22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2021年06月

グループステージが約2週間で6試合を戦う短期決戦であることを考えると、どんなアクシデントが起こるかはわからないため、チームの総力を結集して臨まなければ乗り切れません。それだけに谷口彰悟をセンターバックではなくアンカーに起用しつつ、先発を6人入れ替えたこの試合の勝利は非常に大きいと言えます。

大勝を呼び込んだのは早い時間の先制点でした。7分、旗手怜央のサイドチェンジから遠野大弥、長谷川竜也と渡ってゴールネットを揺さぶりました。直後には橘田健人が追加点を奪います。

得点を重ねることで試合を難しくすることなく進めることができました。前半だけで3点にリードを広げ、ハーフタイム明けも59分までに4ゴールを挙げます。左膝の負傷で退いた小林悠に代わって最前線を任された知念慶は、PKと流れの中からの両方で得点を記録しました。

残り30分間でさらなる得点は取れなかったものの、5点リードした段階で鬼木達監督が投入したイサカ・ゼイン、神谷凱士の両サイドバックがまずまずの働きを見せるなど、チームの総合力強化につながりました。また負傷明けの大島僚太にも15分程度のプレータイムが与えられました。

余裕のある試合運びができ、センターバックのジェジエウ、そして家長昭博、レアンドロ・ダミアン、三笘薫の3トップは休養が与えられる結果となりました。

この試合の前に大邱FCがユナイテッド・シティFCに同じく7-0で勝利したことからも、グループ突破の鍵になるのは第5節の大邱との直接対決になりそうですが、そこに向かってチーム状態をどう持っていくかが重要になります。その意味でも今日のメンバーによる勝利は価値のあるものでした。


対戦相手、コンディション、判定基準など、様々なものが日常とは異なるアジアの舞台。国内では昨シーズンから強さを誇る川崎ですが、2シーズンぶりに戦うACLでは無理をしない戦いぶりで勝利を手繰り寄せました。

開始8分にファン・スンミンが得点を決め、リードしたことで強固なブロックを敷く大邱。通常ならば引かれれば遠慮なくボールを動かして崩しにかかる川崎も、アタッキングサードでの大胆な攻撃は自重します。ジェジエウ、谷口彰悟がミドルゾーンの高い位置まで持ち上がれる場面は多いものの、相手の陣形をスムーズに壊すことはできません。

さらにジェジエウのファウルでPKを献上するピンチもあり、エジガルと対峙したチョン・ソンリョンのファインセーブがなければ傷口は広がる一方でした。

苦境を救ったのはチームのトップスコアラー、レアンドロ・ダミアンでした。40分、パク・ビョンヒョンを背負いながらジェジエウの浮き球のパスを受ける際にボールを浮かせてオーバーヘッドで同点にします。

後半立ち上がりに勝ち越された直後にも、三笘薫が深くまで進入してアウトサイドで出したパスのこぼれ球を押し込み再び追い付いてみせました。

その4分後には前半から手を変え品を変え工夫を凝らしていたコーナーキックから得点を奪います。脇坂泰斗の低いキックが流れたところをジョアン・シミッチが決めました。

川崎優勢となったことで大邱は攻めに出ていかなければならなくなり、前半のようなブロックを敷いた戦い方をしなくなります。こうなれば前方のスペースを活用したカウンターを繰り出して得点を重ねたいところですが、ほとんど発動させることができません。

それでも好材料はあり、リードしてから残り30分を切ったところで大島僚太がピッチに送り込まれて復帰を果たし、終盤にはこれまた離脱組だった山村和也がディフェンス強化のために投入されました。そして逃げ切りに成功します。

鬼木達監督は交代枠を3しか使っておらず、川崎のリズムで進めたゲームではないものの、とにもかくにも難しい初戦を勝ち切ったことをポジティブにとらえたいところです。


日本代表とU-24日本代表に主力5人が招集されて不在の中、チームの総力を結集して一時は開催が危ぶまれた試合を戦い抜きました。

立ち上がりは横浜FCが積極的に前からプレスをかけてきましたが、5分もすると川崎が後方で余裕をもってボールキープできるようになります。相手の最終ラインが高いので、その背後を狙うなどしてチャンスをうかがいました。

長谷川竜也のゴールがオフサイドで取り消されたり、南雄太の逆を突いた脇坂泰斗のフリーキックが枠を外れたりしながら少しずつ横浜FCゴールに迫ります。

39分、ジェジエウが相手陣内まで持ち上がったことで先制点につながります。パスを受けた家長昭博がクロスを入れると伊野波雅彦がクリア。しかしそのボールが古宿理久に当たってこぼれます。そこに素早く反応した小林悠がゴールへとねじ込みました。ラッキーな形ではありますが、前半のうちにリードを奪います。

先制したことで横浜FCのラインが下がり、加えて自陣でのミスも見られるようになり、川崎がバイタルエリアでボールを握る時間が長くなって心理面でも優位に立ったはずでした。ところがハーフタイム明けにリセットされてしまいます。

ボックスの中まで進入されてピンチを迎えるシーンこそほとんどないものの、次第にホームチームが主導権を握る時間が増え始めました。山根視来に代わって右サイドバックを務め、危なげないプレーに終始していたはずのイサカ・ゼインが軽率なアウトサイドキックでミスをする場面もありました。

それでも67分、脇坂がアウトサイドキックでスペースに絶妙なボールを入れると、長谷川が受けてファーサイドの小林にラストパスを送ります。小林はジャンプしながらボールに足を合わせて追加点を奪いました。

以降はベンチに控えているメンバーをピッチに送り込む流れとなり、任されたのはアンカーではないものの塚川孝輝が痛いミスをしたベガルタ仙台戦以来の出場となり、ほんのわずかな時間とはいえ神谷凱士もJ1デビューを果たしました。

次の清水エスパルス戦まで1ヵ月半、ウズベキスタンで集中開催となるAFCチャンピオンズリーグ出場のためリーグ戦はしばらく間が空きますが、いい形で終えることができました。


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