22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2021年04月

三笘薫が大迫敬介に詰め寄ると、大迫は大きくボールを蹴り出しました。前半の川崎であれば、そのロングボールを回収してあらためて攻撃に転ずるような場面でした。

ところがボールを収めたのはジュニオール・サントス。同時に回収を狙ったジェジエウがドリブルで引き剥がされ、ボックス内で谷口彰悟がタックルをするも難なく外され、シュートを打たれます。

幸運にもポストに当たったボールでしたが、拾ったのは森島司でした。角度のないところから放たれたクロス気味のシュートは田中碧に当たってゴールに吸い込まれていきました。

残りはまだ25分ありましたが、この失点が大きく響いて川崎は勝ち点2を取りこぼします。

前半の川崎はチームの充実ぶりがうかがえる戦いをしていました。川崎と言えばネガティブトランジションのすさまじさが挙げられ、攻撃から守備への素早い切り替えによってここまでゴールを重ねてきました。

この日はさらにポジティブトランジションもスムーズに行われており、安易にクリアするのではなく、たびたび自陣から淀みなくボールをつないでいきました。それだけピッチ全体でゲームを支配した45分でした。

38分の家長昭博の先制点も、広島がボールキープを続けるターンであったはずなのに、川崎が回収してからゴールへとつなげていきます。競り合いのこぼれ球を田中が拾って逆襲に転じたのです。チームの連携のよさが凝縮されたフィニッシュは、レアンドロ・ダミアンが家長にシュートを譲って生まれました。

惜しむらくはそれだけ圧倒した45分間にこの1点しか取れなかったことです。ベンチ外が続く選手のコンディションを推測すると、復帰したチョン・ソンリョンを含めておそらく現状ベストの11人を起用したと思われるものの、シュート数では広島の0本に対して完全に圧倒していながら得点を重ねられませんでした。

同点に追い付かれてから鬼木達監督は交代選手を次々と投入し、中盤と前線の活性化を図ります。実際にペナルティエリアの中への進入は果たせていましたが、広島の守りを崩し切れずにタイムアップを迎えます。

川崎にとっては幸いなことに、名古屋グランパスがサガン鳥栖にホームで敗れたため、勝ち点差を6に広げることができました。少なくとも唯一の無敗チームとして首位の座にとどまったまま、名古屋との決戦に臨めます。


FC東京戦からスタメンを5人入れ替え、ジョアン・シミッチがベンチ外になったアンカーには田中碧を置いて臨んだ一戦。前半のラストプレーでエミル・サロモンソンの素晴らしいフリーキックによって同点に追い付かれたあと、雷雨によって20分ほどハーフタイムが延びましたが、アクシデントにも左右されることなく勝利を収めました。

長谷川竜也と小林悠もチャンスをいくつかつくりましたが、この試合で結果を出したのは、昨シーズン武者修行をして戻ってきた遠野大弥と知念慶でした。遠野は思い切りよく右足を振り抜いて、知念はボールのコースを見極めて得点を奪いました。

一方、田中はインサイドハーフで見せているダイナミックさを失わないプレーでチームを支え、脇坂泰斗はボール付近に頻繁に顔を出してつなぎ役を果たします。

先発メンバーを70分以上引っ張ってから、鬼木達監督はメンバー変更を行います。まず両ウイングを家長昭博、三笘薫に代え、79分には大事を取って登里享平を下げてジェジエウ、そして遠野に代えて塚川孝輝を入れます。これで田中がアンカーからインサイドハーフにポジションを上げました。

終盤でのジェジエウの投入は、最終ラインに強さと安定感が増します。背番号4は最終ラインからのロングボールでパワープレーを仕掛けてきた福岡を跳ね返す役割を全うしました。

82分にはレアンドロ・ダミアンまでもがピッチに入り、後半アディショナルタイムに山根視来の得点につながるラストパスを出します。残り時間が少なくなってからの川崎はキープすると見せかけて福岡ゴールに向かって攻める場面をつくっており、ここも山根が一度はドリブルを緩めてサイドに流れる素振りを見せました。

終わってみれば現時点でのファーストチョイスと言えるメンバーの多くがピッチに揃っていました。現状、特例で5人まで交代できるレギュレーションを最大限活用しているからこそ、こうした盤石の戦いができています。

ともあれ、無敗を継続したまま連戦最後のサンフレッチェ広島戦を迎えることとなります。


山根視来がボールを奪った直後に倒されてフリーキックを獲得。ジョアン・シミッチがクイックリスタートしたボールをレアンドロ・ダミアンがフリック。背後に抜け出した三笘薫がフィニッシュ。一連の切り替えの早さは見事でした。ただし、判定は三笘のオフサイド。前半の飲水タイム前に試合を決めるような3点リードとはなりませんでした。

開始17分までの家長昭博の2ゴールもそうでしたが、川崎は終始、東京のビルドアップ時であっても自分達のターンになったときのことを考え、貪欲にプレーしていました。

だからこそ永井謙佑のスピードを生かした攻撃で、アダイウトンに1点差に詰め寄られる得点を決められても、すぐさま再度2点リードにすることができたのです。

このときは丹野研太がボールをキャッチした位置が、スタンドから見て微妙だったところから始まります。会場の動揺が影響してか、東京の選手は動きを緩めかけますが、川崎はそのまま攻撃を進めました。

