22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2019年07月

後半、とりわけ後半12分の大島僚太の負傷交代以降、川崎の攻撃から彩りが失われ、その後の中村憲剛のリーグ戦復帰もありながら最後までゴールをこじ開けることはできませんでした。

前半キックオフ直後は金崎夢生のがむしゃらなプレスを筆頭に、鳥栖が積極的なディフェンスで応じてきました。それでもやはり時間の経過とともにわずかなスペースを見つけた川崎の選手たちによる鮮やかなパスワークが見られるようになります。

この日はショートパスよりも大島中心にミドルレンジの鋭いパスを繰り出す場面が多く、それにより少しずつ鳥栖の守備陣をはがしていきました。

ただ、ゴール前に迫ると鳥栖の最終ラインと中盤が距離を一気に狭めて圧縮。シュートを打つ余裕をなかなか与えてくれません。前半の決定機は家長昭博のパスに抜け出した脇坂泰斗のシュート1本だけでした。このとき脇坂の右に小林悠がいて、ボールを要求していましたが脇坂はすばやい動作でシュートを選択。高丘陽平に阻まれます。

これを最後に川崎は決定機をつくれません。小林悠にボールが集まり、果敢にゴールを、自身にとってはJ1通算100ゴール目を狙いにいくも高丘の正面をつくなど、惜しいと呼べるほどのチャンスにはなりませんでした。

大島が不在となってからの攻撃でも、さかんに前後にボールを出し入れするなど穴を見つける努力を続けてはいました。それでも困ったときや相手陣内にこれから攻め入ろうとする際に必ず左サイドバックの登里享平に預けるのがお決まりのパターンになっていました。そこを経由することがわかっている鳥栖は中央を固めて構えて守ります。

中央を一気に突破する役割を担うトップ下の中村は、4日前の天皇杯で公式戦のピッチに戻ってきたものの、まだ万全のコンディションではない模様で、いつもなら全力で行う守備時のプレスのかけ方も甘く、プレーに鋭さを欠いていました。

崩し方に変化が乏しい川崎は得点を奪うことができず、逆に終盤、原川力のコーナーキックからピンチを迎えます。金崎のシュートを登里がブロックし、ゴールに向かってこぼれたボールは小林悠がクリアして逃れることができました。

引き分けを避けるべくジェジエウを前線に上げたパワープレーも実らず、試合はスコアレスドローに終わります。13戦無敗で、シーズンを通してまだ1敗しかしていない川崎ですが、首位のFC東京との暫定の勝ち点差は7に広がりました。

この差を縮めるためには、次節の多摩川クラシコが非常に重要な一戦となります。


記憶に残る、印象的なゴールを叩き込んだのは神戸のダビド・ビジャでした。ただ、試合に勝ったのはホームの清水です。この結果によって両者の順位は入れ替わっています。

ゲームのカギを握るアンドレス・イニエスタはセンターハーフとしてプレーするも、マンマークではないものの対峙するヘナト・アウグストに監視されている時間が長く、巧みなボールコントロールでいなすシーンもありましたが、簡単には前方への良質なパスを供給できずにいました。

清水は高い位置での守備に固執することなく、神戸のビルドアップが進みだすと自陣でブロックを形成。神戸はやや手詰まりとなり、攻撃面でイニエスタと古橋亨梧、郷家友太との効果的な絡みが少なくなり、山口蛍は比較的守備に専念。ウェリントンがトップ下に下がる場面もあまりないことから、アタッキングサードへの勢いをもっての進入が難しくなっていました。

先制点は、守備にメリハリのあった清水の迫力あるカウンターから生まれます。

まずドウグラスがFC東京のディエゴ・オリヴェイラとはまた違ったタイプの力強いドリブルで突破。宮大樹が振り切られたあとの山口のタックルはファウルにもならず、それを見たダンクレーは北川航也のマークを捨てて止めに行きました。ドウグラスはぶつかられながら冷静にダンクレーの股間を通すパスを出し、フリーになった北川が得点を挙げます。

それでもわずか3分後、古橋がセンターサークル付近から浮き球のボールを入れ、反応したビジャはファン・ソッコをブロックし、やや流れたボールをダブルタッチで処理。一瞬のうちに右足で西部洋平をかわし、左足でシュートを打つ芸当を披露しました。

高いテクニックで同点に追い付いた神戸でしたが、清水との関係は試合を通じて劇的には変わりません。機を見てイニエスタが相手陣内深いところまでドリブルで迫っても、初瀬亮とのコンビネーションが合わなかったりして、決定機には至りませんでした。

試合を決めたゴールは、神戸の選手の油断が大きな原因でした。二見宏志の伸びのあるロングスローに対してボールウォッチャーになり、もっとも警戒すべきドウグラスへのケアを怠ったことで失点してしまいました。

このときのミスが命取りとなり、神戸は追い付くことさえできませんでした。小川慶治朗、田中順也を入れ、システムを変えて打開を図りはしましたが、攻撃の活性化とまではいきません。強引なロングボールを繰り出すこともないまま、試合終了のホイッスルが鳴りました。

