22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2022年05月

リーグ戦中断前、連戦最後のゲームでしたが、久しくなかった連敗を喫した上に3試合連続となる無得点に終わりました。

川崎は走り負けない京都を相手に苦労させられました。立ち上がりには川崎のプレッシャーを走力で押し切られ、武田将平のミドルシュートまでつなげられます。また、相手の守備の強度も高く、ショートパスを近距離でテンポよく回す余裕は与えられません。

それでも出場停止明けの谷口彰悟がディフェンス面での貢献のみならず、鋭いパスを差し込んだり、橘田健人がサイドの山根視来に展開すると見せかけて小林悠につけるボールを出したりします。

加えて白井康介のバックパスのミスを逃さずに狙ったレアンドロ・ダミアンがシュートを放つシーンもありましたが、股間を警戒した上福元直人に防がれました。

攻撃時はボックスに3人、4人と入りながらスコアレスで折り返したハーフタイム明け、鬼木達監督は切り札の一人であるマルシーニョを投入。左サイドでかき回す役割を期待されます。

後半もチャンスはつくれていました。京都の最終ラインとGKの間を狙った絶妙なラストパスが両サイドから供給されましたが、フィニッシュが合わずに得点には至りません。

逆に60分、小林が深い位置で荻原拓也の突破を許し、入れたクロスを蹴り出そうとした佐々木旭がオウンゴールを献上してしまいます。

なお、佐々木はその後、ピーター・ウタカの決定機を防ぐ働きを見せ、追加点は許しませんでした。

失点直後にベンチが再び動き、瀬古樹ともう一人の切り札、家長昭博を送り込みます。70分には知念慶もピッチに入り、4-4-2にシステムを変えます。

さらにマルシーニョを右、家長を左に変えたり、最後に投入された山村和也を一旦はセンターバックに起用した後で前線に上げたりしますが、73分から井上黎生人を入れて3バックにした京都相手にその形が結果に結び付きません。

アディショナルタイムには瀬古のパスを小林が受け、知念との連携でシュートまで到達するも、ボールは無情にもポストの左に転がってしまいます。また、知念のレアンドロ・ダミアンばりのオーバーヘッドへのチャレンジは、危険なプレーとみなされて不発に終わります。

結局、持ち味だった破壊力の片鱗さえ見せられぬまま、タイムアップを迎えました。リーグ戦は約3週間の中断期間になりますので、谷口、山根が不在の期間でもう一度立て直す必要が生まれました。


1981年5月27日、パルク・デ・プランスで行われたチャンピオンズカップ決勝は、リバプールが1-0でマドリーを下して幕を閉じました。それから41年が経ち、同じパリで、今度はスタッド・ドゥ・フランスを舞台にして両者がぶつかりました。

攻守にわたってアグレッシブさが売りのリバプールですが、この日は慎重な入りをしました。最終ラインのビルドアップにはカリム・ベンゼマらが規制をかけるものの、その後は構えるマドリーに対して、リバプールはミドルゾーンではゆったりとゲームを進めます。

守備においてはマドリーへの警戒心が非常に強く、正確なロングパスの供給源であるトニ・クロースには余裕を与えない守備を続けました。

15分過ぎにアタッキングサードでギアを上げ、モハメド・サラー、サディオ・マネが決定的なシュートを放つも、ティボー・クルトワに阻まれてしまいます。

ともに手堅いゲームが動いたのは、前半終了間際のダビド・アラバのロングボールがきっかけでした。このときはリバプールのゴール前でスクランブルが起こり、ベンゼマがネットを揺らしたものの、ベンゼマがオフサイドポジションにいたため、VARによって得点は認められません。

そこからハーフタイムを挟み、両者にゴールをうかがう積極性が出てきます。

59分、ルカ・モドリッチを止めにアンディ・ロバートソンが前に出て空いたスペースをフェデリコ・バルベルデに使われます。フィルジル・ファン・ダイクがサイドに飛び出すも、バルベルデのラストパスが繰り出されました。最後はトレント・アレクサンダー=アーノルドの背後にいたビニシウス・ジュニオールが冷静に合わせてマドリーが先制します。

