サイドからのクロス、セットプレー絡み、ボールロストきっかけのカウンター。いずれもこれまでなでしこジャパンが苦手としていてやられやすい形からの失点でした。イングランド戦とは違い、熊谷紗希と中島依美がスタメンで出ていた日本でしたが、持ち味である粘り強さはほとんど発揮できないまま90分が終わってしまいました。

ホームのフランスは立ち上がりから日本にプレッシャーをかけてきて、その勢いで前半3分に左から右サイドに揺さぶって上げたクロスをバレリー・ゴバンが合わせて先制ゴールを奪います。シービリーブスカップには参加できなかった山下杏也加がゴールライン近辺で防いだかに見えましたが、ゴールラインテクノロジーもVARもないこの試合では得点が認められました。この成功体験をもってフランスはサイドからのクロスを多用します。

また守備時の圧力は以降も変わらず、山下からのビルドアップ時にもパスコースを切りに前線の選手が立つなどしており、日本は思うように組み立てができません。

唯一成功したのは同点の場面でした。杉田妃和のパスを小林里歌子がジャンプしてスルー。中島が中央に絞ってシュートを放ち、これは代わったばかりのサラ・ブアディに阻まれるも、こぼれ球を小林が蹴り込みボールはゴールネットに到達します。一連の流れは見事でした。

しかしゲーム全体を通しては主導権はフランスに握られてしまい、日本陣内でボールが動く時間が長くなりました。サイドハーフの中島と長谷川唯は前に出ていくことよりもディフェンスに追われることが多く、中島は最終ラインまで下がってDFとあわせて5枚でピッチの幅を埋めたシーンもありました。

劣勢に立たされながらも最後のところで熊谷が体を張って懸命に食い止めてはいましたが、ひたむきに守り抜く姿勢がキャプテンからほかの選手にまで十分には伝播しません。

後半になると戦い方を変えたフランスに対して、杉田や長谷川の攻撃に出ようとするパスが中盤でカットされてカウンターを食らうシーンが増えます。3失点目は杉田の左サイドに出したパスを奪われて逆襲を受けました。このとき鮫島彩はすでに前線に上がっていて、センターバックの南萌華がドリブルで突き進むデルフィン・カスカリーノをつぶしに行かざるを得なくなり、中央がやや手薄になります。

結果、カスカリーノのシュートは山下が止め、熊谷がこぼれ球に触れたものの、右サイドからトップにポジションを移したカディディアトゥ・ディアニにとどめを刺されました。

元世界女王の意地を見せるべく追いすがりたい日本でしたが、最後までフランスの統制された守備網にてこずります。それもトップとMFの間をくぐり抜けることさえ苦労しました。

チャンス自体が少なかった点を考慮したとしても、ミドルシュートを積極的に狙った横山久美に代わって入った菅澤優衣香は、相手選手を背負いながらボールキープするところまではできていましたが、肝心のフィニッシュに関与することはできませんでした。

こうした中で失点の責任を感じたであろう杉田、そして鮫島、小林が左サイドで絡んでシュートに至った場面は、ブアディに正面でボールを受け止められてしまいます。

ヨーロッパの強豪相手に手ごたえをつかみきれずに黒星を重ねてしまう結果となっただけに、女子ワールドカップメンバー決定前の最後の一戦、ドイツ戦で光明を見いだしたいところです。