22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2023年03月

可能性を感じる決定機と言えるのは、判定が正しかったかどうかが問題の終盤のオフサイドに泣いた場面くらいで、今一歩セレッソゴールに迫り切れない90分でした。

川崎は離脱していた登里享平がスタメンで復帰、小林悠もベンチに入り、急遽呼び戻した田邉秀斗が左センターバックに起用されるという明るい材料の多い人選になりました。

その一方でこれまでレギュラーとしてプレーしていた佐々木旭、脇坂泰斗がベンチにもおらず、まだまだ台所事情への不安が拭えません。

システムは4-3-3にも見える時間がありましたが、橘田健人がアンカーのジョアン・シミッチを助けるポジションに立つ場面が目立ち、山根視来が中央に立つことはあまり多くありませんでした。

川崎は序盤から積極性を前面に出し、セカンドボールを多く拾ってセレッソ陣内でゲームを進めます。ただ、サイドからの家長昭博のクロスはマテイ・ヨニッチを中心とした相手DFに跳ね返されてばかりで、それ以外ではボックスの外からのシュートが多くなりました。

ホームチームがもう一つ深いところまで攻撃できずにいると、逆に山中亮輔の正確なクロスからセレッソにシュートを複数回打たれます。幸いにも枠を捉えられずに終わり、肝を冷やすピンチには至りません。

後半は山田新、チャナティップ・ソングラシン、マルシーニョのいずれかがキム・ジンヒョンまでプレスをかけるようになり、強度を維持して点を奪いにいきます。

しかし山田のプレッシャーを前にキム・ジンヒョンが蹴ったロングボールが、田邉のミスもあって毎熊晟矢に通り、最大のピンチを迎えたシーンがありました。ここは頼れる守護神チョン・ソンリョンが体を張って凌ぎます。

この日は脇坂不在の影響もあってか、複数人が関わって攻略する機会が少なく、波状攻撃は何度かできても相手を崩し切れません。また山田は中盤に下りたり、サイドに流れたりして、迫力を持って攻めたい時に中央にいないケースがありました。

問題解決のため川崎ベンチが動いたのは残り15分を切ってからで、宮代大聖と小林が同時に送り込まれます。FWを増やした4-4-2への変更です。

その後さらにフレッシュな瀬川祐輔をマルシーニョに代え、前線に勢いを加えました。左サイドを任された瀬川は、期待に応えるべくボールを前に運び、時にスプリントでパスを受ける動きを見せます。

それでも1点勝負のゲームで得点には至らず、スコアレスでタイムアップ。アルビレックス新潟戦に続いて2試合連続の無得点に終わります。

とはいえ香川真司や途中投入のレオ・セアラに大きな仕事をさせず、今シーズン初の無失点で終えたことは、センターバックのやりくりに苦労している現状を踏まえればプラスに考えられるでしょう。

次の週末はルヴァンカップがあるものの、リーグ戦はインターナショナルマッチウィークで中断となります。ここで今後の勝ち点3獲得に向けて全員のコンディション含め立て直しを図りたいところです。


新潟に乗り込んだ川崎は、橘田健人、脇坂泰斗、大島僚太の3人が中盤で比較的余裕を持ってボールをキープすることができ、彼らがしきりに立つライン間へのパスがよく通る滑り出しでした。

決して悪くない入りをしただけに、19分の大島の負傷交代はチームにとって大きな痛手でした。不運にもいい流れを絶たれた川崎は、その3分後に山根視来が自陣で渡邊泰基にボールを奪われ、最後は伊藤涼太郎にゴールを許してしまいます。今シーズン、ここまですべての試合で先制を許した格好です。

加えて、まるで呪われているかのように山村和也までも前半のうちに負傷し、松長根悠仁がハーフタイム明けに左サイドバックとして出番を得ます。これで同ポジションを務めていた佐々木旭がセンターバックに移りました。