先制後は攻めるリバプール、守るマドリーの構図がより明確になりました。エル・ブランコはクルトワの好セーブに応えるべく、フィールドプレーヤー達も体を張ってブロックします。

65分にディオゴ・ジョタが入った際には劇的な変化は生まれませんでしたが、ロベルト・フィルミーノが入った77分以降は明らかにリバプールの攻撃が活性化しました。

しかし、リードしているマドリーは80分以降にプレースピードを落として試合を締めにかかります。カルロ・アンチェロッティ監督は86分にようやく動いて、逃げ切りのための交代カードを切り始めました。

追うリバプールはファン・ダイクを前線に上げ、カウンターを食らうリスクを承知で攻めました。しかし最後までレッズが誇る両サイドバックが深い位置をとる場面はほとんどなく、チャンスはことごとくクルトワに阻まれました。

プレミアリーグ最終節まで優勝の可能性を残し、シーズン終盤まで四冠を目指せたリバプールはカラバオカップ、FAカップの二冠に終わります。シーズンを通してタフな戦いが続いたがゆえの疲労もあったかもしれません。

マドリーは勝負強さを見せて14回目の優勝を果たしました。ノックアウトステージではパリ・サンジェルマン、チェルシー、マンチェスター・シティと今世紀に入って強大な力をつけてきた勢力を劇的な形でなぎ倒し、ファイナルは自分達のペースに相手を引き込んでの勝利でした。

エル・ブランコは41年前のファイナルを最後に、以降の決勝では一度も負けていません。チャンピオンズリーグに名称を変えてからは今回を含めて8回、ビッグイヤーを掲げています。


谷口彰悟が出場停止で不在となった一戦は、今シーズン3回目となる4失点を喫し、なおかつ2試合連続無得点に終わりました。

5-3-2で構える湘南相手に川崎はサイドを使いつつ、背後へのボールも交えながら攻めました。レアンドロ・ダミアンも時折サイドに流れてプレーします。

一方で前半から湘南のスピーディーでダイナミックな攻撃にミドルゾーンで翻弄されるシーンがたびたび見られました。それでも前半はチョン・ソンリョンの好セーブもあり、スコアレスで終えます。

50分、杉岡大暉のコーナーキックを町野修斗に合わせられて先制を許します。町野には佐々木旭がついていましたが抑え切れませんでした。

4分後、今度は山根視来が上がったサイドを突かれ、山村和也が空いたスペースにつり出されると、最後はフリーの池田昌生に絶妙なコースに放たれたヘッドを決められました。

ビハインドが2点になったところで鬼木達監督が動きます。遠野大弥と佐々木を下げ、ジョアン・シミッチと瀬古樹を入れました。瀬古はビルドアップでミスの目立った佐々木の担当していた左サイドバックを任されます。

しかし、川崎はミドルゾーンでのボールロストをきっかけにカウンターを食らい、さらに2失点。特に3失点目は車屋紳太郎が上がっていたこともあり、後ろの枚数が足りずに防ぎようのない失点でした。残り時間は30分を切っています。

ベンチは66分で交代枠を使い切り、システムを3-4-3に変更。瀬古を右、宮城天を左のウイングバックに配し、小林悠、レアンドロ・ダミアン、知念慶を同時に起用します。幅を取りつつ中央で勝負する姿勢を打ち出しました。

前線にターゲットが増えたこと、そしてリスク回避で湘南のプレッシャーを嫌ったことから中盤を省略したロングボールが主体となります。慣れない攻め方というのもあってか、可能性は低く、単調になりました。

それでも宮城がサイドからシュートを放ったり、宮城のパスを受けた小林が反転してシュートを打ったりしましたが、いずれも谷晃生に防がれてしまいます。

結局、反撃のゴールすら奪えぬまま、ホームで大敗を喫しました。これで得失点差により2位に転落しました。


5人目の交代選手としてユニフォーム姿の脇坂泰斗が準備をしているところでした。

一旦はイエローカードが提示された谷口彰悟でしたが、VARの介入があり、オンフィールドレビューの末、レッドカードに変わりました。2019年のルヴァンカップ決勝と同じ荒木友輔主審による判定です。

