22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2016年06月

ブルガリア戦同様、勢いを持って幸先いいスタートを切りたい日本でしたが、そうはさせてもらえませんでした。ボスニア・ヘルツェゴビナはデンマーク戦の前半のようにブロックを敷いて様子を見るのではなく、最終ラインを高く保ち、後方からのビルドアップを許さないようプレッシャーをかけてきました。

こうなると思うようにパスを回せず、またテンポを上げるのに時間がかかりました。ただ、少しずつ厳しい局面でもシュートまで持っていけるようになります。

前半12分、こぼれ球を宇佐美貴史がシュート。15分には岡崎慎司、宇佐美、長谷部誠と繋がり、長谷部が鋭い縦パスを入れると、エリア内で清武弘嗣がターンして右足を振り抜きました。いずれもイブラヒム・シェヒッチにセーブされ、後者はクロスバーをかすっていきました。

徐々に流れを引き戻してきた28分、先制点が生まれます。 森重真人が宇佐美にボールを出し、宇佐美はドリブルをスタート。そのままペナルティエリアに進入してラストパスを送ります。それを清武が押し込んでゴールを奪いました。ゴール前には岡崎、そして浅野拓磨も詰めていました。

喜んだのもつかの間、29分にマリオ・ブランチッチのクロスにアルミン・ホジッチが頭で合わせます。西川周作が防ぐも、こぼれたボールをミラン・ジュリッチに決められてしまいました。再開直後、ロングボールで最終ラインが押し下げられ、中盤にスペースができたところで、ブランチッチに絶妙なボールを上げさせてしまいました。

ハーフタイム明け、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は柏木陽介に代えて、守備力の高い遠藤航を送り込みます。これによって、長谷部が主に後方からのボールの供給役を担い、遠藤が積極的な守備でチームに貢献することになりました。

攻撃面では最終ラインからも相手の裏を狙い、スピードのある浅野を生かそうとしました。ところが肝心の縦へのボールがうまく入らず、攻撃の形が思うようにつくれません。

すると後半21分、代わって入ったばかりのミロスラフ・ステバノビッチのスルーパスを、ダイアゴナルに走ってきたジュリッチが決め、ボスニア・ヘルツェゴビナに逆転されます。ステバノビッチのそばには遠藤がいましたが、遠藤は強くアプローチに行かず、横方向へのパスコースを消す選択をして、結果的にアシストを許してしまいました。

リスタートから2失点を喫した日本は、前線に小林祐希、金崎夢生、小林悠を送り込みます。しかし相手は30分すぎからペースを落とし、殊勲のジュリッチも下げてディフェンスを固めてきました。

中央を締められると手詰まりになってしまい、日本は守備網を崩すことができません。単調なクロスばかりではなかったとはいえ、2年前のギリシャ戦を思い出すような展開になってしまいました。

そんな中で悔やまれたのは48分のシーン。左サイドバックに入った槙野智章、金崎、遠藤、清武と繋がり、右サイドから背後を突いた浅野に渡った場面です。ここで浅野はシュートではなく、小林悠へのパスを選択します。シェヒッチが先に体を倒していたので、冷静に狙えば同点に追い付ける絶好のチャンスだったものの、浅野のパスはトニ・シュニッチにカットされました。

結局、得点シーン以外ではほとんどゴール前での迫力を欠いた日本が1対2で敗れてしまいました。香川真司、本田圭佑が欠場した中で結果を残してほしかった決勝でしたが、残念な幕切れとなりました。


3日前の試合からスタメンを一挙7人入れ替えたなでしこジャパンに対し、2トップの一角を務めたマロリー・ピューをクリステン・プレスに代えただけのアメリカが立ち上がりから猛攻を仕掛けます。勝利だけを求めて牙をむいてきました。

前半1分、クリスタル・ダンのパスを受けたプレスがシュートを放ち、山根恵里奈が防ぎます。しかし、こぼれ球も拾われてしまい、アリー・ロングに狙われますが、宇津木瑠美がブロックしました。

