22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2016年11月

後半6分、中島翔哉のシュートが鈴木雄也に当たってゴールネットを揺らして以降、Hondaの中盤が空くようになり、前半にくらべて東京が押し込む場面が増えはしましたが、シュート数は思ったほど増えず、ホームチームにとっては苦しい一戦でした。

前半の東京は次第に相手のプレッシャーに慣れ、ピッチを広く使おうとする意図が見られたものの、右サイドバックに入った橋本拳人の背後が狙われ始めると、ややHondaペースになります。そして18分に香川大樹の絶妙なスルーパスに抜け出した久野純弥が落ち着いて先制弾を決めました。

東京はなかなか深いところまで攻め込むことができず、中島の中盤からの得意のドリブルも阻止され、ミドルシュートを打つこともままなりませんでした。逆にHondaの最終ラインの背後への意識の高さに脅かされます。

後半開始とともに小川諒也が左サイドバックに投入され、室屋成が左から右サイドバックに移ると、少しずつペースを取り戻し始めました。そして冒頭の同点弾に繋がります。

それでもHondaは攻めへの意識を弱めず、失うものは何もないといった勢いで勝ち越しを狙いに来ました。16分の久野のマイナスのクロスは惜しくも味方に合わず、29分の久野のシュートは弱く、秋元陽太に難なく押さえられます。

そんな中で違いを見せたのが室屋でした。35分、中島が相手を引き付けて出したパスを受け、鮮やかなループシュートを決めてみせたのです。前半は積極性を欠いて、クロスを入れない場面も目立ちましたが、大事な場面で冷静な判断を下しました。

追いかける立場となったHonda最大のチャンスは41分、香川が吉本一謙に倒されて得たフリーキックでした。栗本広輝のキックは壁を越え、秋元は見送るしかありませんでした。延長突入の可能性も見えた瞬間でしたが、ボールは無情にもゴールポストを叩きました。

東京はその後のHondaの攻撃を無難に凌ぎ切り、ベスト8進出を果たしました。1ヵ月半後の準々決勝はともにJ1年間上位の川崎フロンターレか浦和レッズが相手となります。どちらが来ても厳しい戦いになることは避けられません。


三好康児のシュートがポストを叩き、大久保嘉人の一撃もバーを直撃――。前半のうちに2点をリードした後、後半15分までの川崎は前節とは打って変わって完璧なまでにゲームを支配していました。特に三好、大久保、長谷川竜也による運動量が豊富な前線の攻撃は変幻自在で、何度もガンバ守備陣を翻弄していました。

ところが後半20分、藤春廣輝がスピードに乗って左サイドを駆け上がり、そのままゴールを陥れると、1分後には井手口陽介が大久保を潰し、アデミウソンが奪い切り、最終的にはゴール前まで走った井手口が同点弾を叩き込みました。

あっという間のできごとで流れは一気にガンバに傾き、31分には倉田秋からボールを受けたアデミウソンがコンパクトな振りで一閃。川崎は苦しい立場になりました。しかし、森谷賢太郎らがゴールを狙うも、可能性のある、決定機になるようなシュートはついに打てず、まさかの逆転負けを喫して最終節を終えることとなりました。

同時刻に行われていた試合で、浦和レッズが横浜F・マリノスと引き分けていただけに、年間首位奪還の可能性をみすみす潰してしまいました。残り30分を凌ぎきれませんでした。 

これでチャンピオンシップは一発勝負の準決勝からスタートとなりました。相手は終盤4連敗を喫した鹿島アントラーズとはいえ、川崎もいい状態で臨めるとは言えません。その間に行われる天皇杯の浦和戦で、チャンピオンシップ決勝でも待ち受ける非常に難しい相手ではありますが、いい流れをつかみたいところです。


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