今シーズン、なでしこリーグのテレビ中継が壊滅的となり、ひっそりと苦境に立たされている女子サッカー界。そうした中にあって結果が求められる新体制での国内初戦で、日本は3対0の完封勝ちを収めました。

前半は横山久美の個の力でねじ込んだ1点にとどまり、それ以外の決定機はありませんでした。阪口夢穂の中盤での展開力は冴えていたものの、そこから先、長谷川唯や高木ひかりらが供給するクロスはチャンスに結び付きません。

ハーフタイム明けに籾木結花、隅田凛が入り、少しずつリズムをつかみ始めると、後半23分に田中美南、後半27分には隅田がシュートを放ち、ノエリア・ベルムデスを脅かします。

すると後半29分に上野真実の左サイドからのクロスに田中が合わせて加点し、後半37分には、今度は長谷川が左から絶妙なラストパスを送って、籾木が決めました。サイドを使った攻撃が見事にはまります。

その後も阪口、隅田の惜しいシュートがあり、コスタリカを圧倒したまま後半を終えました。国内最強クラブである日テレ・ベレーザの選手をベースにした今のチームは、リズムに乗れれば強いということをピッチの上で表現してくれました。

ただ、コスタリカのシュートは90分を通じて3本しかなく、結果としてなでしこジャパンらしいひたむきな守備が求められる場面はほとんどありませんでした。再び世界の頂点に立つためには、こうした経験をこれからますます積んでいかなければなりません。

いずれにしても消化不良に終わったアルガルベカップのもやもやを吹き飛ばす快勝ではありました。高倉麻子監督が就任して1年が経とうとしており、「新生なでしこ」と呼ぶのは最後となるであろう一戦をきれいに締めくくりました。