22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2018年02月

相性 ――FC東京対浦和レッズ

前半、室屋成のハーフスペースからのミドルシュートしか許さなかった浦和が、ハーフアタイム明けにほんのわずかな隙を突かれました。

後半3分、マウリシオが前田遼一をつぶしに中盤まで出ていったために生まれたスペースを、高萩洋次郎が見逃さなかったのです。ルーズボールに反応し、すかさずその空間めがけてスルーパスを繰り出しました。

浦和は槙野智章がカバーに向かい、遠藤航、宇賀神友弥の両サイドバックも絞って止めに走りますが、一歩及ばず。パスに反応していた東慶悟に先制点を決められました。

これで長きにわたって苦しめられてきた浦和相手に東京が勝利を収められるかに思われました。この日の東京は、攻め込まれるとペナルティエリア内に人数をかけて最終局面で相手に前を向かせない守備を徹底。中央を固めて乗り切っていました。

しかし、歴史は簡単には変わりません。東のゴールからわずか2分後、柏木陽介のコーナーキックを槙野が体を投げ出しながら合わせて試合を振り出しに戻しました。

そこからは浦和の攻撃に勢いが出てきました。後半8分には宇賀神が中央からミドルシュートを放ち、後半16分にはクエンテン・マルティノスが入れたボールを武藤雄樹が折り返し、興梠慎三がシュートを打ちます。いずれも林彰洋に阻まれ、逆転には至りません。

さらに直後のコーナーキックでは、再び柏木のボールに槙野がフリーで合わせるも枠をとらえられませんでした。

こうしていい流れをつかんでいた浦和でしたが、長澤和輝を下げて武富孝介を入れた後半19分以降は失速します。シュートを打つことがなくなり、遠藤、武藤、マルティノスによるサイドからの攻撃に固執。終盤は東京に疲れもあってか、バイタルエリアの中央にスペースができていましたが、そこを生かす攻撃はしばらくの間ほとんどできず、ようやく生かそうとしてもボールがつながりませんでした。

対する東京の長谷川健太監督は、前線で強さを見せたディエゴ・オリヴェイラと高さを誇った前田を下げ、永井謙佑、久保建英を投入。浦和をかき回すべく攻撃の活性化を図りました。

ただしこちらも決定機をつくることはできず、後半46分の久保のシュートも西川周作の正面でした。

そして3分のアディショナルタイムが終わり、両者は勝ち点1を分け合いました。やはり浦和は東京には負けませんでした。もちろんどちらとも勝ち切れなかったとも言えますが、巻き返しを誓う両チームにとっては決して悪くない開幕戦でした。


曖昧 ――FUJI XEROX SUPER CUP 川崎フロンターレ対セレッソ大阪

昨シーズンのJ1王者はどこか輪郭のはっきりしないような、全体的にぼんやりとしたサッカーを披露してしまいました。それゆえルヴァンカップ決勝の借りを返し、スーパーカップを高々と掲げることはかないませんでした。

序盤はセレッソがミドルレンジのパスを多用しながら、いとも簡単に川崎のペナルティエリアにボールを供給するのに対し、受けに回ることが多く、スロースターターとなってしまった川崎はアタッキングサードへの侵入もままなりません。川崎のファーストシュートは、サイドから崩されて山口蛍に先制点を奪われたあとのエドゥアルド・ネットのミドルシュートまで待たなければなりませんでした。

こうして、失点したことで多少エンジンがかかったとはいえ、前半のうちはポゼッションが高いものの最終ラインとボランチの間でのパス交換が目立ち、トップ下の中村憲剛が時折後方に下がることがあっても、なかなか相手陣内の深いところへ効果的なパスを出せないでいました。もちろん、セレッソの中盤4枚と4バックの間が狭く、ボールを通しにくい状態だったこともあります。

一方の守備面では時間の経過とともにもろさが出始め、ハイボールの対応を誤って後半開始早々、清武弘嗣に追加点を決められると、その後もエドゥアルド・ネットの自陣でのパスミスや奈良竜樹と谷口彰悟がお見合いのような形になってピンチを招くシーンが見られ、相手の最後の精度が高ければ大量失点も避けられない状態でした。

ただ、そんな中でもよかったところがまったくなかったわけではありません。途中交代で入った選手がキラリと光る働きをしてくれました。

昨年末のE-1サッカー選手権で無念の負傷退場をした大島僚太は、復調ぶりを示すようにボールを懐に収めては縦方向への鋭いパスを出し続け、セレッソに脅威を与えました。またルーキーの守田英正は右サイドバックとして躍動し、積極的な攻撃参加をも見せ、まずまずのプレーをしました。

それでもそこから先が迫力不足で、決定的なフィニッシュにはなかなかつなげられなかったのですが、後半アディショナルタイムに長谷川竜也の粘りある仕掛けから、最後は川崎復帰を果たした大久保嘉人が合わせてスコアを2対3とします。

その後の残されたわずかな時間はセットプレーを含め、エドゥアルド・ネットからの放り込みが中心となり、終始空中戦で分が悪かった川崎にとっては決して得策ではありませんでした。マテイ・ヨニッチを中心としたセレッソの守備陣は制空権を易々とは与えてくれません。

結局、あと1点が遠く、ABBA方式のPK戦にもつれ込むことなくタイムアップを迎えました。とはいえ、真の戦いはこれからなので、課題と収穫を今後に生かしてAFCチャンピオンズリーグ、そして連覇を目指すリーグ戦へと向かいたいところです。

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ギャラリー
  • 曖昧 ――FUJI XEROX SUPER CUP 川崎フロンターレ対セレッソ大阪
  • 動揺 ――ルヴァンカップ決勝 セレッソ大阪対川崎フロンターレ