22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2017年09月

奪取 ――川崎フロンターレ対横浜F・マリノス

リーグ屈指の守備力を誇る横浜に対し、川崎は慌てずに丁寧にボールを回して、固い中央を避けてサイドを使って隙を伺いつつ、最終的には守備で圧倒して完封勝利を収め、2位に浮上しました。

前半22分にも阿部浩之のシュートにつながる形がありましたが、2点目と3点目は高い位置からのディフェンスが見事にはまりました。まず1点リードしていた後半12分には松原健がボールの処理を中途半端にしてしまったところを拾い、最後は小林悠が豪快に決めてリードを広げます。

続く3点目は、序盤から積極的にプレスをかけていた中村憲剛が扇原貴宏からボールを強奪。すかさずミロシュ・デゲネクが寄せてきましたが、そのおかげでフリーになった家長昭博に中村が判断よくパスを出すと、家長は右足できっちり仕留めました。

自陣での守備においては先制点を奪った大島僚太が大きく貢献します。横浜が再三カウンターを仕掛けるも、大島が立ちはだかり、後半8分には齋藤学を、後半20分にはウーゴ・ヴィエイラを止めてみせました。

後半39分にエドゥアルドをセンターバックの間に入れて3バックにしてからは、ディフェンス陣が横浜のクロスをことごとく弾き返し、シュートを打たせません。こうして3点のリードを最後までしっかり守り抜き、不用意な失点をすることなく試合をクローズさせます。

結局、横浜に与えた決定機は前半38分の一度だけで、この時はマルティノスのクロスにウーゴ・ヴィエイラが飛び込みましたがチョン・ソンリョンの正面でした。

一方、川崎のベンチワークに関しては、十分にリードが広がったことで大島、中村、小林の順にベンチに引き上げさせることができ、水曜日に待ち受けるAFCチャンピオンズリーグ準々決勝、浦和レッズとの決戦に備える形になりました。


疲弊 ――ワールドカップアジア最終予選 サウジアラビア代表対日本代表

オーストラリアがタイを下したため、この試合でワールドカップ出場を決めるためには絶対に負けられないサウジアラビアが相手、しかもアウェイという、中途半端な親善試合よりも格好のシチュエーションに対し、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はディフェンス陣をオーストラリア戦と同じにして、長谷部誠不在の中盤に柴崎岳、前線には本田圭佑、岡崎慎司、原口元気という前の試合でプレータイムの短い、もしくはプレーしなかった選手を送り込みました。

しかし、結果的にはハードワークを厭わなかった原口を除いて、フル出場できた選手はいませんでした。特に本田の現状はあまり芳しくなく、前半43分には自陣でミスを犯してピンチを招いてしまいました。

とはいえ決定機を生み出せたのは前半の方でした。とりわけ水分補給のための中断後、セットプレーからチャンスをつくります。前半33分にはナワフ・アルアビドに防がれはしましたが、柴崎のコーナーキックを昌子源が頭で合わせ、さらに前半40分には柴崎のフリーキックのこぼれ球を山口蛍が強烈なボレーで狙い、ゴールを襲いました。

流れの中でのプレーは、柴崎が岡崎に近いやや前目のポジションをとる形で中盤の選手が泥臭く守備で奮闘し、サウジアラビアが激しく詰め寄らないこともあってペースも握れていました。ただ、手数をかけない攻撃をしたいけれどもなかなかはまらないケースが多々見られました。

エンドが変わると、相手が全体的にギアを上げてきただけでなく、後半頭から投入されたフハド・アルムワッラドの個の力に翻弄されます。後半10分には長友佑都が振り切られ、シュートを打たれました。ここは川島永嗣が足で防ぎますが、後半18分にわずかなゆるみから中央を崩されてしまい、フハドに先制点を決められてしまいます。

リードを許した日本でしたが、リズムが悪く、次第に運動量が落ちて間延びしてきました。中東の暑さゆえの疲労、サウジアラビアに対しての日程面や移動距離での不利、モチベーションの差が徐々に出てきてしまいます。

反撃する力が弱いまま時間は流れ、終盤は吉田麻也が上がるなどしてパワープレーを試みるも、後半43分の久保裕也のシュート以外に目につくような場面はありませんでした。

必ず勝たなければならないわけではなかったので、この敗戦は深刻なものではないですが、欲を言えば今後を見据えて勝負強さをつけるためにもせめて同点で終えて、サウジアラビアに喜びを与えないことができれば、という試合でした。


脱出 ――ワールドカップアジア最終予選 日本代表対オーストラリア代表

交代で入ってきた選手を含め、全員が攻守にわたって労を惜しまないプレーを続けたことで、予選ではこれまで勝ったことのなかったオーストラリアに完勝。6大会連続のワールドカップ出場を決めました。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は中盤に攻撃に比重を置きがちな選手を起用せず、長谷部誠をアンカーにして山口蛍、井手口陽介をピッチに送り込みました。長谷部は前半に三度ミスを犯して逆襲を食らいかけましたが、大事には至らず、全般的には中盤で相手に自由にやらせませんでした。

先制したのは前半41分。マシュー・レッキーのシュートが吉田麻也に当たってポストを叩いた3分後でした。長友佑都のクロスに浅野拓磨が丁寧に合わせて均衡を破ったのです。酒井宏樹との右サイドでのコンビネーションはなかなかうまくいっていなかった浅野でしたが、ここで重要な働きをしました。

またこのシーンでは長友がクロスを上げたときに中央で大迫勇也がマシュー・スピラノビッチをブロックして最終ラインに残したため、浅野はオフサイドにはなりませんでした。

後半になるとオーストラリアがサイドから押し込んできましたが、イラク戦の失点シーンを思い出させるような吉田と川島永嗣がお見合いしかける場面もあったものの、懸命の守備で決定機をつくらせませんでした。

緊迫した状況が続く中、勝利を確実なものとしたのが井手口の強烈なシュートでした。後半32分のシュートはギリギリのところでトレント・セインズベリーに阻止されましたが、後半37分に原口元気の粘りに応えるようにゴールを決めてみせました。

2点を追うオーストラリアはティム・ケーヒルが要求していたものの、日本にとっては嫌なロングボールを放り込むことを最後までしませんでした。あくまでボールをつないで打開しようとしてきたのは救いでした。

日本はこれで見事本大会出場を果たし、プレーオフにまわることなく、アジアでの長い長い戦いから抜け出すことができました。10月の親善試合も国内開催でアウェイへの遠征による強化が進まないのは気がかりですが、ここから各大陸の猛者と戦うためにどこまでチーム力を高められるかに期待がかかります。


ギャラリー
  • 曖昧 ――FUJI XEROX SUPER CUP 川崎フロンターレ対セレッソ大阪
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