22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2018年03月

日本は帰陣の意識を高くして試合に入っていきました。この試合、まずは失点をしないように守備から、という狙いが見えました。それでいて極端に下がりすぎるのではなく、最終ラインと中盤がラインを整えながら、前線の選手が相手の最終ラインに激しいプレッシャーをかけることも忘れず、非常にバランスよく戦っていました。

攻撃は劣悪なピッチ状況も考慮してか、後方から相手の背後を狙ったロングボールを主体とします。前半5分には有吉佐織からのボールを受けた田中美南が早速ゴールを襲いました。

こうした手を打ち続ける中でなでしこジャパンにリズムが生まれ、抜け目のなさをも見せるようになります。前半20分、スローインを受けた田中が岩渕真奈へと渡し、背番号8の放ったシュートがポストを叩きました。

前半をひたむきに戦ってゼロに抑えて折り返すと、後半は頭から選手を代え、並びも変えて守備よりも攻撃に力を入れます。それを受けたデンマークのウイングバックの位置が下がり気味となったこともあり、日本はゴールへと果敢に迫ろうとしました。

一方、ボールロストが目立った市瀬菜々を下げて、宇津木瑠美を後半14分からボランチに据えることで守備面の不安も改善。後半の半ばからシュートこそなかなか打てない時間が続いたものの、流れとしては引き続きじわじわと相手を押し込んでいました。

そして後半38分、熊谷紗希の縦へのボールを起点とし、最後はゴール前で浮いたボールに長谷川唯が反応して待望の先制点を奪います。ディフェンスにも貢献した運動量の落ちないアタッカーの粘り強さが表れた得点でした。

終盤は時間を使いながらも隙を狙い、後半48分に岩渕がみずから得たPKを沈めて勝負あり。初戦こそオランダになすすべなく大敗を喫しましたが、昨年同様、5・6位決定戦にコマを進めました。


ガンバは失点こそ1にとどまりましたが、鹿島に18本のシュートを浴び、最後の最後まで守備の不安が拭えないままでした。最終ラインのポジショニングが不安定で、特に前半は自陣のサイドにスペースができていて、鹿島にしばしばそこを突かれました。

前半31分には米倉恒貴が上がった裏を狙われ、そこから展開されて最終的には逆サイドを上がってきた金崎夢生にシュートを打たれます。しかしこうした危機を救っていたのは、東口順昭でした。前半36分にはペナルティエリアを大きく飛び出し、ペドロ・ジュニオールを体で阻止します。

後半になると遠藤保仁がトップ下から一列下がったことで、ディフェンスのカバーがいくらかできるようになりました。またこのポジション変更は、攻撃面においても奏功。フォローする選手がおらず孤立気味だった遠藤保仁が、今度は交代で入ってきた中村敬斗らをフォローする側にまわる効果もありました。

後半21分、修正を施したガンバに最大のチャンスが訪れました。長沢駿がヒールパスを出すと、虚を突かれた鹿島のDFは中央を開けてしまい、そこへ走り込んだ中村敬斗がシュート。目の前にはクォン・スンテだけという状況でボールは惜しくもポストを直撃し、先制とはなりませんでした。

すると後半33分、安西幸輝のスローインを受けに行った鈴木優磨がファビオをかわしてクロスを入れると、金崎が泥臭く押し込んで鹿島がリードを奪います。金崎についていた三浦弦太は一瞬、背番号10を見失ってしまいました。スローインというあまり警戒されないリスタートから得点を取るあたりはさすが鹿島です。

追いかけるガンバは中村敬斗、福田湧矢、井出遥也が躍動。積極的な姿勢を見せて同点にしようとしますが、優位に立った鹿島のディフェンスを攻略できず、シュートに結び付けられないままタイムアップを迎えました。

