22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2018年04月

タイトな日程が続く中、ここまでフル出場していたベテランの鮫島彩、阪口夢穂を休ませた日本は、立ち上がりこそ相手陣内で人数をかけてボールを奪うなど順調に試合を進められましたが、時間が経つにつれて苦しい展開になりました。

攻撃はボランチの隅田凛、宇津木瑠美のところでフリーになるものの、そこから先でブロックを敷く中国の中央を思うようにパスで打開することができません。それでもサイドに開いて展開しつつ、中を突破できるチャンスをうかがっていました。

そして少しずつリズムをつかみ始めた前半39分、隅田の縦パスがようやく岩渕真奈に入り、背番号8は豪快に左足を振りぬいて先制点を挙げました。

対する中国は前半19分のコーナーキックなど、セットプレー絡みでしかシュートチャンスをつくれておらず、1対0のままハーフタイムを迎えます。

しかし負ければ決勝に進めないノックアウトラウンドだけに、タイ、フィリピン、そしてホスト国のヨルダンに快勝してきた中国は後半の頭からギアを上げてきました。開始早々にハイプレッシャーをかけるなどして、前半自由にボールを受けていた宇津木を頻繁に狙いました。

後半18分には王珊珊が入り、さらに前への圧力を増してきます。そして次第に日本の中盤とDFの間でボールを受けられる場面が増えだしました。

こうした厳しい状況下でも日本は持ち前の連携で追加点を取りにいきました。後半20分には清水梨紗、宇津木、岩渕とつなぎ、最後は長谷川唯がシュートを放ちます。

加点したのは残り時間が少なくなった後半40分でした。ゆったりとボールを動かしていた中で、途中出場の横山久美が得意のレンジからシュートを打ってゴールネットを揺らします。

横山はさらに後半43分にみずから得たPKを沈め、決勝進出を決定付けました。直後にその横山が王珊珊にファウルをして、反対にPKを与えてしまったものの、それを李影に決められてもなお2点のリードがあったことが救いとなりました。

アディショナルタイムは簡単に前線にボールを入れてくる中国の攻撃を防ぎ、ボールを持った際にはできるだけキープをして時間を稼いで乗り切りました。

連覇をかけた最終決戦は準決勝でタイとPK戦までもつれたオーストラリアとの再戦となります。こちらもタイに逆転されるまでエミリー・バン・エグモンド、サマンサ・カーを温存していただけに最後まで気を緩めることのできない試合となるでしょう。


清水はサイドバックが高い位置をとり、その分サイドハーフが基本的にはハーフスペースでポジションをとるため、タッチライン際で数的不利になりにくい浦和は両ウイングバックの橋岡大樹、菊池大介がサイドの主導権を握ってリードを奪います。

前半22分に橋岡がボールを奪取してゴール中央に向かって走ると、武藤雄樹からのリターンを受けてシュートを放ちました。これでリズムが生まれた浦和は直後の前半23分、今度は柏木陽介のパスを受けた逆サイドの菊池がクロスを上げ、興梠慎三がそれを頭で合わせて先制に成功します。

6分後にも橋岡が松原后を振り切って鋭いクロスを入れると、興梠がまたしてもヘディングシュートを決めてリードを2点に広げました。

優位に立った浦和は清水がハイプレッシャーをかけてこないこともあり、あまり無理することなく機を見て縦にボールを入れるスタンスでプレー。2対0のまま危なげなく前半を終えました。

このままではまずいと考えたか、エンドが変わると清水が前線からプレスをかけだします。守備での積極性が出たことで前への圧力が増して、後半9分には石毛秀樹のクロスをファーサイドで菊池に競り勝ったクリスランが折り返し、金子翔太が西川周作よりも一歩早く足を出して1点差に詰め寄ります。

リードはしているものの、まだ90分を通して試合をコントロールする余裕がないのか浦和はそこから失速します。重心が低くなって受けに回ることが多く、強烈なカウンターをほとんど繰り出せないまま相手に主導権を明け渡し、簡単にパスではがされてしまいます。