8分には最終ラインの背後に抜け出したプレスが、高木ひかりを強引にかわしてマイナスのクロスを上げると、後方から走ってきたロングが合わせます。これは幸いにも山根の正面でした。このような裏を狙われるシーンが前半は何度も見られました。

そして27分、遠目からのフリーキックを杉田亜未がクリアミス。こぼれたボールを繋がれて、最後はジュリー・ジョンストンが押し込みました。ロングのパスを受けたジョンストンの位置はオフサイドのようにも見えましたが、ゴールが認められました。

菅澤優衣香を最前線に配した日本は、なかなか前でボールが収まらず、パスミスやボールロストが目立ちました。結局、前半はペナルティボックスの中に進入させてもらえないまま終わり、シュートも14分の杉田のフリーキック1本にとどまりました。ただ、ひたむきな守りで追加点は許さずに終えます。

エンドが変わってもアメリカペースは続きました。後半1分にはアレックス・モーガン、9分にはトビン・ヒースにシュートを打たれますが、山根の好セーブによって失点を免れます。

好守をきっかけになんとか流れを取り戻したい日本は、17分にまたもや裏を突かれてしまいます。センターバックのジョンストンが岩渕真奈をかわしてスペースにボールを出すと、抜け出したダンは右サイドからクロスを上げます。最後はモーガンがきっちり合わせて、アメリカのリードは2点に広がりました。

追いかけるなでしこは、アメリカの激しいプレスに自由を奪われ、ボールが流れるように繋がりません。試合の中でようやく崩す形ができたのは20分、宇津木、増矢理花、横山久美とワンタッチで回し、阪口夢穂がシュートを放った場面でした。ボールはホープ・ソロの正面でしたが、いいリズムでゴールに迫ることができました。

29分には千葉園子が高い位置で奪い、ベッキー・サウアーブランをかわして横山に渡すと、横山はミドルシュートを打ちます。これはソロが触ってゴールにはなりませんでした。

その2分後、荒天のため試合は中断。結局、そのまま終了となってしまいました。アメリカにくらべてフレッシュな選手が多かったはずですが、特に後半は運動量でアメリカに劣り、悔しい敗戦となりました。


歴史上、過去一度も勝ったことがなかったブルガリアに大勝した日本。この試合では2ゴールを決め、守備でも奮闘した香川真司、そして再三得点に絡んだ清武弘嗣の活躍もさることながら、長谷部誠と柏木陽介の両ボランチの球出しも冴え渡っていました。

前半4分の先制点は、中盤で長谷部が右サイドに大きくサイドチェンジしたところから始まりました。スペースに走ってそれを受けた酒井宏樹が香川に預け、香川が柏木にパスを送り、柏木はターンしてディミタル・ランゲロフをかわしてクロスを上げ、岡崎慎司のゴールに結び付きました。

27分には柏木のサイドチェンジがフリーの長友佑都に渡り、そのクロスを香川が頭で押し込みます。小林悠のラストパスを清武がスルーし、香川の鮮やかなターンで決まった3点目も、柏木から岡崎へのロングパスが起点となりました。

そして38分のコーナーキックからの4点目は、長谷部のクロスを森重真人が折り返して、中央にいた吉田麻也が決めました。

こうして長谷部、柏木の働きもあって、前半だけで一挙4得点を奪うことに成功したのです。攻撃面ではとかく前の選手に目がいきがちですが、ボランチからのゲームコントロールが日本には欠かせないことをあらためて印象付けました。

後半は清武が関与して2得点を追加。完全に優位に立った日本のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、後半25分に清武を下げて原口元気を投入します。原口はそのままトップ下に入り、先にピッチに入っていた宇佐美貴史、浅野拓磨と並ぶ形になりました。これで2列目からゲームメーカータイプがいなくなり、突破力のある選手だけで構成されることになったのです。彼等は指揮官の期待に応えます。