アクシデントで2人代わっても吹っ切って戦う川崎は、右サイドで家長昭博、宮代大聖と絡んだ山根がクロスと見せかけながらシュートを放ち、脇坂はドリブルで中央を縫ってマルシーニョにつなげて新潟ゴールに迫ります。

攻撃への意識を強めた一方で、中盤の激しいプレスがはまらず、相手に流れるようなカウンターを許す場面が目立ち始めました。ただ、チョン・ソンリョンの好セーブもあり、かろうじて最小失点にとどめます。

攻めたいとはいえ守備の安定も必要となる中、鬼木達監督は62分のジョアン・シミッチと山田新投入と同時に4-2-3-1にシステムを変更。ミドルゾーンに厚みを加えます。

またシミッチの存在で高さが増したため、家長のコーナーキックをシミッチが競ってマルシーニョのシュートに結び付けるチャンスが生まれました。

その後、マルシーニョに変わって瀬川祐輔がトップとして入った際には松長根の立ち位置を変え、遠野大弥を左ウイングバックにした3-4-1-2に変えます。残りは15分を切っていましたが、死力を尽くして同点に追い付こうとしました。

しばらくして遠野と瀬川の立ち位置を変えた点は違うものの、システム変更の流れは前節と同じでした。それでもこの日は無得点に終わり、新潟にJ1復帰後初勝利を献上することになりました。

ジェジエウもブラジルに帰国せざるを得ないほどの長期離脱となっており、負傷者のあまりの多さに最終ラインの危機的状況はしばらく回避できません。後方が安定しない中でも我慢強い戦いをして、勝ち点をもぎ取るほかありません。



早い時間のキックオフとなったこのゲーム、開始10分は特に湘南の勢いに圧倒されました。相手陣内までボールを運ぶことがままならず、ビルドアップ時にはチョン・ソンリョンのパスを奪われてピンチを招くなどしましたが、幸い早い時間帯の失点は喫しないで済みました。

システムは違いますが、湘南が鹿島アントラーズと同様に中央を固めた守備を敷くこともあり、山根視来を橘田健人のそばに立たせる形での打開は難しく、ゴールキックはつながずにほとんどをチョン・ソンリョンからのロングキックに変更します。

前半は絶好機の数で上回られたもののスコアレスで折り返し、後半頭からは脇坂泰斗に代えて瀬川祐輔を投入して家長昭博をトップ下にした4-2-3-1に変えます。

危機はその後起こります。コーナーキックにしまいとジェジエウが持ち場を離れてゴールライン手前でクリアした際に負傷。チームのためによかれと思ってしたプレーが大きなダメージになってしまいます。

ジェジエウはプレー続行を希望するも現実的には厳しく、この日唯一のDF登録だったルーキーの松長根悠仁と交代することになりました。松長根は左サイドバックに入り、佐々木旭がスライドして左センターバックを務めます。

松長根はデビュー戦とは思えない堂々としたプレーを披露しますが、開幕戦レギュラーのセンターバックがいなくなった64分、永木亮太のパスが川崎ゴール前を横断。ボックスの中で山根が平岡大陽、タリク・エルユヌシと1対2の局面をつくられ、平岡に鮮やかなゴールを決められました。

8分後、鬼木達監督が決断します。遠野大弥、山田新を送り込むと同時に立ち位置を変えます。佐々木と大南拓磨の位置を入れ替えて3バックとし、瀬川を山田新のそば、中央に立たせます。

真ん中に厚みが生まれ、81分の同点弾も中央の攻略によって生まれました。最終的には相手に当たったこぼれ球を瀬川が冷静に流し込みます。川崎加入後初ゴールが貴重な同点ゴールになりました。

ただ、終盤の山田新のシュートは肩に当たって決まらず、前節のように逆転のゴールを奪うまでには至りません。ドローでの決着となり、またしても湘南に勝つことができませんでした。退場者は出さなかったとはいえ、センターバックの主力不在に引き続き悩まされる状況です。




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