4-2-3-1を主体としていたシステムを4-3-3に変え、正式に戦力として加入した若手選手が新たな一歩を踏み出した川崎ですが、試合はスコアレスドローに終わりました。

立ち上がり、早目に先制してしまおうとする鳥栖の勢いを殺したあとは、家長昭博からのクロスを武器として使い、中央のレアンドロ・ダミアンを生かす攻撃でゴールに迫りました。

サイドからのクロス主体の攻めで相手を押し込んでから、持ち味である連動性の高さを生かした地上戦にシフトしたのは35分ごろからでした。基本の立ち位置は変わっても、中盤の3人のポジション移動はスムーズで、相手陣内深いところまでボールを運べました。

ただ前半のビッグチャンスは、高丘陽平のパスミスを逃さず狙った田中碧のミドルシュート1本にとどまります。

後半に入るとレアンドロ・ダミアンが少し下がってポストプレーをして、中央でボールを収める機会を増やすようになり、それによりカウンターの形をつくることもできました。

49分、家長のシュートのこぼれをレアンドロ・ダミアンが押し込むも、VARの介入でオフサイドポジションにいたことが明らかとなりゴールは認められません。

均衡を破りたいところで昨シーズン終盤はやや硬直化傾向にあった采配ですが、新戦力の加入によってそこは変わってきました。70分、両ウイングを下げて、旗手怜央、三笘薫が代わりにピッチに入ります。

得点につながるプレーを求められる中、特に三笘は積極果敢に仕掛けてアタッキングサードで躍動しました。若武者に引っ張られるようにチーム全体もゴールへの意欲を強めます。

小林悠も送り込まれ、攻撃性を高め、ペナルティエリア手前でのフリーキックも二度得られたものの、最後の最後までゴールネットを揺さぶることはできませんでした。

これがトレーニングマッチならばまずまずかもしれませんが、リーグ戦の1試合、しかもホームでの開幕戦である点を踏まえると、覇権奪回に向けて新機軸を導入したとはいえ、19本のシュートを打ったとはいえ、勝てない、勝ち切れないという昨シーズンに頻発した結果に終わってしまったと言えます。

フィニッシュワークの物足りなさゆえにいいスタートを切れなかった川崎。次の試合で流れをつかみたいところです。