22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2020年09月

連戦の一区切りとなるこの一戦は、チーム全員がグループの中でそれぞれの与えられた役割を果たし、戦況を読みながらメリハリをつけてタイムアップまで戦い抜きました。

広島がブロックをつくり、ハイプレスを仕掛けてこないと見るや、最終ラインでゆっくりと回して隙を伺います。そして人数をかけられているアタッキングサードでは一気にスピードを上げてゴールに迫りました。

先制点は右のハーフスペースをすばやいパス交換で打開。最後は田中碧がクロスと見せかけて、ニアを打ち抜くシュートを放ちました。膠着した状態が続きそうに見えた試合が動きます。

アンカーの守田英正が好調を維持しているため、この日の田中はインサイドハーフでの起用となりましたが、ボール奪取能力の高さ、危機的状況でのシュートブロックの的確さといった守備者としての働きも光りました。

飲水タイム後は多少我慢の時間が続いたものの、大島僚太、三笘薫を入れたハーフタイム明けはすぐさま勝負に出ます。

前半、車屋紳太郎がマッチアップで苦労していたハイネルに対し、三笘は1対1で翻弄。ボックスの中まで進入してレアンドロ・ダミアンの追加点をお膳立てします。

レアンドロ・ダミアンはこの1ゴールにとどまりましたが、相手陣内でのハイプレスや川崎にとって大切なボールを小気味よくつなぐプレーで、71分までチームに大きく貢献しました。

コーナーキックからの流れで生まれたチーム3点目となる山村和也のミドルは、三笘が相手DFを引きつけたことでシュートコースが生まれました。後半開始からわずか5分で2点奪取に成功します。

直後に城福浩監督が茶島雄介とエゼキエウを同時投入して、ビハインドを跳ね返しに出てきた際には、それを逆手にとって広島の陣形が整わないうちに齋藤学、田中と渡り、試合を決定づける4点目を奪います。

90分に浅野雄也にゴールを許したものの、その2分前に小林悠のPKでとどめを刺しており、大勢に影響はありませんでした。

チーム一丸となっての無駄のない戦いぶりで見事な快勝を成し遂げ、ようやくミッドウィークに試合のない1週間を送ります。


川崎にとっては敗色濃厚な試合でした。3バックで臨んだ神戸に対して、90分を通じてみれば2週間前と同じように、いやそれ以上にゲームを支配されていました。1点ビハインドで終盤を迎えるとプレスをかけるというより、相手を追い回しても追い付かない苦しい状態でした。

小林悠のPKで幸先よく先制した15分後、川崎はボールとは反対のサイドに立つ西大伍に一瞬自由を与えていました。そこへ渡部博文がチェンジサイドのパスを出したことで、一気に神戸のフェーズに変わります。あとは前線の藤本憲明、古橋亨梧がスピードを生かしてフィニッシュを成功させました。

これで息を吹き返した神戸に主導権を明け渡すこととなります。守備時は5バックになってピッチの横幅を埋められ、攻撃時は最終ラインに3枚残っていることで、西、酒井高徳が高い位置をとれるだけでなく、セルジ・サンペール、山口蛍も中盤の仕事に注力できていました。

また、飯倉大樹からの組み立ての際、川崎はプレッシャーをかけ、家長昭博か大島僚太がセルジ・サンペールをケアしてパスコースをふさいでも、この日の神戸は飯倉がロングキックを多用して回避されてしまいます。

思うようにディフェンスがはまらない中、再び西が起点となってゴールが生まれます。このときは登里享平がすばやく寄せていますが、セルジ・サンペールの散らしのパスを受けた西はワンタッチでボールをさばき、サイドに流れた山口がダイレクトでクロスを入れて藤本が合わせました。

突き放された川崎は逆転弾を食らう直前に入った三笘薫が、局面打開を図ってドリブルを仕掛けます。そして相手に囲まれても臆することなく冷静にプレーし続けました。ただ、フィニッシュがうまくいかずに得点には結び付きません。

時間の経過とともに両チームとも間延びしだし、神戸がボールを大きく動かしやすくなります。自分達のペースに持ち込めないホームチームは、神戸の陣形が整っていない段階でのカウンターに活路を見出そうとしました。

それがレアンドロ・ダミアンのPK獲得、さらには宮代大聖の値千金の逆転弾につながったのです。

宮代の得点シーンは、レアンドロ・ダミアンが中盤でつぶれながらボールを前に生かしたことで、3対2の局面ができて生まれます。ダンクレーはボールホルダーの脇坂泰斗、西はファーに流れようとする動きを見せた三笘に意識を向けたため、わずかに宮代に余裕ができていました。脇坂のパスを受けた背番号20は、迷わずゴールに蹴り込みます。

その後は菊池流帆が前線に上がり、ダンクレーも持ち上がってきたために押し込まれますが、最後の最後まで集中を切らさずに守り切りました。勝ち点獲得さえ怪しかった、困難なゲームをチーム全体で我慢強く戦って勝利で終えたのです。


複数のポジションを任せられる車屋紳太郎と守田英正を先発起用したのは、守備的な部分での貢献を期待してのものと思われましたが、先制点となる失点はその2人のいるエリアを攻略されました。

車屋が出ていったために空いた川崎の左サイドからマイナスのクロスを入れられ、そのボールを守田が十分に触り切れずにいると、マルコス・ジュニオールにコースを突いたシュートを打たれてしまいます。

失点後、飲水タイムまでは横浜FMに完全に主導権を握られます。厳しいプレッシャーにさらされ、普段通りのリズムでボールを回せず、逆に守備時には相手の速いテンポのパス回しに翻弄されました。

この試合、攻撃面で頼りにされていたのは三笘薫でした。大外で構えてボールを受け、幾度となくドリブルで仕掛けようとします。ただ、対峙する小池龍太との1対1を制することができません。

33分の三笘の同点弾は、小池が脇坂泰斗のパス出しをつぶしに寄せていたため、チアゴ・マルチンスが戻って対応しに来ました。背番号18は冷静にチアゴ・マルチンスの股間を狙ってシュートを放ちます。

追い付いたことで川崎は平常運転に戻ります。慌てる素振りはなく、また横浜FMも立ち上がりほどのハイペースではなくなり、アウェイチームは冷静な戦いを続けました。

ハーフタイム明けに鬼木達監督は、旗手怜央と小林悠を投入。旗手を右ウイングに配し、そこにいた家長昭博を中盤に下げました。こうすることで3トップと家長によって横浜FMのビルドアップ阻害を図りました。実際、相手のミスを誘うことに成功します。

攻撃は自陣からテンポを速めて横浜FMの最終ラインの背後を突き、最後はGKとDFの間にボールを転がして2点を奪いました。後半開始からわずか5分間のできごとです。

早い段階での逆転成功が幸いし、その後は天候が味方しました。豪雨によりコンディションが悪化。ピッチの状態こそ保たれましたが、プレーしづらい状態になったのは間違いなく、両者ともそれまでほどのクオリティでのサッカーは難しくなりました。

そんな中で川崎は高い位置で人数をかけてスペースを消し、圧力をかけて奪うと、ピッチを広く使って相手選手のいないスペースにすかさずボールを出していきます。こうして横浜FMの選手を走らせて消耗させました。

三笘にハットトリックのチャンスが訪れたり、朴一圭があわやオウンゴールかという場面もありましたが、天候が悪化してからスコアは動きません。最終的にディフェンディングチャンピオンに内容でも圧倒しての逆転勝利となりました。


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