止めになりますが、同じメンバーを2人ずつ段階的に呼んで交代が行われます。

74分に佐々木旭とジョアン・シミッチが入った際には3バックにシステムを変更。おそらく4枚替えした際には実行したであろう変化をピッチに施します。

川崎は得点を奪うために果敢に攻め、宮代、シミッチが際どいシュートを放つも、ミッチェル・ランゲラックに阻まれました。

終盤は高井が前線に上がっていき、コーナーキックの機会もあったのですが、守備固めを進める名古屋相手に同点にさえ追い付くことなくタイムアップとなりました。

今シーズンの出来を考えると、無得点に終わらなかった点は辛うじてポジティブにとらえられるとはいえ、様々な梃入れが勝ち点に結び付かない点は無視できません。難題を抱えたまま次節もホームで戦います。


試合を決定づける3失点目こそVAR判定やチョン・ソンリョンの再三のファインセーブによって阻止できましたが、攻撃ではほとんどいい形をつくれないまま完封負けを喫しました。

90分を通じてガンバがセンターバックまでプレスをかけることは決して多くなかったものの、川崎はずっとビルドアップの出口を探すのに苦労していました。

また川崎のミドルプレスの強度が早い段階で持続しなくなり、相手に流れるようなパスワークを許して失点を重ねます。

最初の失点は石毛秀樹のコーナーキックにダワンが合わせた形でしたが、このセットプレーにつながったのはホームチームの華麗な攻撃でした。

劣勢ながらギアを上げたいはずの川崎は、宮代大聖が果敢にミドルを放つも、相手のボックスに踏み込む回数が少ないまま時間が経過します。

しかし、ようやくクイックリスタートから宮代がポケットまで進んでクロスを入れるチャンスを生み出した後、ガンバのカウンターを止めるべく車屋紳太郎が石毛にファウルをして、2枚目のイエローカードをもらいました。残りはまだ30分ほどある中での退場です。

やむなく田邉秀斗が最終ラインに投入されるも、1人少ない状況で2点のビハインドを追い付けるような気配は感じられません。

マルシーニョという強力な左ウイングが負傷でおらず、またケガ明けのレアンドロ・ダミアンも強度の高いリーグ戦の出場時間は長くとれない模様で、川崎はそもそもの攻撃の迫力を欠いていました。

アウェイチームにとって悪いことはさらに起こります。田邉が終盤に負傷して無念の離脱となり、最後は9人での戦いを強いられたのです。こうなるとこの試合のみならず、次戦への不安も募ります。

後半のアディショナルタイムは8分ありましたが、ゴール前に放り込むボールは精度を欠いて、途中出場のレアンドロ・ダミアンには一向に届きません。

最後まで意地の1点さえ奪えないまま、ガンバにリーグ戦初勝利、勝ち点3を与えてしまいました。次はまだ公式戦で勝てていないホームに、2位の名古屋グランパスを迎えることとなります。


執拗でアグレッシブな札幌のマンマークは脅威でした。前半の前半は特に苦しみ、川崎がまったくと言っていいほど持ち味を出せません。

ビルドアップでは何度も引っ掛けられ、自陣での不用意なファウルも増え、福森晃斗にフリーキックの機会を与えてしまいます。

7分、相手コーナーキックの際、山田新のクリアが中途半端になったことで結果的に先制を許しました。またしてもビハインドの展開です。

この日の川崎は4-2-3-1ながらFWの山田と宮代大聖をサイドに、遠野大弥をトップ下、家長昭博を最前線に配すという珍しい並びでした。両サイドハーフはタッチライン際で幅をとるよりも、盛んにゴール前中央に入っていきます。

指揮官の期待に応えるように、山田と宮代が絡んで得点を奪いました。また、次第に球際の激しさがチーム全体で出るようになり、高い位置でのボール奪取から家長のループシュートにつながります。

2-3のリードで折り返すと、ハーフタイムで仕切り直しが行われ、後半はハイプレスで主導権を握り返しにいきます。

加えて立ち上がりから飛ばした札幌の守備の強度がさすがに時間とともに低下したこともアウェイチームには救いとなります。

不用意なファウルからフリーキックを与え、途中出場のキム・ゴンヒに決められ同点に追い付かれはしましたが、ここから鬼木達監督は次々と交代カードを切っていきます。

まずはシステムを変えずに瀬川祐輔と小林悠を同時に入れ、次に車屋紳太郎とジョアン・シミッチを送り込んだ際に3-5-2に変更。前への圧力を強めます。

そして、まだプレータイムが限られているであろうレアンドロ・ダミアンが83分に登場。前線に攻守両面の迫力を加えました。

3分後、3バックになり前に出やすくなった田邉秀斗がクロスを入れると、小林悠と同時に飛んだ瀬川が合わせて勝ち越しに成功します。

残り時間は札幌が最後の力を振り絞って猛攻を仕掛けます。ミラン・トゥチッチ、中島大嘉も加わり、前線にアタッカーを増やしてきました。

小林悠が負傷退場して10人となった苦しい中でも選手は体を張り、瀬古樹が放り込みを封じる守備を見せるなど、懸命にリードを死守しようとします。そうしてアディショナルタイムを凌ぎ切りました。

前回対戦では3点取っても勝てませんでしたが、今回は4点奪って勝利しました。今シーズンは得点が少なく、それゆえ勝利に結び付かないゲームが多いだけに、これが浮上へのいいきっかけとなるでしょうか。



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