左から右へボールを動かし、家長と絡んで山根が右サイドを突破して入れたクロスは、一旦は中村拓海が防いだものの、トラップしたボールが浮いたところを三笘がさらってシュートまで持っていきました。

さらに75分には脇坂泰斗のフリーキックを谷口彰悟が折り返し、この日2アシストを記録していたレアンドロ・ダミアンがゴール。コーナーキックのほとんどが児玉剛に難なくキャッチされていた展開でしたが、セットプレーからも1点をもぎ取ることができました。これで3トップ揃い踏みです。

ここでの1点が大きく、84分の高萩洋次郎の絶妙なアシストによる失点も大勢に影響はありませんでした。最後は3トップをそっくり交代させて試合をクローズします。こうして今回の多摩川クラシコも勝利で終えることができました。


試合を決める分岐点になったのは、57分の田代雅也の退場でした。田中碧からの浮き球を処理して走るレアンドロ・ダミアンを強引に止めたことでレッドカードを提示されました。これにより数的有利となった川崎は得点を奪い、勝ち点3を獲得します。

前半はレアンドロ・ダミアン、小林悠、田中が絡んでのビッグチャンスが、ゴールライン手前で松岡大起にブロックされるなど、鳥栖の守りに手を焼きました。それだけに相手が1枚少なくなったことが大きく影響しました。

61分に金明輝監督が3人同時交代を行い、後方に明確に重心を置いた5-3-1にしたことで、鳥栖は中盤の3人ではピッチの横幅をフォローしきれず、川崎はミドルゾーンで容易にボールを動かせるようになります。

そして鳥栖が動いた直後にインサイドハーフに入った遠野大弥が貴重な決勝点を決めます。ジョアン・シミッチのパスをレアンドロ・ダミアンがフリックしたボールに対してのエドゥアルドと飯野七聖のコミュニケーションミスがあったシーンではありますが、遠野が最後までボールを見て、あきらめなかったことでゴールは生まれました。

失点後の鳥栖はそれでも勝ち点を奪うべく中盤のバランスの悪さを改善して、前線に人数をかける形にシフトします。ただ、スコアの上でも優位に立った川崎は無理に攻めることなく、落ち着いて時計の針を進めました。

80分に登場した家長昭博に訪れた二度の決定機は朴一圭に阻まれ、2点目こそ奪えませんでしたが見事に逃げ切りに成功。川崎はJ1通算300勝を達成しました。

200勝を達成したのが5年前。その頃はまだトップカテゴリーでのタイトルの味を知りませんでした。そこから翌年のリーグ制覇を経て、今に至るまで100の勝ち星を積み重ねてきました。

301勝目をかけた次戦は、激戦必至のアウェイでの多摩川クラシコです。


昼間の試合で2位の名古屋グランパスがFC東京と引き分けに終わり、1試合消化試合数の多い川崎としては勝ち点差を広げたいところでしたが、川崎対策を施してきた大分にきっちり勝利を収めました。

この試合で奮起したのは三笘薫です。U-24日本代表では持ち味を存分に発揮するには至らず、特に右サイドバックのエルナン・デラフエンテとの1対1に苦しみました。その経験が発奮材料となり、この日は得点への高い意欲を見せました。

先制点は脇坂泰斗のフリーキックのセカンドボールに素早く反応。冷静にボールをピッチに叩き付けてゴールネットに到達させました。これでセレッソ大阪戦以来6試合ぶりの得点を記録すると、66分には高い位置からのプレッシャーで小林裕紀からボールを奪い、レアンドロ・ダミアンに譲ることなくアウトサイドでゴールを決めます。

一方、登里享平の復帰によってインサイドハーフでの先発となった旗手怜央は、左サイドバックで積み重ねた実戦経験が活き、前線で積極的に攻撃に関与します。また登里の上がった後のスペースを埋める動きも以前にも増して的確でした。

勝利を手繰り寄せたのは若手の働きだけではありません。例によって激しいプレスをかけるレアンドロ・ダミアンは相手GKのみならず、セントラルMFの下田北斗からもボールを奪いに走りました。昨シーズンまでのチームメイトはビルドアップ時に絶妙なポジションをとっていましたが、その動きを鈍らせました。

また、守護神のチョン・ソンリョン不在の中、丹野研太を最後尾に配し、その前の山根視来、ジェジエウ、谷口彰悟、登里の安定したプレーで失点を許しません。後半、ボックスを固めた際に少し下がった位置からシュートを狙われますが、危険を察知して体を張り、ピンチを防ぎます。

攻撃ではレンジの長いパスで局面を大きく変えるプレーはさほど見られませんでしたが、チームが一丸となって勝利のため、クリーンシートのために動き続けました。

今月半ばまで多摩川クラシコを含む5連戦となる中、まずは幸先いいリスタートを切りました。


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