ただ、松原や立田悠悟、さらには金子から入れられるクロスをペナルティエリアで凌いでシュートを打たせず、後半24分の河合陽介のシュートも西川が正面で押さえたこともあり、決壊することなく時間が過ぎていきました。

終盤になると前半からサイドを疾走した橋岡が足をつり、槙野智章もピッチに座り込むなど満身創痍の状態になりますが、それでも柏木に代わって守備固めで入った青木拓矢を含めて全員で守り切り、逃げ切ることができました。

これで大槻毅監督になってから3連勝を飾り、順位は10位に浮上しました。ルヴァンカップを含め連戦はまだまだ続きますが、最後まで戦う姿勢を見せて結果を残せていることでいい流れに乗りつつあります。


攻撃が売りの川崎が90分を通じて放ったシュートはわずかに4本。たしかに前半18分と前半25分の家長昭博のシュートはいずれもポストを叩く惜しいものだったとはいえ、最終的にはウイングバックも下がって5バックで中央を固める仙台の守備網を破り切ることができませんでした。

前半に1トップを任された知念慶はポストプレーこそ強く安定していて、その落としを起点に家長の決定機に結び付けたシーンもありましたが、FWとしては前を向く動きが少なく、自身のプレーで仙台に脅威を与えられませんでした。

必然的にハーフタイムが明けると、知念はゴールに対して貪欲な大久保嘉人との交代を余儀なくされます。大久保は中盤に下りるなどして頻繁にボールに触れ、ペナルティエリア内では強引にゴールに迫りました。チーム全体としてもボールをしつこくつないで地上戦で打開する意識が見られるようになりました。

大久保は後半29分にはエウシーニョ、中村憲剛との連携で強引に中央を破壊しようとし、その後も齋藤学の入れたボールに懸命に反応しようとしてヒールキックでのシュートを試みましたがDFに阻まれます。

ただ、後半41分に中村がピッチを去った後は選手がパスの出しどころを迷う場面が多々見られ、逡巡しているうちに相手に寄せられて攻撃が詰まってしまいました。

また大怪我から復帰したばかりの齋藤が、まだ川崎のサッカーにフィットしていない、意識の共有が十分ではないこともスムーズさを欠いた要因となりました。

一方、守備では危うい場面がいくつか見られました。前半はサイドバックの裏、とりわけエウシーニョが上がった背後をたびたび使われました。前半6分にはカウンターで中野嘉大がグラウンダーのクロスを入れ、西村拓真に合っていれば1点という場面を演出します。

中野に対してはやられたエウシーニョだけでなく、家長も高い位置で攻め上がりを阻止するようになったものの、前半30分には今度は西村が左サイドに流れてクロス。ジャーメイン良がシュートを打とうとしたところを車屋紳太郎が絞ってなんとか凌ぎます。

後半2分にもジャーメインが抜け出してペナルティエリアを横断するパスを送り、梁勇基が合わせればというチャンスをつくられました。

それでも結果として無失点に終わりましたが攻守ともに手ごたえを感じる内容ではないまま、敗退の決まっているAFCチャンピオンズリーグを挟み、次節は鹿島アントラーズとのホームゲームを戦うこととなります。


後半41分、世界トップクラスのFWサマンサ・カーが同点ゴールを決めてチームメイトに祝福を受けていた際、喜びを爆発させるのではなく安堵の表情を浮かべていました。オーストラリアを大会敗退の危機に追い詰め、全員で戦い抜いたなでしこジャパンの粘りが、しぶとさがそういう気分にさせたのでしょう。

韓国戦以上に自陣に押し込まれる展開ながら、守備面での日本らしさが光った試合でした。カーめがけてすばやくロングボールを放り込もうとするオーストラリアに対して、岩渕真奈とこの日スタメンに起用された菅澤優衣香が動き回ってそれを阻止しようとし続けました。

加えてエリー・カーペンターのロングスローやエミリー・バン・エグモンドの遠目からのフリーキックによる放り込みといったリスタートも厄介でしたが、そこもきちんと対応できました。