しばらく勝ち星から見放されているガンバが、レヴィー・クルピ新監督のもとで攻守において安定するにはまだまだ時間が必要となりそうです。


勝つには勝ちました。ただ、ロングボールを蹴ってもオランダのように前線に張る選手がおらず、カウンターにも鋭さのないアイスランドが流れの中でシュートらしいシュートをほとんど打っていない中、前の試合から中1日ということでメンバーを大幅に入れ替えた日本は相手を圧倒しきることができませんでした。そういう意味で物足りない90分になりました。

たしかに守護神のクドビョーグ・グンナースドティルに阻まれるシーンは多くありました。前半9分の猶本光、前半33分の岩渕真奈、さらには後半23分に岩渕からリターンを受けた横山久美、そして後半25分、長谷川唯のクロスにダイレクトで合わせた大矢歩。いずれのシュートも枠をとらえながら、すばらしい反応によって止められてしまいました。

とはいえ全体的な流れでいうと、日本は中央での崩しに力を入れ過ぎ、つなぎの部分で相手選手がいるのに受け手の動きが少ないために簡単に阻止されるというもったいないシーンがちらほら見られ、主導権を握るところまで精度を高めることができませんでした。

そんな中で菅澤優衣香の得点により1点リードしていた後半29分、またしてもコーナーキックから失点してしまいました。放り込まれたボールにはっきりとしたクリアをすることができないまま、こぼれ球をグローディス・ぺルラ・ビゴースドティルに決められてしまいます。

これによって息を吹き返したアイスランドに対して日本はやや苦労しましたが、中島依美の変化をつけたコーナーキックを起点に、最後は宇津木瑠美がボールの落下点に走り込み、意地のゴールを奪ったことでどうにか勝ち越すことができました。

90分を通しての総合的な出来としては、昨年の同大会でのアイスランド戦とあまり変わらなかった印象のなでしこジャパン。ディフェンス面のてこ入れが意味を持つようなピンチを迎えなかった彼女たちが、女子EURO準優勝のデンマークにどう対処していけるのか。真価が問われるのは次の一戦ということになります。


無策、というほどではありませんでしたが、前半の日本はあまりにも無防備でした。オランダは再三再四、後方からのロングボールをサイドの前方に送り、特に左のリーケ・マルテンスを使う形で攻めてきました。それに対してピッチの中で修正が施されることはなく、押し込まれ続けました。

試合の流れは完全にオランダペースとなり、たった45分の間にヨーロッパ女王に5得点を許してしまいました。そのうち2点はコーナーキックを起点としたものであり、また前半31分にシリ・ボルムに喫した1点は池田咲紀子のパスミスが引き起こしたもったいないものでした。

対する日本は中島依美が一矢報いるのみで前半が終わります。

ただ後半、横山久美と清水梨紗が入ったことで、チーム全体の緩慢さは解消されていきます。横山は前線から激しいプレッシャーをかけてロングボールの供給を防ごうとし、右サイドバックの清水は注意を要するマルテンスへの対応を任されました。

清水は後半7分の失点時に体を張るも阻止しきれませんでしたが、その後は危なげなくやり遂げます。

大量リードを奪ったオランダが当初ほど攻撃から守備にまわった際にプレッシャーを厳しくしなくなってきたこともありますが、日本は長谷川唯、鮫島彩の左サイドを中心に攻撃を仕掛けていきました。後半16分には長谷川のボールを受けた鮫島がマイナスのパスを送り、田中美南がシュートを放ちました。

その後は中盤から阪口夢穂らが相手センターバックの背後を狙ったボールを送り込むようにもなり、それによって相手を押し込もうとするも、オフサイドになるなどしてなかなか決定的な形にはなりませんでした。

結局、後半37分に岩渕真奈が2人を抜き去ってゴールを決め、4点差に戻すのが精一杯で、2対6という散々な結果になってしまいました。

とはいえ攻撃はそれなりに可能性を感じさせました。問題はやはり守備の対応力です。相手の出方をふまえて、ピッチの中でいたずらに失点を重ねないためにどう対処していくべきか。そのことを十分に考慮しながら戦っていかなければなりません。


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