12分にすでにゴールを決めていた宇佐美は果敢にシュートを放ち、原口は粘り強く鋭いドリブルでゴールに迫ります。初代表の浅野は41分に勝負を賭けて突破を図ると、ゲオルギ・テルジエフにユニフォームを引っ張られ、PKを獲得します。これをみずから決めて、7点目が生まれました。

守備面は大量リードゆえか次第に緩慢になり、前半は集中し、連動していたものの、後半はミスやファウルが増えてしまい、2失点を喫しました。ただ、攻撃に関しては申し分のない、充実した90分になりました。

この充実ぶりで、もしヨーロッパにいるEUROを控えた本当の強豪国とテストマッチをしていたらどうだったか。そんなことを考えてしまうような内容でした。

 

後半12分、大儀見優季が2枚目のイエローをもらい退場となって以降、アメリカに押し込まれて完全に守勢に回り、一時は逆転を許した新生なでしこジャパンでしたが、横山久美のゴールで辛くも3対3のドローに終わりました。

スタートは幸先いいものでした。前半14分、岩渕真奈がペナルティエリア外から狙って先制すると、勢いの出てきた22分には大儀見が左サイドから走り込んで追加点を奪いました。

2点目のゴールは、阪口夢穂のロングボールを中島依美がペナルティアークで収めたところから始まりました。そこから岩渕、有吉佐織でボールを繋ぎ、有吉は右サイドに流れた中島に預けます。中島はそれをダイレクトで上げ、トップ下の千葉園子が空けたスペースに、この日左サイドハーフを任された大儀見が入って決めました。前線の見事な連携が形となった場面です。

その5分後の27分、この日が代表デビュー戦の佐々木繭の背後を突いたパスがマロリー・ピューに通ると、そのマイナスのクロスがフリーのアレックス・モーガンに渡って、1点差に詰め寄られます。熊谷紗希がピューを意識するあまり、モーガンを外してしまいました。アメリカにとっては最初のビッグチャンスでした。

その後も何度かサイドを突かれて猛攻を受ける格好になりましたが、大儀見が退場するまでは熊谷、村松智子を中心にひたむきに守って凌ぎました。 

1人少なくなってからは、千葉が左サイドに回って4-4-1を形成して対応します。そして高倉麻子監督は後半17分に千葉に代えて増矢理花を投入しました。厳しいシチュエーションでも攻撃の姿勢は崩さない采配です。

しかし19分、トビン・ヒースのフリーキックをモーガンに合わせられ、同点に追い付かれます。この場面では村松がモーガンを前に入らせてしまいました。

こうなるとアメリカの勢いは止まりません。かさにかかって攻めてきます。追い詰められた日本はミスが目立ち始め、35分には山下杏也加がモーガンにプレゼントパスを送ってしまうというピンチがありました。

44分のアメリカの逆転弾も連係ミスによるものでした。遠目からケリー・オハラがクロスを上げると、それに対して山下、熊谷、そして川村優理が一斉に競ってしまい、最終的にはリンジー・ホランに触られてしまい、ボールはゴールに吸い込まれていきました。

数的不利なので仕方ないことですが、なでしこは運動量が落ちていて、攻撃は中の枚数が少ないにもかかわらず簡単にクロスを入れ、相手センターバックに跳ね返されるばかりという展開でしたので、このまま負けてしまいそうな空気が漂っていました。

ところが48分、この時は中央を崩して打開します。熊谷のパスを受けた増矢が進行方向と逆の方向にボールを出し、阪口が落ち着いて横山にパスを通します。アメリカのセンターバックの間にいた横山は、冷静に左隅にボールを転がし、試合を振り出しに戻しました。

もったいない場面が多く、相当に苦しい試合になってしまいましたが、それでも再び挑戦者として世界女王に挑み、劣勢の中で引き分けることができました。新しいチームの初戦としては決して悪くない結果です。


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