幸い、アルガルベカップで日本を蹂躙したオランダに比べれば、サイドアタッカーのリサ・デ・バンナ、クロエ・ロガーゾにスピードがなかったため、中央にいることの多いカーへの警戒を最大限にすることが重要となり、的を絞りやすかったというのもあるでしょう。

運悪くボックスの中に入られたときには、清水梨紗、熊谷紗希、市瀬菜々といった最終ラインの面々が体を投げ出してギリギリのところでクリーンに阻止しました。

そうした苦しい中で後半17分にピッチを広く使った末に岩渕がシュートを放つと、ようやく訪れたいい流れを生かして1分後には、この日、満を持して登場した宇津木瑠美から岩渕、長谷川唯とつなぎ、菅澤と中島が相手DFを引き付ける中でゴール前に走り込んだ阪口夢穂が長谷川のマイナスのボールを流し込み、貴重なゴールを奪いました。

最終的には同点に追い付かれはしましたが、その後の日本とオーストラリアの思惑は一致していました。日本が最終ラインで5分以上ボールを回し続けるだけでタイムアップを迎えたのです。昨年行われた男子のU-20ワールドカップ、日本とイタリアとの一戦を思い起こさせるような光景でした。

交代枠は1枚しか使っていない日本でしたが、試合が終わる前にアップしていた控え組がベンチに戻りました。オーストラリアの前線の選手もなんとなく走る程度で、主審はセンターサークルの中でほぼ棒立ちとなってその様子を見ていました。

これで両者ともに女子ワールドカップ出場権を獲得。今大会のノルマを達成してアジア女王の座を守る戦いへとコマを進められた日本は、準決勝で中国と対戦することとなります。


後半ボールを思うがままに支配されながらも、立ち上がりに取った虎の子の1点を死守したベガルタ仙台戦から中3日。過密日程を考慮してか阿部勇樹、槙野智章をベンチ外とし、スタメンを入れ替えて臨んだ浦和はチーム全員の奮闘により、この日も苦しい戦いをものにしました。

まず前半24分、遠藤航が相手陣内で三原雅俊からボールを奪ったところからスタートし、右サイドに流れた興梠慎三が横方向のスルーパスを繰り出すと武藤雄樹がシュート。一度はキム・スンギュに防がれますが、武藤ははね返ったボールを落ち着いてゴールに押し込みました。

その後は前半37分、前半42分にカウンターを発動させますが、追加点は奪えません。

後半、右サイドバックの藤谷壮を使った攻撃を多用する神戸がコーナーキックを獲得。美しい軌道を描いたルーカス・ポドルスキのキックにウェリントンが豪快に合わせて同点にします。

今シーズン2点以上挙げた試合のない浦和は勢いを削がれてしまい、仙台戦同様に自陣深い位置まで引かされます。神戸にボールを持たれ続け、危険なエリアにはなかなか入らせなかったものの手も足も出ない時間がありました。

そうした悪い流れの中で佐々木大樹に仕掛けられ、逆転ゴールを決められます。まだ30分ほど時間は残されていましたがこのダメージは大きく、一時的に全体の守備のポジショニングに乱れが生じました。

それでも柏木陽介のコーナーキックが浦和に歓喜をもたらします。リードを許してから9分後の後半27分、キャプテンのキックをファーサイドで岩波拓也が合わせ、ボールはゴール前でカバーに入っていた三田啓貴の頭上を越えて逆サイドのゴールネットを揺らしました。

以降も背番号10のプレースキックが冴えわたります。後半36分にはマウリシオに合わせ、このときはキム・スンギュに防がれるも、後半47分にも再びマウリシオに合わせるとブラジル人センターバックはチョン・ウヨンに競り勝ち、これが決勝点となりました。

アジア王者のプライドを見せつけた執念の勝利でした。決して楽な試合ではありませんでしたが、チームの結束力が高まる劇的な形での連勝となりました。


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