次節はまたもアウェイ、下位に苦しむ湘南ベルマーレが相手です。泥沼にはまらないためにも連敗だけは避けなければなりません。


キックオフ直後から戦う姿勢をプレーで見せていたのは、ホームのブラジルの方でした。出場停止明けのカゼミーロとキャプテンのダニエウ・アウベスがそれぞれ激しさをもって守備をしていきます。今大会、試合を重ねるごとに状態が上がってきたアルゼンチンは、若干気圧されてしまいました。

試合前の準備が万端だったと思われるセレソンは、そのままの勢いで先制点に結び付けます。ダニ・アウベスが浮き球の処理でマルコス・アクーニャに勝ち、タックルに来たレアンドロ・パレデスをやり過ごしてフィルミーノにノールックパス。右サイドに流れていたフィルミーノが横方向のスルーパスを出し、最後はガブリエウ・ジェズスが押し込みました。

得点が生まれた約10分後、リオネル・メッシが目覚めます。距離のあるフリーキックでやわらかいボールを送り、それに合わせたセルヒオ・アグエロのヘッドはクロスバーをヒット。惜しくも同点にはならなかったものの、これをきっかけに背番号10が本来の持ち味を存分に発揮しだしました。

メッシを中心に、アルゼンチンが得意とする中央を打ち破る攻撃を繰り返します。ただ、攻撃を中盤でせき止めてくれるカゼミーロのいるブラジルは一筋縄ではいきません。いかんせんメッシの仕掛ける位置が低いこともあり、ボックスの中への進入は困難を極めます。メッシがエリアの中から放ったシュートもポストを叩きました。

リオネル・スカローニ監督は残り時間が30分となるところでアンヘル・ディ・マリアを、そのあとにはジオバニ・ロ・セルソを投入。攻撃に大きく舵を切る采配をします。

同点への道筋を用意したアルゼンチンでしたが、後半26分、ブラジルのカウンターの餌食になります。2対2の局面でガブリエウ・ジェズスが普段はチームメイトのニコラス・オタメンディを振り切り、体をひねってラストパスを送り、今度はフィルミーノが合わせてリードを広げます。

追い込まれたスカローニ監督はニコラス・タグリアフィコを下げて、パウロ・ディバラを選択。その前、2点目を許したあとからインサイドハーフではなくウイングの位置をとっていたディ・マリアに左サイドを全面的に任せることにします。

しかし、バランスを無視しての攻撃偏重となったため、スムーズな仕掛けができなくなり、この采配は裏目に出ました。一方、マルキーニョスにガブリエウ・ジェズス、さらには精彩を欠いたエベルトンに代わって出ていたウィリアンと負傷者が続出したブラジルは、より守備意識を強め、ボール保持ができるときには時計の針を進めるプレーを選びました。

結果、アルゼンチンの自滅もあって、難しくない流れに持ち込んだブラジルが決勝進出を果たします。開催国のプライドをもって、南米王者の座に輝くまであと1勝となりました。


前節のサンフレッチェ広島戦が7月末に延期されているため、約2週間ぶりの試合となった川崎。最後の最後で1失点はしたものの、持ち味を存分に発揮したゲームとなりました。

前の試合で戦った北海道コンサドーレ札幌とシステム上は同じ3-4-2-1の磐田でしたが、ほとんどの時間、川崎が自陣でボールを動かす間はさほどプレッシャーをかけてきません。

また守備時に形成される5-4のブロックもコンパクトにはしていても、川崎の前線の選手が入れ代わり立ち代わり最終ラインとの駆け引きをしてくるため、それに意識を持っていかれて決して穴のない状態ではありませんでした。

そこで大島僚太は時折下がって受け、相手の寄せが甘い、比較的フリーな状態で前線にチャンスにつながるパスを供給することが可能になります。

先制点はその大島が起点になりました。背番号10のサイドチェンジによって、5枚の最終ラインのさらに外側で幅をとっていた車屋紳太郎にパスがわたり、そこからクロス。高橋祥平の転倒も幸いして小林悠がフリーの状態でヘッドを叩き付けます。クシシュトフ・カミンスキーはボールに触れましたが、及びません。

追加点は後半5分、磐田のカウンターを阻止したところから始まります。相手の守備が整いきらないところを突いて、長谷川竜也のカットインで流れたボールに走り込んだ脇坂泰斗が美しいグラウンダーのシュートを決めて生まれました。

効果的にかつ確実に仕留める力はさすがでした。2点目を奪ってからは少しテンポを落とし、得点を取るために前に出てくる磐田をいなす戦いを始めます。そして終盤に差し掛かるところで鬼木達監督は齋藤学、知念慶を入れ、とどめを刺しに出て、実際に刺し切ります。後方から走って家長昭博からボールを受けたあと、ドリブルではなく中央へのクロスを選択した齋藤に応えて知念が流し込みました。

6月はここまで勝利のなかった川崎ですが、今後に弾みがつく、流れるような攻撃を披露しての完勝でした。

逆に連敗で最下位に転落した磐田は、長らくチームを指揮していた名波浩監督が退任。J1残留に向けて新たなスタートを切ることを余儀なくされました。


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