当該場面は川崎のゴールまで距離はありましたが、垣田裕暉が倒れた横で鳥栖の選手がフリーで2人抜け出しており、決定的なチャンスを阻止したとみなされたようです。

残り10分少々での数的不利となり、センターバックがいなくなったため、脇坂の投入は見送られ山村和也が送り込まれました。それでも川崎は攻めました。

終盤に3対2のカウンター局面をつくり、遠野大弥がドリブルで運んでボックスの手前で田代雅也に倒されます。いい位置でのフリーキック獲得です。

しかし、ジョアン・シミッチのキックは、壁の前に座った橘田健人に当たって枠から外れていきました。

スコアレスに終わった試合全体を通しては、真っ向から向かってくる鳥栖の当たりの激しさに手を焼き続けました。

また、大外に張った飯野七聖と岩崎悠人の両ウイングバックに何度もサイドを突かれ、そこに最終ラインのファン・ソッコ、ジエゴも時折絡んできました。

川崎は人や並びを変えて打開を図ります。30分頃からは小塚和季を左に開かせ、小林悠と知念慶を中央に配した4-4-2に変更。ハーフタイム明けには小塚を下げてマルシーニョを入れ、知念を右に置いた4-2-3-1にします。

62分に家長昭博と知念が下がって橘田とレアンドロ・ダミアンが入った際には形を変えず、谷口退場後は4-4-1で乗り切りました。

盛んに変化を加えたものの、決定機はほとんどなく、ゴールにも結び付きません。朴一圭が慌てるシーンは、後半開始早々に左サイドに流れた山根視来のシュートを捕球し損ねて小林が詰めたところくらいでした。

それでも同時刻に行われた試合で鹿島アントラーズが浦和レッズ相手に引き分けたため、首位の座は譲らずに済みました。


アビスパ福岡戦から中3日で迎えたアウェイゲームで、鬼木達監督はスタメンのみならずベンチメンバーもそのときと同じ18人を選びました。

再びブロックを敷いた相手との戦いとなりましたが、福岡戦とは違って序盤からシュートは打てていました。惜しい場面もあり、レアンドロ・ダミアンのシュートはクロスバーを叩き、脇坂泰斗のシュートも相手に阻まれます。

また、ノエビアスタジアム神戸のピッチに足を滑らせる選手が続出するという、ここ数回の対戦で起こっていたトラブルにも見舞われることなく、普段通りのプレーを披露します。

ただ、アンドレス・イニエスタの味方を絡めた突破には翻弄され、ボールを狩り取る能力に長けた橘田健人も止められません。前半はスコアレスで終わります。

後半は立ち上がりにアクシデントとミスによってピンチを迎えました。橘田の触ったボールが汰木康也の前にこぼれてシュートを打たれたり、谷口彰悟の浮き球のパスが汰木にカットされてカウンターを食らったりします。いずれもシュートが枠を外れて難を逃れました。

悪い流れを変えるべく、ベンチが動いたのは63分。遠野大弥とレアンドロ・ダミアンを下げて、ジョアン・シミッチと知念慶を投入。4-2-3-1にシステムを変えます。

本格的に試合の流れに変化が起こったのは、イニエスタが下がった73分以降でした。川崎がボールを失った後の脅威が弱まり、精神的な余裕が生まれます。落ち着いてボールを動かせるようになりました。

その後、小林悠が入り、家長昭博を右サイドに残した4-4-2に形を変えて前線を厚くします。

それでも守備を固める神戸相手にシュートコースが見つけられず、あと一歩が遠い状況が続きました。小林悠を右、家長をトップ下に据えた4-2-3-1に変えても変わりません。

時間が刻一刻とすぎる中、佐々木旭のクロスを受けた山根視来が強引にシュートを打ってコーナーキックを獲得。最後のセットプレーを小塚和季が蹴り、谷口が飛び込んでゴールネットを揺さぶります。土壇場で待望の先制点です。

最後まで粘り強く、あきらめずに戦い抜いた姿勢が実りました。劇的勝利を収めて首位に浮上です。


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